日本時間12月04日(日)、 アメリカ・ネバダ州ラスベガスにあるザ・パームスで行われたジ・アルティメット・ファイター・シーズン24フィナーレのプレリミナリーファイト(前座試合)後半戦の試合レポート。
フェザー級 5分3ラウンド
グレイ・メイナード vs. ライアン・ホール

37才のメイナードは、かつてはフランキー・エドガーのライト級王座に二度挑戦し、王座奪取まであと一歩に迫ったことのあるベテラン。その後13年から15年にかけて4連敗と低迷状態が続いたが、今年の7月にはフェルナンド・ブルーノに勝利して復調の兆しを見せている。
対するホールはTUF22を制して以来の登場。柔軟な肉体を活かしたガードを持ち味にグラップリング界で名を馳せる寝業師は、MMAにおいても下からの切れ味抜群の足関節狙いに特化した、極めて異色のスタイルで力を発揮している。
1ラウンド、オーソドックスで右を狙うメイナードに対し、ホールはサウスポーから前蹴りを放って距離を取る。ホールはダイブしてのイマナリロール(仰向けに身を沈めながら足を絡める動き)を仕掛けるが、警戒していたメイナードはすぐに足を抜く。回りながら横蹴りや前蹴りを放つホールに対し、メイナードが強引に距離を詰めに行くと、背を向けるように逃げたホールは身体を沈めてのイマナリロールで足を絡めることに成功。しかしメイナードは両手を使って距離を作って足を抜いて立つ。
スタンドで前に出るメイナードに対して、ホールはダブルレッグ。メイナードがそれを切り返すとホールは仰向けになりながらメイナードの片足に四の字ロックを仕掛ける奇妙な体勢に。それを嫌ったメイナードが距離を取ろうとするところにホールはジャンビングガードを試みるが、メイナードは膝を入れて距離を取る。
スタンドに戻ると、ホールは長距離では前蹴りや横蹴りやミドルを繰り出し、メイナードがパンチで距離を詰めるとすかさず身を沈めてグラウンドに誘い込む。するとメイナードが距離を取るという展開が続いた。
2ラウンド、メイナードが距離を詰めると背中を見せて逃げるホールは、距離が空くと右の鍵蹴り(フックキック)や横蹴りを顔面にヒット。その後もホールは距離が詰まるとすかさずグラウンドに誘う戦術で、メイナードのパンチの被弾を避けてゆく。メイナードはホールのグラウンドへの誘いに乗ることはなく、ホールの蹴りを顔に数発受けることになった。お互い自分の不利な土俵での戦いを避ける展開に、場内からはブーイングも聞こえはじめた。
3ラウンド。グラウンドに誘うホールに対し、メイナードはただ距離を取るのではなくローを打ちはじめるが、ホールも下から蹴り返す。スタンドに戻ると上段鍵蹴りを当てるホールは、さらに関節蹴りやハイをヒット。メイナードが距離を詰めるとすぐに自分からグラウンドに行くホールの戦い方に、場内からはブーイングも漏れるがホールは意に介さず。メイナードは下になるホールに警戒し腰を引きながらの鉄槌を放つが、ホールはアップキックでお返し。
残り1分。ホールが下になると、メイナードはついにパウンドを狙いにゆくが、ホールが足を効かせようとするとすぐに距離を取る。終盤ホールは近づいてきたメイナードに対し、イマナリロールからアップキックを放つという攻撃も見せ、ほぼノーダメージで試合を終えた。
判定は3-0(30-27、30-27、29-28)でホールに。 無類の極めの強さを背景に、長距離では蹴りを当てて、至近距離のスタンド戦は徹底的に避けるという、まさに現代MMAにおいて唯一無二の戦い方を貫いての勝利だった。
憮然とした表情でオクタゴンを去った敗者に対し、ブーイングを浴びても、ひょうひょうとした表情のホールは「全力で戦ったし、彼のことは最大限に尊敬しているんだけど、現実として僕の方がスタンドで打撃を当てたよね。僕は足を狙ったけど向こうは逃げまわることでうまくディフェンスしてみせた。でも逃げ続けて判定で勝つのは難しい。彼は僕を攻撃して倒す力はあるはずなんだけどね。でも彼のことはずっと尊敬していたし、今も尊敬しているよ。フィラス・ザハビ、ケニー・フロリアン、タン・リー、スティーブン・トンプソンらに感謝したい」と語った。
ブーイングを浴びたホールだったが、競技柔術/グラップリングで磨き上げた50/50からの足関節を起点とする特異な寝技に、長距離における蹴りを組み合わせたこの斬新な戦い方を誰がいかに攻略するのか。MMAにおける最先端の形の一つが、この男の試合にあるのは否定できないところだ。
バンタム級 5分3ラウンド
ロブ・フォント vs. マット・シュネル

フォントはUFC登場以来2連勝を飾ったものの、今年の5月にはジョン・リネカーに0-3の判定負けを喫している。対するシュネルはTUFシーズン24の参加者。ガードからの見事なサブミッションで一回戦を勝ち上がり、次に優勝者のティム・エリオットと対戦。下から腕を極めかけたものの強引に潰されて、強烈なギロチンで敗れている。今回は直前のオファーを受けて、一階級上げての参戦だ。
1ラウンド、両者オーソドックスでジャブを付き合う。フォントはテイクダウンを取り、下から効かせてきたシュネルの両足を捌いてバックへ。そのままチョークを狙うが、シュネルは振りほどいて立ち上がることに成功。スタンドに戻ると、フォントは強烈な上段前蹴りをヒット! 一瞬ぐらついたシュネルだが、体勢を立て直す。
さらにフォントは、パンチの間合いから上段膝蹴りをスマッシュヒット! たまらず仰向けに倒れたシュネルにパウンドの連打。膝を入れて防ごうとしたシュネルだが、フォントは背後に付いて強烈なパウンド。やがてシュネルの身体から力が抜けて3分47秒で試合は決着した。
寝技、打撃ともに力を見せつけて圧勝したフォントは「まずは寸前のオファーで、一階級上げて戦ったマットに敬意を表したい。大変だったと分かっているよ。セコンドからは冷静に戦えと言われるんだけど、チャンスがあると行ってしまうんだ。次? まずはアイスクリームを食べたいね。その後トレーニングに戻るよ」と語った。
ライト級 5分3ラウンド
キム・ドンヒョン vs. ブレンダン・オライリー

韓国のキム(同郷のウェルター級ランカーとは同姓同名)は、ここのところ2連敗。正念場を迎えている。対する豪州のオライリーも、前回はアラン・ジョウバンに敗れておりUFC戦績は1勝2敗だ。
1ラウンド。左ストレートから距離を詰めて組み付いたキムは、オライリーの膝蹴りをキャッチしてテイクダウンに成功すると、サイドからバックに回る。一度は立ち上がったオライリーだが、キムはグラウンドに引きずり込んで下からパウンド。オライリーは正対するが、キムは上からパウンドを落としていった。
2ラウンド、オライリーの右に合わせて組み付いたキムは、すぐにテイクダウンに成功。ハーフガードで胸を合わせて抑え込み、さらにサイドを奪取するが、オライリーは金網を蹴ってバックを取ることに成功。しかしキムは身体を翻して上を取り返し、再びハーフで抑え込む。オライリーは下からキムラロックを狙うが、キムは意に介さない様子でサイドからマウントとポジションを進める。オライリーはそれを返して立ち上がることに成功し、両者は再びスタンディングレスリングの攻防を続けた。
3ラウンド、ケージ際でのクリンチの攻防が続く。右を差したオライリーは額をキムの顔面に押し付けて細かい打撃を当ててゆくが、やがてキムも体勢を入れ替える。やがてレフェリーによるブレイクが入るが、キムは再び組み付いてオライリーをケージに押してゆき、その体勢を崩してバックにつき、さらにマウントに成功。オライリーは再びマットを蹴って上を取るが、立ち上がろうとするキムにダメージを与えることはできなかった。
判定は3-0(三者とも29-28)でキムに。これまでの超攻撃的な戦い方を控えて、確実に勝利をつかみにいった戦略が効を奏した形となった。
女子ストロー級 5分3ラウンド
ケイリン・カラン vs. ジェイミー・モイル

カランはUFC1 勝3敗。モイル前回インヴィクタFCで敗れていながらも、今回UFC初登場だ。
1ラウンド、オーソドックスからジャブを付くカランに組み付いて両差しを取ったモイルは、すぐにテイクダウンに成功。パウンドを落とすがカランは蹴って立ち上がる。スタンドに戻った後、再びモイルは組み付いて押してゆくが、カランもスタンディング・ギロチンで反撃。それをモイルが逃れると、両者はお互いのパンチが当たる距離で激しく打ち合った。
2ラウンド、モイルはしきりにテイクダウンを狙うが、カランはギロチンで切り返す等それを許さない。打撃ではリーチに勝るカランのワンツーが当たる場面が増えてきて、モイルの顔面は血に染まってゆく。しかし残り1分のところでダブルレッグで組み付いたモイルは、カランを高々と抱え上げて豪快なテイクダウンに成功! ガードの上からパウンドを落としていった。
3ラウンド。モイルはローから左右のフックで前に出て組み付いてテイクダウンを狙うが、カランはケージ際で耐える。やがてモイルが強引な首投げに行くと、頭を抜いたカイルがバックに! 上からパウンドを落としてゆく。それを嫌がったモイルは正対し、草刈りでカイルを倒して立ち上がることに成功する。
スタンドに戻ると、リーチに勝るカランは前に出てワンツーをヒット。しかしまたしても残り1分の時点で、やや大振りになったカランのストレートに合わせてモイルが両差しで組み付き、テイクダウンに成功。このラウンドもモイルは、上からパウンドを落として終わってみせた。
激闘の判定は3-0(三者とも30-27)でモイルに。嬉しいUFCデビューを飾った勝者は「とても楽しかった。向こうは凄いパンチを持っているしリーチも長いから、寝技に持ち込もうと思っていた。試合はいつも緊張するけど、でも試合は試合。私はここに上がる資格があると思って戦ったの」と語った。