秋山成勲は、なぜその人気が何年も衰えないのか、自分でも分からないと語った。ただ彼は、ファンに心から感謝しているという。 「本当にありがたいことだと思います。でも、なぜ私がこれほど応援してもらえるのか、自分でも分からないのです。」 秋山の人気の理由として、モデルとしての活躍やその「セクシーヤマ」キャラクターを挙げることができる。しかし、最大の要因はそのファイティングスタイルにある。秋山の戦いは、特定の格闘技ベースに基づくのではなく、とにかく観る者を楽しませることを目的とするものだ。確かに秋山は柔道の黒帯を保持している。だが、その柔道技術を投げ打って激しい打ち合いを挑むこともしばしばだ。だからこそ、UFCで2勝4敗という戦績にもかかわらず、ファンはこれまで秋山を熱心に応援し続けているのだ。 このことが如実に現れたのが、昨年9月にさいたまスーパーアリーナで行われたUFC日本大会である。そこで秋山は、アミール・サドラー相手に実に31ヶ月振りの復帰戦を行った。普段は静かな日本のファンはこの日、どのファイターよりも大きな声援を秋山に送ったのだった。彼らは、秋山に5連敗を味合わせ、引退にすら追い込む力を持った若い対戦相手からの勝利を切望していたのだ。 そして、秋山は勝利した。判定3-0、堂々の勝利であった。 「どんな試合の前でも、勝ちたいというプレッシャーは感じています。その中で勝利することができて、本当に嬉しかったです。」 普段寡黙な秋山。だが彼は、そのオクタゴンへの復帰と、そこに向けた妻と娘のサポートをドキュメントした韓国のリアリティー番組 「スーパーマンの帰還」の第48話において、日本大会での勝利の感慨を隠さず披露した。当時39才だった秋山にとって、この勝利はその輝かしいキャリアの最後を飾るのに相応しいものだったと言えるかもしれない。だが、現在40才となった秋山はこの週末、UFNソウル大会で再び戦いに臨む。相手は、アルベルト・ミナ。 しかし、彼が何を追いかけているのかは、我々には未だ謎のままだ。 これまで3度に渡ってファイト・オブ・ザ・ナイトを活躍した秋山は語る。 「私はまだ、自分のゴールを見つけることができないでいます。それが見つかるまでは、ベストを尽くし続けるつもりです。」 当面の彼の目的は、韓国のファンに忘れられない試合を魅せることにある。大阪出身の秋山だが、そのルーツは韓国にある。そして彼の地において、秋山はスーパースターとしての地位を築き上げているのだ。単にファイターとしてだけではなく、俳優として成功し、またテレビ番組のゲストとして呼ばれることもしばしばだ。そして今回、秋山はソウルで開催されるUFC初の韓国大会に挑む。韓国にいる秋山の家族も、当然この大会に駆けつける予定だ。 「私のもう一つの祖国で試合をできるのは、本当に素晴らしいことです。幸せだと思っています。」ちなみに、前回の韓国登場時に秋山はデニス・カーンを1ラウンドKOに下している。キャリア最大の勝利の一つと言えるあの戦いについて、秋山は語る。 「あの時は本当にいい試合ができました。韓国のファンの応援から、大きな力を頂いたのです。」 この週末、韓国の秋山サポーター達はオリンピックアリーナに集結し、力を合わせて、再びオクタゴンに足を踏み入れる英雄の戦いを見届けることだろう。土曜の夜にどんな結果が待っているのかは、誰にも分からない。しかし、秋山はまだまだ引退をするつもりはないようだ。2016年への抱負を、彼はこう語る。 「私はもう40を超えていますが、いまだに格好良いファイターであるということを、ファンに見せたいのですよ。」 トーマス・ジャーバシはUFC.comのエディトリアル・ディレクター。2000年からスポーツ記事を執筆し、UFC公式百科事典や「UFC: A Visual History」 の執筆者。ツイッターでの彼のフォローは @tgerbasiから。