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ラシャド・エヴァンス 2012年、困難を受け入れること

ハングリーに、そしてそれを保つためにできる事をする。フィルがこの試合のために彼の人生をかけて準備しているのを知っているし、この試合に照準を合わせて全ての面で成長していることだろう。 - ラシャド・エヴァンス

2006年の始め、 ラシャド・エヴァンス はジ・アルティメット・ファイターズ(TUF)セカンド・シーズンのヘビー級王者となり、そして現在ではライトヘビー級のタイトルを狙う選手の一人だ。単に期待されているだけでなく、彼は無敵でもあった。サム・ホーガー との試合の前に、彼はのちに彼を救うこととなる哲学について語っていた。それを彼は『困難を受け入れる事』と呼んだ。

土曜日のFOXメインイベント、フィル・デイヴィス 戦よりも前に、彼にこの事についてインタビューした際、彼は笑っていた。

「このキャンプのテーマは『困難を受け入れる事』なんだ」そしてデイヴィスとの戦いについて答えた時、彼はもう笑っていなかった。この戦いは、2009年リョート・マチダ 戦で失ったライトヘビー級のタイトルに、もう一度挑戦する上で避けては通れない試合だ。

その敗北の代償を支払うために、エヴァンスはチアゴ・シウバ, クイントン・"ランペイジ"・ジャクソン、そしてティト・オーティズを相手に3勝した。しかし、同時に、怪我、解雇、試合の延期、対戦相手の突然の変更、トレーニングキャンプの変更、そして元チームメイトであるライトヘビー級チャンピオン、ジョン・ジョーンズとの確執なども経験した。エヴァンスには受け入れなければならない困難に囲まれていた。

「リハビリや、怪我の連続でアクティブに活動できないことはつらかった」そう彼は認めた。「それはタフだったし、それにどうやって自分のリズムを再度見つけていいかわからなかった。でも、そういう事もある」

その過程の中で、ジョーンズの対戦相手にふさわしい人物として一番先に名前があがる筈であったこの男の名前は、多くの人にとっては過去のものとなった。

そんな日々はエヴァンスにとってどのような物だったのだろう?

「フラストレーションの塊だったよ。いらいらしたし、うまくいかないときは自分自身に腹も立った。でもそんな時は、『これはプランの一部だ』『これは自分に起こるべくして起こることだ』と思うようにした。自分に起こることはすべて起こるべくして起こることだと思う。だからすべての事はうまくいくし、受け入れることができると思っている。自分自身に負けてしまうことは簡単だからこそ、自分を強く保つ事が大事だと思う。そしてもし自分に負けてしまったら、悪いことしか起きないし何も得られない

エヴァンスはこのキャンプ中インターネットを見ることを極力やめ、変な噂を流すような人を遠ざけた。

「ほんどの時間、インターネットから遠ざかるようにした。でも何が起こっているかは常にチェックしていた。自分がコントロールできることは1月28日に自分がしなければならないことだけだった。それこそ自分が集中すべきことだった。他の事はただの余計なことだった。カニエ・ウエストが言っていたように『明日のことはわからない、今日だけ』だ。だからこそ、『次のタイトルマッチは君だよ』と言われたことも関係ない事だった。すべての事は起こるべき時に起こる、そして自分には無駄にするべき時間も考えもエネルギーもない。ただすべきことをするだけだ」

「何も持っていなかった」ニューヨーク州のナイアガラ・フォール出身のこの男は語った。「子供の時、本当にほとんど何もない中で育ち、ただ思い出すのは悪いことばかりで絶対に戻りたくない過去だ。だから自分の子供にはそんな経験はさせたくない。自分にできることは、強い心を持ち、そしてそれをコントロールすることだ。言いかえると、ベストな自分になることが自分の夢だということだ。どのくらいの人が人々の心に永遠に生き続けられる人になれるだろう? それが自分がなりたい姿だ。ただ、皆にずっと覚えていられるような人になりたい」


エヴァンスの話は、ボクシングのバーナード・ホプキンスが、次の試合であるオスカー・デラホーヤとの試合でもし敗れることがあれば、ペイ・パー・ビューからただのケーブル放送へ格下げされるかもしれない、と語っていた時のことを思い出させた。ホプキンスはそんな事は起こらないと思っていたと思う。しかし、そう考えることでより彼自身のハングリー精神を沸き立たせ、そしてモチベーションを高めていたのだと思う。それはエヴァンスも同じだ。


「満足を得たいとは思わない。自分が正しい場所にいると思ったことはないし、そこにいたいとも思わない。なぜなら、そこに居続ける事は難しい事で、そしてそこに居続けていることはそこが間違った場所であるということだから。沢山の選手が俺のポジションを狙っているし、その事について神経質になったこともある。そして、もし自分が素晴らしい戦いができず、そして勝つことができなかったら、そのポジションはとって代わられてしまうだろうと思う。でもそんな事はさせたくない。だからそんな事が起こらないように自分がすべきことをしている」


エヴァンスはこう信じる。


「もし自分は経験豊かだと思い、そしてその経験だけで勝負をするとしたら、たぶん焦ることになると思う。なぜなら、若手には能力があり、ハングリー精神もある。だからきっとその若手が勝つことになるだろう」しかし、長くトップ選手であり続け、そしてチャンピオンに返り咲きたいと思うものがそうであるように、そんなに単純なことではないだろう。彼は年をとっているかもしれない、しかし彼は同時に土曜の夜に披露するのが待ちきれないだろう隠し玉も持っているはずだ。エヴァンスは無のために困難を受け入れているわけではない。その得たものを対戦相手に見せるべき時が来た。


「ハングリーに、そしてそれを保つためにできる事をする。フィルがこの試合のために彼の人生をかけて準備しているのを知っているし、この試合に照準を合わせて全ての面で成長していることだろう。この戦いはそんな彼の成長を披露する場だろう。だから最初に彼を精神的に追い詰めようと思う。そして、俺が自分自身と対峙しているように考える。チャック・リデル やティト・オーティズやランページと戦った時のように『自分が輝く時だ』と思うようにしたい」