土曜の夜に行なわれたUFC 143ウェルター級暫定王者決定戦 - マイケル・ディサントが誰もが話題にする試合を振り返る - コンディットvs.ディアス
謳い文句どおりではないものの、おそらく2012年現在の最高の戦略の提示が行われた
私の戦前分析をお読みになった方達は私が激戦必死と思われたニック・ディアスとカーロス・コンディットの一戦にどれほど垂涎の思い出いたかをご存知だろう。私はこのマッチアップには"ファイト・オブ・ザ・イヤー”級のパフォーマンスが繰り広げられるのに必要な全ての成分が含まれていると本当に考えていた。試合は確かにアクションみなぎる一戦、と言う見地から見ればその過大な戦前の予想を実現するものではなかったが、コンディットのほとんど完全ともいえるパフォーマンスの評価を落とすものでもなかった。
”ザ・ナチュラル・ボーン・キラー”はゲームプランが常に角度を変えながらの膠着と移動からなるものであったことを認めた。彼はその攻撃手段から決して離れなかった、たった1分の間でさえ。確かにディアスは彼を数度にわたり捕え、コンディットに金網を背にした状態で闘うことを強いた。しかしそれらの打ち合いはほんの数秒しか続かず、新暫定王者は金網際から円を描くように脱出すると彼の戦略的なアプローチを再開したのだった。
ディアスは彼に痛烈なトラッシュトークを用い、両手を横に広げて挑発し、その対戦相手に打ち合いをそそのかすために出来ることは全て行い、コンディットに正面から打ち合うことを懇願した。しかしコンディットは足を据えて対戦相手達との打ち合いに応じることを好む彼本来の性質にもかかわらず、その誘惑に屈することはなかった。打ち合いに応じないとは容易いことだと信じる人々はディアスの過去4、5年の彼のキャリアを振り返ってみるべきだろう。イギリスの喧嘩屋、ポール・デイリーを除いて全ての彼の対戦相手は同じゲームプランを持って金網に入った。唯一コンディットだけがそれを成し遂げたのだ。
結果は”ファイト・オブ・ザ・イヤー”となる戦いではなかったが、おそらく、2012年の、そしてこれまで最高の名匠的戦略の実践となった。
守るか守らざるか、それが問題だ。
コンディットのディアスに対する勝利は彼が死ぬほど焦がれてきたチャンピオンシップの機会を彼にもたらしたが、そのベルトはジレンマと共にやって来る。UFCプレジデント、デイナ・ホワイトは試合の後に王者ジョージ・サンピエールはMMAのトレーニングを完全に再開するには程遠い状態であることを明らかにした。現在の見通しは、王者が6月中の何れかにリハビリを完了するというもので、これは早くとも11月までは王者が試合に戻ってくることはないだろう、と言うことを意味する。
GSPの健康問題はコンディットに微妙なポジションを与えている。彼はGSPの復帰を待って次の試合でベルトの統一戦を行なうか、カナダの英雄の回復を待たずに任意の防衛戦を行なうかを決断しなくてはならない。これは簡単な選択に見えるかもしれないが、簡単な選択からは程遠い。両方のケースの問題を見てみよう。
待つべきだという主張をすることは簡単なことだ。最初に、そして何よりもコンディット自身が彼のベルトはGSPの復帰までの代替品でしかないことを理解している。彼はGSPを破るまで(またはGSPが現在の負傷から復帰することができなかった場合を除いて)彼自身をUFCのタイトルを保持者とは言えても王者だとは言うことが出来ない。つまり彼はこのスポーツの頂点に君臨するという彼の目的を達成していない。どうあがいてもそういうことだ。
調整試合や金魚マッチの組まれることがないと言う意味で、予想の難しいUFCと言う世界の中で暫定王座を獲得するということは本当の王座に挑戦する機会を失うというリスクをはらんでいる。そのためこのスポーツにコンディットの遺産を残す、と言う意味においては暫定王座の防衛戦を行うリスクはその見返りを上回るものだ。
次に、GSPに対戦するときのことを考えたとき、彼がいかに地上で最高のファイターであり、パウンド・フォー・パウンドであったとしても、その試合が大きな負傷からの復帰の直後となるという点だ。GSPはその復帰の時に、さび付いた試合勘を何とかしなくてはならないだろう。私はそんなことはない、と言うどんな意見にも耳を貸すつもりはない。
彼が復帰第一線で、彼の最後の試合と同じようにシャープな状態であることは有り得ない。継続したトレーニングと実戦から遠ざかっていた時間によって引き起こされる問題はACLの断裂からの復帰と言う精神的な障害により増大する。
たとえヒザが完全に治癒し、機能が回復していたとしても、ほとんどのアスリート達にとって、それが実戦のスピードに耐えうると無意識のうちに信じきることが出来るようになるまでに数回の実戦を経る必要があるものだ。もしGSPが少しでもそうではない、というならは私はショックを受けるだろう。
したがってGSPには、コンディットとそれぞれのキャリアの別の時点で対戦したときには存在しないかもしれない弱点があるはずだ。暫定王座防衛戦を受けて、このチャンスを吹き飛ばすリスクを犯す必要がどこにあるのだろうか?
暫定王座防衛戦を行なう、としたらその理由もまた複雑ではない。コンディットがGSPに対して有するアドバンテージ、つまり王者が負傷により長らく試合から遠ざかっていることが暫定王者もまた長い間試合から遠ざかることにより打ち消されてしまうからだ。
コンディットのキャリア最長の試合をしなかった期間は269日だということを思い出して欲しい。もしGSPと11月1日に対戦するとしても、それはコンディットの最長無試合期間を2日更新する上、王者が11月1日に復帰できるという保証はどこにもない。ちょっとしたリハビリや準備の遅れにより試合はより延期され、それはすなわちコンディットにとってもまたGSPと同じように試合勘のさび付きが大きな問題になる、と言うことを意味しているのだ。
そうは思わないって?試合もせずにぶらぶらしながらチャンスを待つことについてラシャド・エヴァンスに訊いてみるといい。彼は長い間試合をしないでいることが、復帰戦のパフォーマンスに影響することをすぐに認めるだろう。コンディットに限ってそんなことはない、とどうして言えるのだろうか?
同じように関連してくることが、闘うことはそれが試合であるのと同様に、生活の糧を得る手段であるという事実だ。コンディットは金網の横で試合を観戦しているだけでは報酬を得ることはできない。彼が試合をしたときに、彼に報酬が支払われるのだ。11月か、それ以降に次の彼の支払日を先送りすることが経済的にはどんな意味を持つのだろうか?思い出して欲しい、彼が妻と赤ん坊と、そして新しいローンにを組んだある男について話していたということを。
私はファイター達はその限りある現役生活の間に稼ぎ出す金額を最大化する必要があると固く信じている人間だ。
全てのファイター達の現役生活は非常に限られた期間だ。それぞれのファイター達にとって異なるタイミングで訪れる現役を終える日。裕福なファイター達を除いて、そのキャリアの期限が切れたときにファイター達にとって"次にどうするのか?”と言う質問は特に恐怖を覚えさせるものだ。つまり、実入りのよい支払日をやりすごすことは、たとえ道の先にあるGSPと言うより大きな利益を棒に振るリスクを犯すことになるとしても、私には経済的に自殺するに等しい行いに思えるのだ。
しかしサイドラインに座ることを選択するということがもたらす精神的な側面も同様に重要だ。少し考えてみて欲しい。もし、チーム・コンディットの面々が彼をGSPの復帰まで待つように説得しようとしたとする。そのことが彼の頭の中に小さな疑念を生み出しはしないだろうか?つまり「UFCが俺に与える誰にでも俺が勝利できるというほど俺は十分に強くはないと言うことか?」「そんなことでいったい何が多くのファンが世界で唯一最強のファイターと信じる男を俺が打ち負かすのに十分な資質があると思わせると言うのだ?」と。このような自己疑念が彼が現実にGSP戦を手にしたときに、彼の中に躊躇を作り出しはしないだろうか?
私はGSPの先行きの見えないタイムテーブルを考えたとき、コンディットは暫定王座の防衛戦を行なうべきだと固く信じる人間の一人だ。彼の短期間の収入を最大化するというだけでなく、私の意見では、そのことが彼がとうとうGSPと向かい合うときまで彼のゲームを最高の状態に維持する最高のポジションに置くことになるからだ。
もしあなたが”ザ・ナチュラル・ボーン・キラー”にアドバイスをするならば、なんと言うだろう?下のコメントセクションを通じて私に教えて欲しい。
引退発言は気に留める必要なし
ニック・ディアスはコンディット戦での敗北の後、バーリ・トゥード・グローブを外すことを宣言した。Public
Enemyの言葉を借りれば「まやかしを信じるな。」だ。
ディアスはどこにも行かない。この敗北の後にも。彼のオクタゴンの中での発言は大きなフラストレーションを感じ、そう信じているファイター達の発言の一つだ。彼はシステムによって誤って扱われた。私は彼が帰宅し試合の映像を見た後も、その信念を持ち続けるとはあまり思わない。
はっきり言って、私は試合を1ラウンド、2ラウンド、そして5ラウンドの3-2でディアスにつけた。私の意見では最初の2ラウンドは、3ラウンド、4ラウンドと同様に採点しやすいラウンドだった。最終ラウンドは、白状するが非常に採点に苦心した。
コンディットは確かに手数と有効打という意味ではより多くの打撃を命中させた。彼はむやみに彼を追い続けるだけのディアスと比べて機敏な出入りを見せ、はるかに優れたオクタゴン・コントロールを見せた。
一方、テイクダウンからのバックマウントはどちらのファイターにとってもこのラウンドで唯一にして最大の支配的なポジションだった。その瞬間のコンディットはディアスが試合中に陥った、どの状態よりも試合がストップされる危険に近づいた状態だった。もちろんディアスのサブミッションの試みはいずれも達成されるには程遠く、テイクダウンとバックマウントにそれほど比重を置くべきではないという学説の方々もいるだろう。それは完全に主観的な疑問であり、私自身それほど強く感じているものではない。実際に試合を再び見直してみたところ、最終ラウンドに関して私はコンディットに傾きつつある。
あなたの判定哲学が何であれ、土曜の夜の一戦はどちらの男にとっても判定により大いに試合が盗まれたとは言うことの出来ない接戦だった。ディアスは体制に不当な扱いを受けたとは感じるべきではない。その代わり、彼はコンディットが金網の中で軽やかに走り回るところに何故切り込むことができなかったのか?何故コンディットが射程距離に入ったときに先手を取らなかったのか?と自問するべきだ。それは実にディアスらしからぬパフォーマンスでコンディットの名人芸のような努力とあいまって私があの晩の問題点として記録するものだ。
皆さん、ディアスはどこにも行ったりはしない。この点は私を信じて欲しい。実際に彼がナンバーワン・コンテンダーの座に帰り咲くのに必要なのはたった一度の勝利で十分だ、と私は考えている。デイナ・ホワイトは試合後インタビューでディアス対ジョシュ・コスチェックが次の試合でやれたら興味深いと発言している。同感だ。もしコンディットがGSPを待つことを選択したとき、コスチェック戦はコンディットの後塵に拝することになったディアスを奮い立たせる素晴らしい方法だと思われる。もしコンディットが暫定王座防衛戦を行なう決断をした場合、私はディアスが彼には再戦の権利があると主張する強力な理由があると考える。
どちらにしても私は夏までにニック・ディアスはオクタゴンに帰ってくるだろうと考えている。
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