UFCファイトナイト・ザグレブのメインカード試合レポート。
ヘビー級 5分3ラウンド
デリック・ルイス vs. ガブリエル・ゴンザーガ

オーソドックスに構えたデリック・ルイスがオクタゴンの中央に陣取ると、すぐさま鋭い右のハイキックを繰り出す。ガードの上からのこの一撃に、さらなる追撃を加えようと距離を詰めてきたルイスを受け止めたゴンザーガは容易くテイクダウンに成功すると、すかさずサイドポジションを奪取する。暴れて立ち上がろうとするルイスからバックマウントを奪おうとしたゴンザーガだったが、これには成功せず、残り時間3分ほどで攻防はスタンドに戻される。相手を金網に押し込んでいるゴンザーガは何度かテイクダウンを狙ったものの、ルイスはしっかりとこれらをこらえてレフェリーのブレイクを呼び込んだ。残り時間2分、鼻からの出血を気にするそぶりを見せたゴンザーガがすぐにテイクダウンに飛び込みルイスを金網際まで押し込むが、ここもテイクダウンまでは繋げられずにレフリーが両者をブレイク。やや手詰まりの感が見て取れるゴンザーガにルイスが左右のコンビネーションと共に襲い掛かると、右ストレート、そして続く左フックが真後ろに下がったゴンザーガの顎先を捉える! 崩れ落ちるゴンザーガを見てレフェリーのマーク・ゴダードがすぐさま両者の間に割って入り、1ラウンド4分48秒でKOによる試合の終了を宣告した。
この衝撃的なKO勝利で戦績を15勝4敗1ノーコンテストと伸ばしたデリック“ブラック・ビースト”ルイスは先日逝去したコーチのトニー・ロスコにその勝利を捧げると、ロイ・ネルソンに対戦を表明した。一方、ミルコ・クロコップのUFCデビュー戦の相手を務め、先日はミルコとの再戦も果たすなど、クロアチアとの因縁浅からぬリオデジャネイロ出身のガブリエル・ゴンザーガは宿敵ミルコの眼前での復活を果たすことはかなわず、17勝10敗と戦績を落とした。
ヘビー級 5分3 ラウンド
フランシス・ガヌー vs. カーティス・ブレイズ

オーソドックスからテイクダウンに飛び込んできたブレイズをガヌーはしっかりと差し上げると金網に押し込み返し、離れ際に右のヒジをたたき込む。相手の右ローを警戒してか、ガヌーはサウスポーに構えると軽やかに右に回りながら左ストレートを狙っている。残り時間2分10秒、ブレイズのインローの打ち終わりにガヌーの左ストレートが相手の顔面を貫き、ブレイズは後方に倒れこむ。追い打ちに飛び込んできたガヌーに両足タックルで飛び込んだブレイズは距離を潰してダメージを回復させると、残り時間50秒にテイクダウンを成功させる。尻餅をつかされながらも金網を背にし、相手の頭を潰して胸を張りつづけたガヌーが攻防をスタンドに戻したところで第1ラウンドが終了した。
2ラウンドが始まると、ガヌーは構えをオーソドックスに戻し、左アッパーからのストレートを狙う。残り時間3分、ガヌーがサウスポーに構えたところでブレイズが両足タックルを成功させたが、ガヌーは脇を刺してすかさず立ち上がる。右目のふさがったブレイズはガヌーのジャブが見づらそうだ。ブレイズのタックルを潰すためか、ガヌーは執拗に左アッパーでのカウンターを狙い続ける。時折テイクダウンを狙って飛び込むブレイズに対し、ガヌーは距離を取ってこれを許さない。
ラウンドインターバルにブレイズの右目を診断したドクターがブレイズの右目の前に指をかざし、視力の確認をしたところ、ブレイズはその指がどこにあるのかも分からず、左手でドクターの指を探る。この様子を確認したドクターは、ブレイズの試合続行は不可能と判断し、レフェリーに試合の終了をアドバイス。試合の結末は第2ラウンド終了後にTKOによるフランシス・ガヌーの勝利となった。
この勝利でカメルーン出身のフレンチ・ファイター、フランシス・ガヌーは7勝1敗。トレーニングを始めてわずか3年の驚異の新星ガヌーのヘビー級での快進撃はしばらく止まらなそうだ。一方今試合がUFCデビュー戦だったシカゴのカーティス・ブレイズはプロ初黒星を経験し、5勝1敗となった。
ヘビー級 5分3ラウンド
ティム・ジョンソン vs. マルチン・ティブラ
グラップラーのティブラがオーソドックスに、ストライカーのジョンソンがサウスポーに構える。ティブラの組み付きを警戒してか、ジョンソンは細かく右のジャブを突く。相手の外にじりじりと出ながらジャブを突くジョンソンに対し、ティブラは定石通り頭を振りながらの右ストレートで応戦し、ジョンソンに主導権を渡さない。ラウンド中盤に両者の距離が詰まるとティブラが相手に組み付くが、ジョンソンは低く構えてこれを受け止める。ジョンソンは金網までティブラを運ぶとがっちりと押し込みレフリーのブレイクを呼び込む。残り時間1分、ジョンソンの前進に対し、離れ際にティブラがサウスポーに構えるシーンが散見されるようになる。相手の乱れを見て取ったジョンソンはパンチの手数を増やして前に出たものの、これといった有効打を得ることなくラウンドの終了を迎えた。
第2ラウンドが始まると、ジョンソンが圧力をかけ始める。上体の起きたティブラは打ち合いで押されると金網に押し込まれるが体を入れ替えテイクダウンを狙う。ジョンソンは腰を落としてこれを受け止めると、力づくで相手を振りほどき、再びじりじりと前に出始める。疲れの見える両ヘビー級は手数が明らかに落ちている。残り時間15秒、それまで右フックを執拗に狙っていたジョンソンが、伸びのある左ストレートを命中させ、左右の連打をまとめたところで第2ラウンドが終了した。
最終ラウンドが始まると、ティブラが両足タックルで突進し、この試合で初めてのテイクダウンに成功するが、ジョンソンはバックを奪われながらも立ち上がり、ティブラを前に振り落とすと攻防をスタンドに戻す。すかさずテイクダウンに飛び込んできたティブラだったが、ジョンソンは右を刺すと相手を金網に押し込みこれを許さない。レフェリーにブレイクを命じられた両者のためらいがちな攻防のさなかに、突如繰り出されたティブラの鋭い右ハイキックがジョンソンを捉える! ふらつくジョンソンにすかさず距離を詰め、至近距離からのコンビネーションを狙ったティブラだったがジョンソンは相手を引き付けこのピンチを凌ぎ切った。
試合は29-28のユナニマス判定でティム・ジョンソンが勝利。最終ラウンドに危ないシーンも見られたミネソタのジョンソンが、UFC初登場のマルチン・ティブラを退け、その戦績を10勝2敗とした。一方、UFC黒星発進となってしまったポーランドのマルチン・ティブラはその通算戦績を13勝2敗と落とした。
ライトヘビー級 5分3ラウンド
イゴール・ポクラヤッツ vs. ヤン・ブラホヴィッチ 
地元ザグレブのライトヘビー級、ポクラヤッツはすぐに距離を詰めるとその剛腕を振るうがブラホヴィッチはこれに応じると見せかけ、両足タックルに切り替えるとトップを奪取。細かなパウンドを落としながらじりじりとポクラヤッツを金網際まで運ぶ。残り時間2分40秒、下のポジションを嫌ったポクラヤッツが腹這いになるとブラホヴィッチはすかさずバックを奪取したが、前に振り落とされてしまう。ポクラヤッツがトップを奪うと場内からは大歓声が沸き起こる! 残り時間30秒、タックルを潰したポクラヤッツが相手の両足にまたがり支配的なポジションを取る中第1ラウンドが終了した。
オーソドックスのポクラヤッツが左右を振り回しながら突進すると、ブラホヴィッチは金網際でこれを受け止める。金網際で体を入れ替えたブラホヴィッチが離れ際に右のフックをたたき込むとポクラヤッツは左右の手を下げて「打ってこい!」と相手を挑発。これに応じたブラホヴィッチが連打と共に前に出るとその左右の強打が面白いようにポクラヤッツの顔面に吸い込まれる! ふらつきながらもパンチを打ちかえすポクラヤッツ! するとブラホヴィッチはすぐさま両足タックルでテイクダウンを奪うが、息が上がったブラホヴィッチはこれといったパウンドは落とせない。残り時間30秒で相手を突き放し、立ち上がったポクラヤッツがパンチで前に出る中、第2ラウンドが終了した。
最終ラウンドが始まりポクラヤッツが渾身の右を振り回し、バランスを崩したところにブラホヴィッチが突進する。しばらく相手を押し込んでいたブラホヴィッチは離れ際にフックを命中させる。残り時間2分40秒、パンチで前に出てきたポクラヤッツをブラホヴィッチは賢くテイクダウン。ハーフガードでがっちりと抑え込みながら、コツコツとパウンドを落とし続ける。なんとかここから脱出したいポクラヤッツだったが、ブラホヴィッチの丁寧な抑え込みと、細かなパウンドの連打に阻まれ、下のポジションのまま試合終了を迎えることになった。
ジャッジの判定は3名ともが29-28でヤン・ブラホヴィッチを勝者として支持。危険な乱打戦に時折応じながらも、要所での絶妙なテイクダウンで試合を支配し続けたポーランドのブラホヴィッチが19勝5敗と戦績を伸ばした。一方、28勝25フィニッシュと驚異的なフィニッシュ率を誇るクロアチアの人気ファイター、イゴール・ポクラヤッツだったが、地元ファンの眼前での勝利はかなわず、戦績を28勝13敗1ノーコンテストと落とした。
女子ストロー級 5分3ラウンド
マリナ・モロズ vs. クリスティーナ・スタンチュ

メインカードのオープナーに登場した二人の女子ストロー級は互いにオーソドックスに構え、オクタゴンの中央に進み出る。ガードを低く構えたスタンチュが突然のフロントキックから左右の連打で突進しモロズを金網に押し付ける。モロズが体を入れ替えようとしたところでスタンチュはギロチンで飛びつき、オモプラッタ、そして膝十字と思い切りの良い連続サブミッションで攻め立てる。モロズは落ち着いてこれらのサブミッションに対処すると、残り時間3分にトップを奪取しスタンチュのガードの中から鋭いパウンドを落とし始める。残り時間2分、しばらくボトムで様子を見ていたスタンチュはモロズを左右の足で蹴り離すと攻防をスタンドに戻す。残り時間1分10秒、細かなヘッドムーブから距離を詰めたモロズが右の小外掛けでテイクダウンに成功すると、暴れるスタンチュのバックを奪取! 残り時間が少なくなると、モロズは強引にフェイスロックを狙いに行くが、これはラウンド終了のブザーに阻まれた。
2ラウンドが始まるとスタンチュにはすでに疲労の色が見え始めているが、時折鋭い左ハイ、そしてモロズの飛び込みに頭をずらし豪快な右のパンチを合わせて食い下がる。残り時間2分、パンチで前に出たモロズをフライングトライアングルで引き込んだスタンチュだったがマットに落とされるとすかさず膝十字に切り替える。これを強引に引き抜いたモロズはすぐさまバックマウント、そしてフルマウントへとポジションを進め、強烈なパウンドを落とすがスタンチュは暴れて攻防をスタンドに戻す。残り時間20秒、モロズの踏み込みに右のオーバーハンドを返すスタンチュだが、スピードが落ち始めたようだ。
細かなフェイントから素早いパンチで前に出たいモロズだが、思い切りの良いキックと豪快な左右を振り回し突進するスタンチュをなかなか崩せない。残り時間2分40秒、オクタゴン中央で首相撲の攻防に両者がもつれると、モロズの右小外掛けをスタンチュが小内刈りで切り替えしテイクダウンに成功。スタンチュがすかさず強烈なパウンドを振り下ろすとモロズの電光石火のトライアングル・チョークがスタンチュを捉える! そこからモロズは十字に切り替えフィニッシュを狙い続けたが、スタンチュは試合終了のブザーまでしぶとくこれを守り続けた。
試合は3ラウンドに渡り、終始主導権を握り続けたマリナ・モロズが30-27のユナニマス判定で勝利。UFC女子ストロー級9位の実力を見せつけるとともにその戦績を7勝1敗と伸ばした。一方、無敗記録をひっさげUFCデビュー戦を迎えたクリスティーナ・スタンチュだったがその戦績は5勝1敗となってしまった。