日本時間2016年9月25日(日)にブラジル・ブラジリアのジナシオ・ニルソン・ネルソンで開催されたUFCファイトナイト・ブラジリアのプレリム(前座試合)後半戦の試合レポート。
バンタム級
5分3ラウンド ハニ・ヤヒーラ vs. 田中路教
日本時間2016年9月25日(日)にブラジル、ブラジリアのジナシオ・ニルソン・ネルソンで開催されたUFCファイトナイト・ブラジリア大会プレリミナリー・ファイトのセミ・メインイベントに日本の田中路教が登場、地元ブラジリアの強豪ファイター、ハニ・ヤヒーラと対戦した。本戦を今後2年でのタイトル挑戦に向けた試金石と位置づけ、勝利のみならずその勝ち方にもこだわると戦前に語り、試合では要所でダイナミックな動きでその潜在能力を見せつけた田中だったが、老獪なヤヒーラに試合の主導権を握らると最終ラウンドの追い上げも及ばず無念の判定負けに終わった。
ガードを低く下げながら、距離を取っていた田中だが、偶発的に両者の距離が詰まった瞬間にキックでバランスを崩すと押し倒されるようにしたのポジションになってしまう。飛び込こむヤヒーラを反射的にギロチンに捉えた田中だが、ヤヒーラがこれを得意の肩固めで切り返すと田中は素早く反応して右手を自身の右耳につけて、これをディフェンス。3分近くも絞め続けたヤヒーラは、田中が暴れて肘を引き抜くとすかさずマウントへとポジションを変える。しかし田中一瞬の間を置いてから爆発的な動きでスペースを作るとトップポジションを奪い返す!ヤヒーラはすぐに下からのトライアングルに切り替えるが、田中は前に突っ込みこれを潰し、危なげなくラウンド終了を迎えた。
開始直後の打撃での攻防で、ヤヒーラの右の前蹴りが田中の下腹部に直撃し、試合は一時中断する。再開後に距離が詰まった両者、田中は投げ、ヤヒーラはタックルで激しくポジションを奪い合う。一度はテイクダウンを許しながらも強引に立ち上がった田中はタックルでしつこく組みつくヤヒーラをガブると腹固めでコントロールしようと試みる。するするとこれを脱したヤヒーラはトップを奪い返し、田中が立ち上がってもしつこくその背後にしがみつく。残り時間40秒、田中が払い腰でヤヒーラを投げ捨て、強引にトップポジションを奪ったものの、パウンドを落とすことなくラウンドを終えた。
最終ラウンドに入っても田中の運動量は衰えを見せない。勢いよく右ミドルで飛び込んだ田中は一度はヤヒーラに背後に回られかけるが、これを振り解くと相手のガードの中からパウンドを落とし始める。残り時間3分、両者にブレイクが命じられ、田中はパンチで前に出ると相手に組み付きすぐにテイクダウンを成功させる。ヤヒーラが下からのトライアングル、そしてオモプラータと切り替えたところで田中がこれを潰して腹固めを奪取。しかしここから体をひねって脱出したヤヒーラにトップを奪われてしまう。すぐに立ち上がった田中だが、さすがに動きが落ちてきたようだ。しつこく組みつくヤヒーラをガブった田中がパウンドを落とす中、最終ラウンドも終了した。
ジャッジの判定は29-28のユナニマス判定でヤヒーラ。圧倒的な身体能力で、最後まで相手のコントロールを拒否し続けた神奈川の田中路教だったが、数多の日本人ファイターたちを葬ってきたベテラン、ハニ・ヤヒーラ撃破はならず。田中はこれで11勝2敗、UFC戦績は1勝2敗となった。対するヤヒーラはこれで23勝8敗1ノーコンテスト。
ライト級 5分3ラウンド
ギルバート・バーンズ vs. ミシェル・プラゼレス

開始早々、バーンズの蹴り足をキャッチしたプラゼレスが右ストレートでノックダウンを奪ったが、プラゼレスは深追いしない。距離を取ってバーンズを立ち上がらせるとスタンドでじりじりと圧力をかけ始める。金網際でプラゼレスの連打に捕まったかに見えたバーンズが見事な右フックのカウンターでプラゼレスを吹き飛ばすが、プラゼレスはすぐに立ち上がり、相手に主導権を渡さない。バーンズの打撃をかわしたプラゼレスが何度かテイクダウンを成功させるが、プラゼレスは決して寝技に付き合わず、その都度バーンズを立ち上がらせた。
バーンズが打撃を繰り出すと、プラゼレスはカウンターを狙って左右を繰り出すが、バーンズは巧みに距離をとる。残り時間3分、バーンズが両足タックルに飛び込み、これをガブろうとしたプラゼレスに膝蹴りを突き上げる!これをまともにもらったプラゼレスだが、すぐにしっかりとガードを固めながらオクタゴンの中央に陣取ると再びじりじりと前進を再開する。ラウンド終盤に入るとバーンズが後手に回り始め、プラゼレスの手数に動きを止めるシーンが見られ始めた。
バーンズのタックルをふりほどいたプラゼレスが左のミドルをバーンズに叩き込む!動きの落ちたバーンズを小外掛けでマットに転がすとプラゼレスはパウンドを落とし始めるが、深追いはせずに攻防をスタンドに戻す。相手の真正面に陣取り、ロー、ボディ、そして右のオーバーハンドで圧力を緩めないプラゼレスに対し、バーンズは後退を余儀なくされ苦しそうだ。残り時間1分、勝利を確信して距離を取り始めたプラゼレスに打ち合いを要求したバーンズが攻防を強引に乱打戦に持ち込もうと前に出たところで、プラゼレスはこれを見事な胴タックルで切り返しいなして見せた。
判定は30-27のユナニマスでプラゼレス。柔術世界王者のギルバート・バーンズの寝技を徹底的に封じる作戦が功を奏し、ミシェル・プラゼレスがその戦績を21勝2敗と伸ばし、バーンズは11勝2敗となった。
フライ級 5分3ラウンド ジュシー・フォルミーガ vs. ダスティン・オルティス

至近距離での打撃戦から偶発的に距離が詰まると、この攻防を制したのはブラジルのフォルミーガ。オルティスをひねるように倒すとしっかりと押さえ込みながら有利なポジションを伺い続ける。足を越されるとオルティスは反転してエスケープを試みるが、フォルミーガは素早く反応してポジションを許さない。ラウンド中盤過ぎ、スクランブルは不利と判断したオルティスは、相手を引き付けながらのブリッジで強引にトップを奪い返す。ガードの中からパウンドを落とすオルティスに、フォルミーガはフックスイープを狙い続け、ラウンド終了間際に立ち上がることに成功した。
パンチの攻防から距離が詰まるとフォルミーガは丁寧に脇を差し返し、残り時間4分でテイクダウンを成功させる。フォルミーガはオルティスをハーフガードで押さえ込み、相手の顎にプレッシャーをかけ続けると残り時間3分少々でパスガードに成功。さらにブリッジを打ったオルティスの背後に回り込み4の字ロックで相手を完全にコントロールしながチョークを狙い続ける。一方的な展開ながらもオルティスは顎を引きながら相手のチョークをしのぎつつ、ラウンド終了まで生き延びることに成功した。
絶妙な距離を保ちながら、オルティスの打撃をさばくフォルミーガは時折組みつくそぶりも見せるが無理はしない。残り時間3分、スタンドの攻防から巧みに相手の背後に回り込んだフォルミーガは2ラウンドと同じく4の字ロックでオルティスを完全にコントロールし始める。残り時間15秒、フォルミーガのフェイスロックを体をひねって逃れたオルティスがトップを奪い返し、パウンドを落とそうとしたところで最終ラウンドも終了した。
ジャッジはこの一戦を30-27、29-27、そして29-28でジュシー・フォルミーガの勝利と判定。フライ級3位のその実力を如何なく披露したブラジルのフォルミーガが戦績を19勝3敗と伸ばし、ダスティン・オルティスは15勝6敗と戦績を落とした。
ウェルター級 5分3ラウンド
エリック・シウバ vs. ルアン・シャーガス
オーソドックスに構えたシウバがジリジリと左に回りながらジャブ、そして時折オーバーハンドを振るう。シャーガスがサウスポーにスイッチすると、シウバはすかさずミドルを叩き込み、シャーガスはオーソドックスでの戦いを余儀なくされる。残り時間3分少々、サウスポーに構えたシャーガスはシウバの強烈なインローを被弾するが、一気に距離を詰めると至近距離で左のストレートを命中させる!一瞬動きが止まったシウバだが、背後に組みつく相手を振りほどき、中間距離での打撃戦に攻防を戻す。残り時間20秒、シャーガスのハイキックをダッキングでかわしたシウバが背後から右フックを共振!この一撃で倒れこんだシャーガスにシウバが強烈なパウンドを叩き込む中、第1ラウンドが終了した。
ラウンド開始直後のローキックがシウバの下腹部に命中し、シウバが苦しそうな表情を見せる。再開後の前蹴りを拾われテイクダウンを許したシウバだが、動きを止めずにスクランブルに持ち込むとトップポジションを奪取。シャーガスはやや疲労が見られ始める。しばらくトップからパウンドを落としていたシウバがパスガードを狙ったところでシャーガスは暴れて立ち上がる。すぐに至近距離での打撃戦に両者が転じると、シャーガスの左アッパーがシウバを直撃!崩れ落ちるシウバに襲いかかるシャーガスに対し、相手にしがみつくだけで攻撃が仕掛けられないシウバ。万事休すか、と思われたシウバだったが、シャーガスを巧みにマウントからのアームバーに誘うとトップポジションを奪い返し、瞬く間に相手のバックを奪う!さらにシウバががっちりとリアネイキッド・チョークを食い込ませたが、シャーガスは試合終了のブザーに救われた。
シウバの重たいミドルを被弾しながらもシャーガスが突進して相手を金網に押し付ける。しかしレフリーのオサイリス・マイアはすかさず両者にブレイクを命じ、シャーガスは打撃戦を余儀なくされる。ジャブを突きながらじりじりと前に出るシウバ。シャーガスは時折意を決したようにコンビネーションで前に出るが足がついてこない。シャーガスが低い片足タックルで飛び込むが、これをふりほどいたシウバは足元で動きのとまった相手をまたぐようにバックを奪取。すかさずその腕を相手の喉元に食い込ませ、3ラウンド3分57秒、疲労困憊のルアン・シャーガスからタップを引き出した。
この見事なフィニッシュで連敗脱出に成功したエリック・シウバはブラジル人対決を制し、19勝7敗1ノーコンテスト。一方ここ最近の10戦で無敗と快進撃を続けていたルアン・シャーガスは14勝2敗1分けと戦績を落とした。