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ついに念願のアンデウソン・シウバ戦に臨むマイケル・ビスピン

 

8年前のUFC 83で、”ザ・カウント(伯爵)”の愛称で親しまれるマイケル・ビスピンはチャールス・マッカーシーを1ラウンドで下し、UFCミドル級での初戦を勝利で飾った。アンデウソン・シウバ戦に向けての彼の旅路は、そこから始まっている。

日本時間28日(日)に開催されるUFCファイトパス史上最大の決戦で、マイケル・ビスピンは英国での17連勝という戦績を賭けて、”スパイダー”ことアンデウソン・シウバとの対戦に臨む。これは大陸間決戦であり、伝説同士の戦いであり、ビスピンがオクタゴンに初めて足を踏み入れた時からの宿命の対決なのである。

ジ・アルティメット・ファイター・シーズン3でジョシュ・ハインズにテクニカルノックアウト勝ちを収めた後、ビスピンはエリック・シェーファー、エルビス・シノシック、マット・ハミルを次々に下し、ライトヘビー級で台頭。しかし、後にこの階級の王者となるラシャド・エバンスにスプリット判定負けを喫したことをきっかけに、ミドル級転向を決意する。

 



その時点である程度の衆目を集めていたブラジル人は、すでにミドル級の支配権をしっかりと握りつつあった。

ビスピンがマッカーシー相手にミドル級デビューを飾るひと月前に、アンデウソン・シウバはUFCミドル級タイトルの3度目の防衛に成功、しかも自身のキャリア最大の難敵、ダン・ヘンダーソンを下して、PRIDEウェルター級ベルトとの統一を果たす。この勝利で、”スパイダー”が史上最強との呼び声は高まる一方だったのだ。

ビスピンもこのチャンピオンに敬意を払ってはいたが、当時からシウバのことを”勝てない相手ではない”とみなしていた。

「彼についての自分の意見は、もちろん偉大な選手であることに間違いはない。彼は統一王者やら、なんやかやですごかった。ただ、自分はいつも、決して勝てない相手ではないと見ていた。当時ですら、自分のスキルで彼と良い勝負ができると感じていたんだ」

マッカーシーを下した後、ビスピンは熱狂するロンドンの観衆の前でジェイソン・デイを1ラウンドでフィニッシュ、その4カ月後には今度はバーミンガムでケンカ屋、クリス・レーベンをユナニマス判定勝ちで下し、英国での無敗記録をさらに更新。こうしてコンテンダーとして着実に台頭していたビスピンであったが、”ザ・クリップラー”ことレーベンを下した試合後に、ジョー・ローガンから次はシウバのタイトルに挑戦することになると思うかと尋ねられた彼は、まだ準備万全ではないと答えている。

ビスピンらしくないこの回答はもちろん、彼が聞いていた今後の展開についての情報に引っ張られたものであった。

「正直なところ、もし勝ったら、次はダン・ヘンダーソンを相手に、ジ・アルティメット・ファイターのコーチ役をやることが内定していたんだ。だから、レーベン戦の直後にタイトルマッチが行われることはないと知っていた。もっとも、自分もそれからファイターとして成長してきて、今振り返って見れば、当時のあの答えはおそらく実際に正解だったと思うけれどね」とビスピンは認めている。

ローガンからのタイトルショットの質問に対して、シウバ包囲網からは一定の距離を置くというのがビスピンの役回りだったのである。

ブラジルの絶対王者が戴冠していた7年間に、ビスピンはタイトル挑戦権を賭けた試合に3回臨んだ。そして3回とも、現在では禁じられているテストステロン補充療法(TRT)を受けていた選手(ダン・ヘンダーソン、チェール・ソネン、ビトー・ベウフォート)に敗れ去った。もし現在のUFCの厳しい薬物検査制度がもっと早くできていれば、ビスピンとシウバの試合はすでに実現していたのではないかと思えてならない。

それでもビスピンは、MMA史上最強と言われた男との対戦を諦めることはなかった。

UFC 183での薬物検査で、シウバから2つの禁止物質が検出されたことが、ビスピンは気に入らないようだ。このイベントに先立つ電話インタビューで、ビスピンはドーピングを使っている選手は全員”臆病者”だと断じた。もっとも、ビスピンは過去に使用許可を受けてTRTを使っていた選手に負けたからこんなことを言っているわけではないという。

 



「カンフェランスコールであんなことを言ったのは、シウバが前回の試合でドーピング検査に失格した事実があったからだ」とビスピンは説明する。「これは関係がある話だぞ。ヤツはオレがこの話を持ち出したことに怒っていたと聞いたが、それは傲慢で見過ごすことができない。カンフェランスコールの時点では、試合は決まっていたが、ヤツはまだ出場停止期間中だったんだぞ。シニカルだと思われても構わない。これは関係のある話だ」

2013年7月、クリス・ワイドマンがシウバを2ラウンドにノックアウト、このブラジル人の長期政権を終わらせたことは世界を驚かせる。5年も前からシウバ戦を追いかけていたビスピンにとって、元ミドル級王者が別の男に倒されるところを見るのはつらいことだった。

「ウソはつけない。クリスがアンデウソンを倒した時、”あれをやるのは自分のはずだった”との思いは間違いなくあった。オレに言わせれば、ワイドマンのタイトル挑戦への道は安易すぎたんだ」とビスピンはぶっきらぼうに述べている。「誤解しないで欲しい。クリスはそれまでに、まあまあ強い選手を何人も倒している。トム・ローラーとか、それと後は誰だっけ、ジェシー・ボングフェルドとかいう選手だったっけかな?」

「クリスはマーク・ムニョスも倒した。でもムニョスは長い欠場明けだったから、あの試合の彼はひどかった。それから、見たこともないくらいつまらんデミアン・マイア戦。その後ケガで欠場していて、復帰したらいきなりのタイトル挑戦だったんだ。当時も今も、なぜ彼に挑戦資格があったというのか、自分には理解できない」

無冠とはいえ、シウバは今でも伝説的なファイターであるとビスピンは語る。ついに”ザ・カウント”に、UFCタイトル防衛記録を持つ男に勝てることを証明するチャンスが回ってきたのだ。

「ヤツの伝説はまだ生きているだろうか。答えはイエスでもあり、ノーでもある。ヤツのこれまでの実績には敬意を表する」とビスピンは語る。「ヤツの過去の実績は伝説だが、今のヤツは伝説には見えない。”伝説の男と戦うんだ”と思いながら入場することはとてもできない」

「ヤツを見てこう思うんだ。”オレの対戦相手は過去の遺物だ。自分の対戦相手にもはや往年の力はない。対戦相手はこれまでずっと、ルール違反をしていて、ついさっき出場停止期間を終えたばかりだ。対戦相手は過去2年で1試合しかしていない。そんな男が、これまで世界最強の相手とコンスタントに戦ってきた自分と戦う。だからオレはヤツを完膚なきまでにぶっこわす」

元チャンピオンに勝ったとしても、ビスピンのタイトルへの歩みが終わるわけではない。ビスピンによれば、ルーク・ロックホールドとの再戦はほぼ内定、来年の今ごろには自分がUFCミドル級チャンピオンになっているはずだというのだ。

「ワイドマンとロックホールドが再戦を行う。これはせいぜい、面白いマッチメークだなという程度の話だが、望むべくは自分がアンデウソンに勝って、その後ロックホールドと戦う。ロックホールドは再びワイドマンに勝つだろうから、その次はオレが相手になる」

「リマッチではヤツにはもう頭突きはさせないし、目尻の裂傷もさせない。だから血がオレの目に入って、視界が遮られることもない。そして来年の今ごろには、オレがミドル級チャンピオンになっている。簡単な話だろ」