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ウエノヤマ、KID戦での "ジャパニーズ・ファイト"に準備万全

"俺が怖気づいているかどうか分かることになる、そんなことは無いって見せ付けるつもりだよ。" - ダレン・ウエノヤマ

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伝説的な戦績を作り出すことは事実上どの選手にとっても魅力的な幻想だ。しかし時間の流れの中で、本当にその価値があることを証明したものはわずかしかいない。日いずる国、日本。永遠のスター候補者リストには桜庭、五味、須藤、青木、そして秋山といった名前がある。そしてそのリストの最上部の近くにには獰猛な速筋性筋群の塊、山本KID徳郁がいる。日本のスーパースターであり、そしてダレン・ウエノヤマの次の対戦相手だ。

誰かを倒せば倒した相手の成し遂げたことの一部を奪い去ることが出来、そしてその力の一部が自分のものになると言われている。この”相続”の可能性こそがウエノヤマを駆り立てるものの一部だ。

「10年後には皆がKIDヤマモトのことを、そして彼がそのキャリアで成し遂げたことを話すだろう。」ウエノヤマはUFCデビュー戦を目前に語った。「他の人たちはその機会を失うことになる。俺は実際のところ幸運だったよ、だからこの機会を最大限に生かしたいんだ。」
 
UFC on FoxのアンダーカードはFacebookで無料ライブ中継されることになり、ウエノヤマの心のアイデンティティを刺激し、彼に一層の影響を与えている。ウエノヤマは仏教教会の記録でたどってみると、サトウキビ畑で働くために移住してきた日系アメリカ人3世だ。
生まれはサンフランシスコだが、32歳のウエノヤマは長い間日本とその華やかなMMAシーンにロマンチックな想いを巡らせてきた。結婚費用の3000ドルが必要となった2002年、このブラジリアン柔術の使い手は観客と言う立場からファイターと言う立場になった。とある日本のプロモーターが彼に試合のオファーを与えたのだ-まさに一試合3000ドル、と言うファイトマネーで。ウエノヤマはそのオファーを受け、ネクタイを締め花道をあるく前にプロ初勝利を刻んだ。

ストライクフォースのベテランファイター、ウエノヤマはその祖先の土地、日本でほかにも何度か試合をする機会に恵まれることになった。彼の最も最近の日本での試合は昨年行なわれ、対戦相手は修斗王者の勝村修一郎、あきらかなかませ犬としての対戦だったが大番狂わせを演じて見せた。キャリア最大の金星を挙げたウエノヤマだったがその心が満たされることは無く、むしろ日本で過ごした時間に関して失望したと言うのが正直な感想であった。彼は日本の人々が、彼らの一員としてもっと彼のことを受け入れてくれるであろうと期待し、望んでいたからだ。

「俺は日系アメリカ人なんだ、彼らに俺を受け入れて欲しかった、価値があるということを見せたかったんだ。」ウエノヤマは語った。「俺は日本のMMAシーンの大ファンだった。本当に素晴らしかった、だからそんな考え方になったんだ。でも実際に日本に行って本当のところを見てしまった、疲れ切ってしまった様な感じだった。俺が日本で試合をするときは彼らは俺に日本人のファイターのように振舞うように求めるのに俺のことを外国人のように扱う、本当にハードだったよ。」

「あんまり良い扱いではなかったよ。いつだって彼らは最高の選手を2週間前のオファーでたのむ、といったような状況だった。その上コーナーマンは一人だけ、できたら無しで、ってね。俺が負けるように仕組まれているように感じたよ。」

長期の交渉期間を経てウエノヤマはUFCと契約を結んだ。ハウフ・グレイシーの黒帯柔術家はUFCのデビュー戦の相手が日本のレジェンドになることを知り驚かされた。

「この試合はずっと前に(日本で)実現するはずだったんだ。」ウエノヤマは語った。「試合はUFCだけど、これは本当にジャパニーズMMAファイトだ。二人とも日本のMMAシーンでは知られたファイターだ、スーパー・エキサイティングな試合になると思うよ。俺は退がりながら安全策をとるつもりは無いし、彼がそんなことをするとも思えない。」

「彼がリングに上がってくる様子が目に浮かぶ。そして俺が怖気づいているかどうか分かることになる、そんなことは無いって見せ付けるつもりだよ。距離を詰めて俺のグラップリングが、トップポジションからのパウンドがどれだけ強烈かってのを見せ付けるんだ。もしボトムになってしまってもこれまで見たことも無いようなトランジッションやサブミッションを見せるつもりだ。」
 
パンアメリカン、そしてワールド・グラップリング・ゲームズのタイトルを持つウエノヤマの世界レベルの寝技スキルは非の打ち所が無いものだ。しかし9年の経験を有するベテランのウエノヤマはMMA界ではいまだに一面的な”ジュウジュツ・ガイ”と言うレッテルを剥がせずにいる。その評判が有ったからこそKID山本はこのマッチアップに涎を垂らしているのではないか、とウエノヤマは見ている。

「正直なところ、俺はこのマッチアップはヤマモトは理想的なマッチメークと受け取っているだろうと思っている。」ウエノヤマは語った。「彼は俺が125ポンドに移行することも考えている小柄な135ポンドのファイターであることを知っている。つまり彼はマイケル・マクドナルドの様なデカイ相手とは戦うことにはならないんだ。彼らは俺のことを135ポンドの階級の中では小柄で体力的に非力な相手とみなしていると考えている。さらに彼はいわゆる”ジュウジュツ”ファイター達を相手に良いレコードを作ってきた。ビビアーノ・フェルナンデス、ハニ・ヤヒーラ、そしてホイラー・グレイシー達に勝利しているからね。つまり彼らは俺を既に倒してきた相手達と同様のファイターに当てはまるって考えているんだろう。」

ウエノヤマは試合のオファーを受けた、なぜなら世にある彼に関する偵察レポートは彼の実態からかけ離れたもので埋め尽くされている、と見ているからだ。

「皆、”ああ、アイツはただのグラップラーだ、すぐにテイクダウンに来るよ”って言うだろうね。でも俺はクリス・カリアーゾやヨアキム・ハンセンのような奴らとスパーリングを重ねてきた。本当に大きな影響を与えられたんだ。」ウエノヤマは語った。「だから俺のことをただのグラップラーだと考えている人たちは驚かされることになるだろう。」

「今回初めて試合の為にフルキャンプを組んで備えた。俺の打撃はこれまで俺が見せてきたものより凄く改良されている。俺のMMA用のグラップリングもこれまでで最高の状態だ。さらにほとんどのジュウジュツ・ファイター達と俺にはスタイルに関する大きな違いもある。彼らは俺を過小評価している。俺はハイレベルな試合に臨むときはその高いレベルをきっちりと満たすんだ。俺はプロ5戦目以降、30戦以上の経験のあるファイターとも戦ってきた。一試合ごとにステップアップしている。だから彼らは俺が何をするか予想を立てているだろうけど、俺自身、俺が何をするのか分からないんだ。」

ウエノヤマ(6勝3敗)と山本(18勝4敗1ノーコンテスト)は知らない仲ではない。グラップリング・エースと爆発的なノックアウト・アーティストはこれまで何度もその軌跡が交差し、そのつどそこには温情と尊敬の念が生まれてきた。

「友人だとは言わないよ、でも俺たちは結構フレンドリーな仲だ。」ウエノヤマは語る。「Eメールをしたりアメリカに来たときは道を聞くために電話をかけてきたり。共通の友人も多いんだ。俺の最近の3試合も会場に来ていて、試合が終わると”良い試合だったじゃん”って声を掛けてきた。彼のキャンプからこっちに選手が来て一緒に宿泊したりもした。だから、友人とは言わない-ティト・オーティスとチャック・リデルみたいなことはやるつもりがないけど-でも、知人かな、俺たちは。」

一時は世を席巻した山本がこの4試合のうち3試合も落としていることを気に留めて、ウエノヤマは彼の対戦相手をここ数年のオクタゴン内での日本人ファイター達が経験している”ハードラック”を引き合いに出して弁護したりもする。(この”ハードラック”には岡見勇信以外の日本人ファイター達は苦しんでいるわけだが…。)ウエノヤマはこのため興味深い傾向に対する持論を提案するほどだ。

「特にKIDだけの話ではないよ、最近は日本人ファイター達はUFCでは厳しい状況を味わっている。」ウエノヤマは続ける。「俺の考えではそれは長旅の影響によるものだ。アメリカのファイター達が日本へPRIDEの為に移動したときは、向こうで大いに負けた。それを今は日本人で見ることになっているんだ。俺は長旅のせいだと思うよ、遠くまで来て、なれない食事、時差、どこで食事ができるか、しっかりと食べるにはどうしたら良いかも分からない。外国に旅するってのは放り出されるようなものだからね。」

「個人的に彼(KID)には責任、ってものもあると思う。彼は大きなジムを経営しているし、そこにはたくさんのファイター達がいる。日本ではKIDはアキヤマ(日本のTVスターにしてUFCファイターの秋山成勲)より大きくないかもしれないけど、同じくらいの物凄いスターだからね。

ウエノヤマ自身も多くのものを背負っている。ジャグリング・トレーニング、アカデミーでの指導、そして家族生活。時間の余裕はなく、彼は海に足を運ぶこともままならない状態だ。

「知っているかもしれないけど、俺はサーフィンが好きなんだ。はぁ~、もし俺がプロサーファーだったら格闘技はためらいも無く辞めるよ!でも今はあまりにもやることがありすぎて何ヶ月もサーフィンをやっていない。これは本当に残念なんだ、なにせ今は1年の中でも特にサーフィンには良いシーズンだからね。だから俺は鍵の掛かったGymの中でサーフィンのレポートを読むんだ。それ以外は俺は子供達を育てることに集中している。」
 
ウエノヤマにとって闘うことと父権の間には強いつながりがある。それらは相互に排他的なものではない。彼は自己の発露として戦い、そして彼の子供達がそこから教訓を受け取ることを望んでいる。彼の祖先たちがしてきたように。

「俺の偉大な祖父は世界大戦の間収容所にいた。」ウエノヤマは続けた。「俺の祖父は合衆国軍に勤務していたけど、その頃は、ベトナム戦争や朝鮮戦争があったにもかかわらず合衆国の人たちはベトナム人、韓国人、そして日本人の区別なんて付かなかったんだ。」

「アジア人は”ジャップ”とか他の侮蔑的な言葉で呼ばれた。だから俺はいつも母親の世代から自分の力で立ち上がって見下されることが無い様に必死で働かなくてはいけないって教えられた。俺たちの家族の経験から、俺たちはいつも喧嘩腰だった。祖母からは同じ評価を得るために他人の倍は働かなくてはいけないって話を聞かされた。間違いなく俺に影響を与えたよ。」
 
「俺にとって闘うことは個人を試すことなんだ。俺には闘う才能が有って、その才能で俺がどれだけやれるのかを知る責任があるって感じている。闘うことで俺が自分自身で考えていたよりも、もっとタフだってことを教えられてきた。自分が望むものの為に必死になれってことを教えてくれた。俺の息子の良い手本に機会を与えてくれたんだ…。俺たちはおかしな時代を生きている。”ウォール街を占拠せよ”みたいなことをやっている人たちが一杯いて、彼らはそんなことをやる資格があるって思っている。格闘技は俺に全てのドルを自力で稼ぎ出す手段を与えてくれた。格闘技は俺の息子に自分の努力でそれができる、ってことを教える機会を与えてくれたんだ。格闘技が俺に与えてくれたものの中で最も大切なのはそのことだよ。」