マイケル・ディサントがUFC 148を振り返る……
シウバは王者である事を証明した
チェール・ソネンはアンデウソン・シウバを倒すだけの力は持っていた。しかし、チャンプはそれを上回っていた。1ラウンドまでは過去の試合のデジャヴを感じさせたが、シウバはやはり絶対王者だった。
ソネンはパーフェクトに近い試合運びを見せたが、パーフェクトに“近い”だけではシウバを倒すには不十分だった。そしてソネンは前回の対戦に続いてミスを犯し、それが敗北につながった。
シウバは最後の瞬間まで絶対に気を抜かない。彼に必要なのは相手のたった一つのミスなのだ。そのためには、とてつもない精神力と集中力が必要であり、それに身体能力が伴って、彼は絶対王者に君臨しているのだ。
シウバの次の目標は?
UFC参戦以来15連勝、そして10度の連続防衛成功。5年以上、王座に君臨している。
この記録が破られる日は必ず来るのだが、今は想像ができない。
もはやMMAは、この37歳となる王者に征服され尽くしたかに見える。それでは王者の次の目標はなんだろうか? 私のなかでは4つある。
一つ目は、ミドル級にとどまって、タイトル防衛を続けることだ。
日本時間7月12日の試合でマーク・ムニョスがクリス・ウェイドマンを倒せば、彼は次の対戦相手の候補となるだろう。(編注:試合はウェイドマンが勝利)。そしてヘクター・ロンバードだが、彼はまずティム・ボッシュを下す必要がある。また、マイケル・ビスピンとブライアン・スタンの勝者もここに名前があがる。このように、この階級では名前がたくさんあがるのだが、シウバが彼らと対戦することでモチベーションを保てるかどうかは微妙だ。
二つ目は、史上初の二階級制覇を狙うことだ。
そのためには、一階級上でジョン・ジョーンズを倒す必要がある。しかし、これはジョーンズがダン・ヘンダーソンに勝利すればの話であるが。
多くの人がシウバの相手としては、ジョーンズがベストだと思うだろう。しかし、もしヘンダーソンがジョーンズを下せば、シウバにとってヘンダーソンは一度勝った事のある相手であるため、この挑戦の魅力は半減してしまうだろう。この場合、シウバが勝利する可能性は高い。
三つ目の選択肢は引退だ。
アスリートはそのキャリアのトップで引退すべきと思う人もいるだろう。前例はいくらでもある。
シウバは37歳、そのキャリアは終焉に近づいている。彼は身体能力を武器にしているので、それには必ず限界が訪れる。
もし、彼が今引退しても驚くべき事ではない。特にソネンとの試合を見せてくれたあとならばだ。彼は間違いなく絶対王者であり、一生暮らせるほどの富も手にしている。
ただ、トップに君臨しているうちに引退を決断できるファイターはそういない。フォレスト・グリフィンは「選手がスポーツを引退するのではない。スポーツが選手を引退へと追いやる」と語った。シウバも、完全なる負けを経験した時に引退を考えるだろう。今はそんな時がくるとは思いたくないが、その日は避けがたく訪れる。
四つ目はキャッチウェイトでのGSPとの対戦だ。
この可能性について語られる事がないのには二つの理由がある。まず一つ目は体重差がありすぎるため、シウバにとってジョルジュ・サンピエールに勝ったからといって得るものが少ないからだ。たとえ秒殺KOをしても、「当たり前」だと思われてしまう。そして二つ目に、GSP自身もリスクを負う必要がない。GSPは彼の階級で未だ倒すべき相手がたくさんいるからだ。
嘘だと言ってよ、チェール!
スピニング・バックフィストだって? 嘘だろ?
ソネンが素晴らしいのは、彼が彼らしいファイトをするからであり、決して背伸びをしないからだ。彼はレスラーであり、スタンドの技術は、テイクダウンを奪うための布石に過ぎない。
だから、彼がUFC屈指のストライカーを相手に、スピニング・バックフィストを狙ったのは奇妙なことだった。シウバは瞬間的にソネンの狙いを察知し、見事にかわして見せた。このあと何が起こったかは、皆さんが見た通りだ。
もしソネンが前回と同じように近距離での攻防を望んでいたら、結果はわからなかった。ソネンは決断を後悔しているはずだ。
より強いものが常に勝つ
今回の敗北後、ソネンはこう話した。「負けたあとに、“今日は対戦相手の方が優れていた”なんて言うべきじゃない。常により強いものが勝つからだ」
ソネンは今回、シウバが彼のショーツをつかんでいたことや、膝での攻撃について文句をつける事も出来たのだが、それをしなかった。彼はそのすべてを差し引いても、敗北していた事がわかっていたのであろう。
試合前の舌戦は99%プロモーション用だとわかっていたのだが、彼のこの態度には感銘を受けた。