コナー・マクレガーは打撃でジョゼ・アルドを倒すと予言していた。そして勝負はたった13秒、一発のパンチで決する。
“最後の絶対王者”と言われたアルドにマクレガーが挑んだのは現地時間12日(土)に行われたUFC 194のメインイベント。マクレガーは完ぺきな正確さとタイミングを発揮し、突っ込んでくるアルドのアゴをカウンターの左フックで打ち抜く。アルドはMGMグランド・ガーデン・アリーナのど真ん中で、キャンバスに倒れ込む前にすでに失神していた。
遠路はるばる会場に駆けつけていたアイルランド人ファンたちは、新チャンピオンの腰にベルトが巻かれることも待ちきれず、予言そのままにチャンピオンへと登り詰めた同郷の英雄の快挙を祝って文字通り大騒ぎした。
試合の決着は人々が思っていたものとは違っていたかもしれない。しかし、この記録破りの大会で、マクレガーはフェザー級制圧の目的を完遂してみせたのである。
1. リアリティが突き刺さる
この秋に行われた“Go Big”プロモーションの記者会見におけるマクレガーは極めて雄弁だった。ステージ上の全選手に敵意をむき出しにし、挑発と侮辱の限りを尽くし、ほかの選手からそろって睨み付けられたマクレガーは最後にこう言い放っている。
「何か間違ったことしたっけ?」
UFC 194でマクレガーは絶対王者アルドを1ラウンドで倒してフェザー級ベルトを奪うという予言をまたしても成就させて見せた。これで史上2人目のフェザー級チャンピオンとなったマクレガー。加えて、試合時間13秒はUFCのタイトルマッチ史上最速のKO劇である。
試合後、アルドからベルトだけでなくP4P(パウンド・フォー・パウンド)ファイターの称号も奪い取ったと思うかと尋ねられたマクレガーは、奪い取っていないと考える方が難しいだろうと答えている。
「これまでに偉大なファイターはたくさんいた。偉大な仕事をした人もたくさんいた。でもその両方をあわせて考えてみてほしい」と語るマクレガーは「その2つを合わせたものがファイトビジネスなんだ。それをオレよりうまくやれているヤツはいないと思う。だからパウンド・フォー・パウンドのナンバー1はオレなんだ」と続けた。
2. すべてを出し切る
お互いに全盛期にあるミドル級のトップ2が激突するとなると、チャレンジャーがチャンピオンを倒すには相当な根性が必要になることは間違いない。
試合の2週間前にスタフ感染症にかかり、抗生物質の服用を余儀なくされたルーク・ロックホールドは、ひどい疲労感に襲われながらも、いつでも頑丈なクリス・ワイドマンを下して新しいミドル級王者になった。
ワイドマンも全力を尽くして第3ラウンド終盤の大虐殺を生き延び、どうにか試合を続行させたが、ロックホールドは気持ちを緩めることなくワイドマンを再度マットに寝かせ、フィニッシュしている。
いつもはクールなプレイボーイ風のロックホールドが感情むき出しの試合を見せてくれたことは素晴らしかった。タイトル奪取達成と、チームメイトのダニエル・コーミエとケイン・ベラスケスからの祝福に、ロックホールドはようやく安心して勝利の喜びにひたったのだった。
3. 次期挑戦者の行方
期待されたヨエル・ロメロとホナウド・ソウザによるグラップリングの攻防はところどころで見ることができたものの、この試合を決定づけたのは打撃の応酬だ。
ロメロが早々に繰り出したスピニングバックフィストに驚かされたソウザはそこからレスリング勝負に出る。ダメージ覚悟でロメロをどうにかテイクダウンしようとするも、世界有数のレスラー、ロメロを相手にこの作戦は失敗に終わる。
ランキング3位のロメロは同2位のソウザを倒したことで、タイトル争いの最前線に躍り出ることとなった。
ワイドマンもロックホールドに敗れるまで戦績13勝0敗の大チャンピオンだったため、ワイドマンに再挑戦の機会が与えられたとしても不思議ではない。
ロックホールドは大会後の記者会見で、ロメロが挑戦したいなら、まずはスタミナをしっかり鍛えてこいと冗談めかした。
「オレだって毎回スタフ感染症にかかるわけじゃないんだぞ」とロックホールドは語っている。
4. 男の説得力
ガンナー・ネルソンを制圧し、連勝記録を4に伸ばした直後、デミアン・マイアはUFC 195で行われるウエルター級タイトルマッチ、ロビー・ローラー対カーロス・コンディットの勝者とやらせろとアピールした。
マイアが次の挑戦者になるかどうかは分からないが、確かに説得力はあった。
マイアはウエルター級転向以降、強い勝ち方を続けている。この階級での戦績は7勝2敗、毎回グラップリングの本領を遺憾なく発揮している。
ネルソンは寝技でマイアに抵抗できるかとも思われたが、試合は師匠が弟子に稽古を付けているかのような展開に。2人のジャッジがマイアに30-25をつける圧勝で、自身2度目のタイトル挑戦にむけて一歩前進した。
5. マクレガーの財産を狙う男
マックス・ホロウェイがUFC 194で再び良い仕事をやってのけ、連勝記録を8に伸ばし、この階級でのトップコンテンダーの地位をしっかりと固めた。
マクレガーが今後145パウンド(65.77kg)で戦うのか、155パウンド(70.31kg)に転向するのかがはっきりするまで、この階級に属する選手にとってチャンスの扉は大きく開いている。
ジェレミー・スティーブンスを下したホロウェイはマクレガーがフェザー級にとどまるなら次の試合で彼のタイトルに挑戦したいと語り、さらにUFCが初のハワイ大会を開催するなら、そこでアルドと戦っても良いと述べている。