10回連続タイトル防衛記録保持者アンデウソン・シウバ、無敵と思われた元王者ケイン・ベラスケスを攻略したファブリシオ・ヴェウドゥム、伝説の王者ランディ・クートゥアからタイトルを奪取したヴィトー・ベウフォート、そして9連続ノックアウト勝利記録を更新中のクリスチャン・サイボーグ。
ブラジル・パラナ州クリチバのアレナ・ダ・バイシャーダで開催されるUFC 198ではMMAのレジェンドたちが揃い踏み。全員がブラジル国旗を掲げてオクタゴンに入場し、自国民の前で激闘を繰り広げる。
おそらくは史上最高の選手であり、レジェンドの中でも並び立つ者がいない存在なのが、アンデウソン・シウバ(戦績33勝7敗0分、1ノーコンテスト)だ。”ザ・スパイダー”ことシウバは新星ユライア・ホール(戦績13勝6敗)とのエリートエンターテイナー対決に臨む。一方のホールはジ・アルティメット・ファイター17で繰り出した、歴史に残る強烈なハイキックによるノックアウトでMMAシーンに飛び出して以来、シウバと比較される存在だった。
シウバとホールのスタイル対決は今大会で最も興味をそそられるマッチアップだ。
ホールは長い間、自分が一皮むけるパフォーマンスをイメージしてきていた。そんな”プライムタイム”ことホールが、ゲガール・ムサシをダイナミックに仕留めたとき、この勝利でホールが一気にトップクラス入りしたのではないかと考えた人も多かった。
しかし、ホールは前回の試合でランキング6位のロバート・ウィテカーを相手につまずいてしまい、連勝記録および連続ノックアウト記録を2で止めてしまう。今回、ホールはアイドルとあがめるシウバを相手に、キャリア最大のビッグマッチに挑む。
元ミドル級王者のシウバは2月のマイケル・ビスピン戦で5ラウンド判定負けを喫したものの、本領をかいま見せたシーンもあった。第3ラウンドにビスピンをほとんどフィニッシュまで追い詰めたシーンには昔ながらのシウバの姿が見られたのだが、ビスピンがゴングに救われた格好だった。
シウバは再びタイトル戦線に復帰したいと考えており、この階級での勢いを取り戻すには、ホールはこれ以上望むべくもない対戦相手だ。ホールはUFCに参戦して以来3年、ここにきてすべてのことが1つにまとまり始めていると語っている。しっくりきているのを感じているからこそ、ブラジルではキャリア最高のパフォーマンスを見せることができそうだとホールは言う。
シウバ vs. ホールこそ、UFC 198ペイ・パー・ビューを見るべき理由のナンバーワンだ。
その他、メインカードの注目ポイント
メインイベントで行われるヴェウドゥム(戦績20勝5敗1分)とスティペ・ミオシッチ(戦績14勝2敗)のヘビー級タイトル戦も、UFC 198を見るべき理由のナンバーワンであってもまったくおかしくない。
シウバ対ホールにも負けず劣らずの好カードであり、しかも歴史的にUFC最重要階級のチャンピオンシップがかかっているのがこの試合だ。
ベラスケス、アントニオ・”ミノタウロ”・ホドリゴ・ノゲイラ、エミリャーエンコ・ヒョードル、マーク・ハントを下しているヴェウドゥムは、すでにMMAの歴史上最強のヘビー級ファイターであることを証明している。しかし、他のあらゆるスポーツと同様に、上昇中の次世代選手は常に、トップ選手に風穴を開けてやろうと虎視眈々(こしたんたん)と狙っているものである。
危険なストライカーであるミオシッチは今年始めの試合でアンドレイ・アルロフスキーを1分かからずにノックアウトし、あっという間に対戦相手を眠らせることができる力を見せつけたのだった。
UFCに復帰して以来、ヴェウドゥムの打撃は上達してきている。多くの人の心配をよそに、ヴェウドゥムはこの階級の打撃ツートップであるハント、ベラスケスとのスタンド勝負に応じた。日本時間5月15日(日)、この2人のハングリーなヘビー級ファイターによるオクタゴンでの25分間に、名勝負を期待しよう。
ある意味でこの日最も期待値の高い試合と言えば、クリスチャン・サイボーグ(戦績15勝1敗1ノーコンテスト)がレスリー・スミス(戦績8勝6敗1分)を相手に、ついにお待ちかねのUFCデビューを果たすこと。多くの人が地球上最強女子と見なすサイボーグはMMA史上最も破壊力のある選手の1人である。
サイボーグはこれまで9連続ノックアウト勝ちを収めており、キャリア15勝のうち13勝をノックアウトで飾っている。地元クリチバでスミスを迎え撃つサイボーグはインパクトのあるオクタゴンデビューを目指す。
セミメインイベントではミドル級ランキング2位のホナウド・”ジャカレイ”・ソウザ(戦績22勝4敗)が、同3位のベウフォート(戦績25勝11敗)と、おそらくタイトルマッチ争奪戦となる試合を戦う。ソウザは前回、ヨエル・ロメロ戦で5年ぶりの敗戦を喫した。一方のベウフォートはダン・ヘンダーソンにノックアウト勝ちして勢いに乗っている。
さらに、元ライトヘビー級チャンピオンのマウリシオ・”ショーグン”・フアが、コーリー・アンダーソンを迎え撃ってメインカードのオープニングを飾る。

プレリミナリー(前座試合後半戦)の注目ポイント
UFC 198のプレリミナリーカードはジョン・リネカー(戦績26勝7敗)、チアゴ・サントス(戦績12勝3敗)、ワーレイ・アウヴェス(戦績11勝0敗)という、ブラジルのフィニッシュ屋3連発で幕を開ける。
しかし、注目すべきはプレリミナリーのメインで行われるウェルター級の重要な1戦、マット・ブラウン(戦績22勝13敗)対デミアン・マイア(戦績22勝6敗)だ。
ブラウンは過去10戦で8勝、ウェルター級で4連勝中のマイアを下して、この階級のトップ5に返り咲こうともくろんでいる。
かつてミドル級でタイトルに挑戦したことがあるマイアも、ウェルター級でのタイトル挑戦を待望しており、ブラウンに勝てば、チャンピオンへの挑戦の可能性は高まる一方だ。

アーリープレリム(前座試合)の注目ポイント
アーリープレリムのメインにはライトヘビー級ランキング10位の”リトル・ノグ”ことアントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ(戦績21勝7敗)が、同11位のパトリック・カミンズ(戦績8勝3敗)と対戦する。
両者とも、ライトヘビー級トップ10の位置を維持するためには、この試合ではどうしても勝ちを拾っておきたいところ。ノゲイラは現在2連敗中、カミンズも前回はグローバー・テイシェイラに負けている。
この試合ではスタイルのぶつかり合いが楽しみだ。カミンズはエリート・レスラー、対してグラウンドはノゲイラの世界である。