手厳しい問いかけをされれば、難しい質問だと言うファイターもいるだろう。正直に答えたがらない者もいるかもしれない。しかし、厳しい質問にも正直に答える以外、道はないと考えるのがエリザベス・フィリップスだ。 そして、どんなにタフな質問にも、ためらわずに答えてしまう。UFCで活躍するプロの格闘家として注目を浴びることに感謝しながらも、フィリップスは決してそれが自身の持つすべての存在価値だとは感じていないようだ。 「ファンに“サインください”とか“憧れています”って言われるのは嬉しいこと。でも、自分の生活が支えられて、お金が貰えるのならファンがいなくても1人でトレーニングして格闘技を続ける。それは100パーセント間違いない」 ベテランUFCファイターのジョシュ・ニアーいわく、戦うことうよりサインする方が好きなファイターもたくさんいると言うが、フィリップスは間違いなくその中に入らない。 「戦うために生まれてきた。メディアの対処方なんて決まっていないし、批判してくる人も多くいる。難しいと思う。人口5,000人くらいの小さい町から来ている私にとって、ラスベガスみたいに大きくて華やかな場所は居心地が良くない。ここまでの道のりは決して簡単ではなかったけど、少しずつ慣れてきたと思う。少しずつね」 日本時間8月21日(日)に行われるUFC 202でラケル・ペニントンとの対決を控えるフィリップスがこれまであまりスポットライトを浴びてこなかったのは意外かもしれない。あるいは、逆にスポットライトが足りなかった可能性もある。 「昔から反抗的だと思われてきた。生まれてからずっと。言いたいことを言って、やりたいことをやってきた。だから、人から好かれる立場にはいないことが多い。残念だけどそれが現実」 しかし、その性格がフィリップスを面白いファイターにしているのだ。戦えるだけでなく、彼女にはストーリーと話術がある。その3つはリック・リトルのジムでトレーニングする条件を満たすものだった。現在、フィリップス、ジュリアナ・ペーニャ、マイケル・キエーザ、サム・シシリアの4人がリトルのジムを代表するUFCファイターとして活躍している。それぞれユニークな性格の持ち主であると同時に、4人は同じ目標を共有していると言う。 「私たちのチームはすごくユニークなの。決して大きいチームなわけでもない。常にアンダードッグと思われているし、いつも陰ながらに戦っている部分がある。みんな強い性格の持ち主だし、いつも近くにいるからどんな時もお互いをサポートできる。ケンカすることがあってもお互いに忠実なの」 自分の居場所はMMA界において今のチームしかないとフィリップスは考えている。 「ここ以外で成功できる気がしない。私はここで育ったし、ここ以外で戦う方法を知らない。他がやっている従来のやり方(トレーニング)とは少し違うかもしれない。でも、そこに私はプライドを感じているの。ここのユニークで珍しいトレーニング方法が私に合っていたと思う。ここ以外でトレーニングできると思わない」 “ユニークで珍しい”という言葉が似合うのがフィリップスだ。UFCデビュー以来2連続で判定負けを喫した後、去年7月にジェサミン・ドュークを下して初勝利を挙げたフィリップス。ヒジの手術により勢いに乗ることができなかったものの、女子バンタム級ランキング8位につけるペニントンとの一戦に勝利できれば、トップ15入りも見えてくるはずだ。 ペニントンを下すことでさらに多くの注目を集め、写真やサインを求められることも多くなり、人気も出るに違いない。はたしてフィリップスはそれに対応できるのだろうか。 「試合の準備はできている。頭の中で何度も練習しているし、今は試合に向けてリラックスできている。プレッシャーも感じていないし、自分の実力を見せつける良い機会になると思う。私の実力を甘く見ている人が多くいると思うし、私のことを知らない人もたくさんいるはず。ただの荒いファイターだと思われても間違いではないけど、必ずフィニッシュを狙いに行く。私に賭けている人はお金儲けできるわ」