日本時間2016年6月19日(日)にカナダ・オンタリオ州オタワにあるTDプレイス・アリーナで開催されたUFCファイトナイト・オタワのメインイベントの試合レポート。
日本時間2016年6月19日(日)、カナダ・オンタリオ州オタワにあるTDプレイス・アリーナで開催されたUFCファイトナイト・オタワのメインイベントではウェルター級1位のローリー・マクドナルドと同級2位のスティーブン・トンプソンの対戦が実現した。試合は多彩なフットワークと回転力のある打撃を有するトンプソンが5ラウンドに渡りその主導権を握り続け、50-45、50-45、48-47と大差のユナニマス判定で勝利した。 今年2月には元ウェルター級王者のジョニー・ヘンドリックスをわずか3分31秒で文字通り粉砕し、ファンに衝撃を与えたノースカロライナの“ワンダーボーイ”ことトンプソンはこれで13勝1敗にしてUFC7連勝を記録。試合後にUFCコメンテーターのジョン・アニクにマイクを向けられると「タイトル戦だよ、タイトル戦! ロビー・ローラーとタイロン・ウッドリーの勝者とやらせてくれ!」と叫んだが、彼のこの言葉に異を唱えるものはいないだろう。 試合が始まると独特なワイドスタンスのサウスポーに構えたトンプソンがオクタゴンの中央に陣取るが、1分過ぎにマクドナルドが意表を突くイマナリ・ロール(飛び込み後転からの足関節技狙い)でオクタゴンの中央を取り戻す。再び飛び込みから足関節を狙うマクドナルドだが、トンプソンはこれにも素早く反応し、大きく距離を取る。その後、マクドナルドはトンプソンに組み付くことに成功したものの、これといった攻撃を許さず、トンプソンがこれを振りほどいた。 第2ラウンドが始まると、トンプソンはガードを完全に下げ切っているが、その独特で強烈な打撃を警戒してマクドナルドは得意のジャブを封印しているようだ。マクドナルドは手数が出せずに金網近くまで詰められると、イマナリ・ロールでトンプソンを下がらせ、オクタゴンの中央を取り返す。残り時間2分を切ったところで、マクドナルドはこの試合初めて明確なシングルレッグ・タックルでトンプソンを金網まで押し込みテイクダウンを狙ったが、これは不発に終わってしまう。 これまでのラウンドよりもマクドナルドは距離を詰め、トンプソンのキックの距離を潰しながら強引に組み付きを狙っている。マクドナルドは金網間際までトンプソンを押し込み、そこからカニばさみの様な形で攻防を寝技に持ち込むが、マクドナルドが強引に足関節を狙うとトンプソンは巧みに距離を取る。互いに相手の長所を警戒し、消極的な攻防に陥った両者に場内のファンたちからは不満げなブーイングが送られ始めた。 残り2ラウンドとなり、攻防をより至近距離で行うために、マクドナルドは両手を前に突き出し、顎とテンプルを肩で隠しながら強引に前に出始める。時折マクドナルドがトンプソンを金網近くまで詰めるシーンも見られるが、トンプソンは左右のスイッチを織り交ぜながら素早いパンチの回転でマクドナルドを突き放し、攻防の主導権を渡さない。 最終ラウンドが始まると、ガードを固めて前進し、トンプソンのパンチのうち終わりにカウンターを狙うマクドナルドのパンチが時折トンプソンの顔面をとらえ始める。いまだに切れのある打撃を繰り出し続けるトンプソンを相手に、これはかなり危険な試みであり、ローリーの鼻からはおびただしい出血が見られ始める。ラウンド中盤、両足タックルからマクドナルドが引き込みを見せるがトンプソンは相手をがっちりとサイド・マウントで抑え込みマクドナルドに攻撃の糸口を与えない。距離を取ったトンプソンをマクドナルドは追い続けるが、ついに決定的な攻撃を行うチャンスを得ることなく、5ラウンド終了の時を迎えた。 母国カナダで復帰戦を飾ることができなかったマクドナルドは試合後に「タフな試合だった。これまでで最高の仕上がりだったのに、テイクダウンから何から何まで完封されてしまった。彼の今後の活躍を祈っている」とコメントし、相手に対する賛辞の中に自身への失望を隠すことなくオクタゴンを後にした。