ブラジルMMA界の英雄として知られるクリスチャン・サイボーグが格闘技を始めたのは、シンプルな誘いがきっかけだったという。 すでに無類の実力を持つアスリートとして評価されているが、彼女はそれ以上に格闘家として活躍するための気質を持ち合わせていた。 「10代の頃はすごくタフだったと思うわ。自分でもファイターになるとは思っていなかったからおかしな話だけど、今はファイターになるために生まれてきたと確信している。19歳の時にクリチバで行われたハンドボールの大会に出た時に目をつけられて、 良いファイターになれるって言われた」 「常に挑戦することを楽しいと思えていたし、成功すると信じて決意を固くしてやってきた」 それから数年を通して多くのトレーニングを積んだサイボーグは、現在プロ戦績16 勝1敗(UFC1勝0敗)、そしてインヴィクタFCのフェザー級チャンピオンでもあり、現代の女子最強ファイターとして活躍している。 5月には初のUFCマッチにも出場し、会場のクリチバに集まった4万5,000人の前で、レスリー・スミスを試合開始1分以内でKOしている。そして、サイボーグは日本時間9月25日(日)に行われるUFCファイトナイト・ブラジリアのメインイベントで、スェーデン出身のリナ・ランズバーグとの対決に挑む。 サイボーグは10年以上黒星を記録していない。この見事な連勝記録は今まで続けてきたハードワークの成果であり、今後も途切れることはないだろうとサイボーグは語った。 「何事も完璧でないと嫌なタイプなの。もし自分の家を掃除するなら、世界一掃除がうまい人間になりたい。今まで何度も疲れが取れないまま朝起きることがあった、それでもしっかりジムに行くの。それは自分に厳しくいたいから。人生で起きているすべてのことは、自分がここまで積み上げてきたことの結果」 しかし、格闘技を始めた当初のサイボーグは、プロからトレーニングを受けることもなく、試合を組むことさえ一苦労だったそうだ。2005年にサンパウロで行われた初試合では、第1ラウンドでサブミッション負けを喫している。 その後もジムに戻りトレーニングと重ねたサイボーグは、数カ月後に女性として初めてMMA大会のメインイベントに出場することとなったのだ。その試合では、しっかりと 第1ラウンドでエリカ・ポートを下している。 まだ格闘技の経験が薄かった頃のサイボーグを支えたのが、師匠のハファエル・コルデイロだった。現在はキングスMMAでコーチを務めるコルデイロは当初、シュートボクセ・アカデミーでトレーナーをしていた。弟子のサイボーグと多くの 思い出を作ってきたコルデイロは、クリス・サイボーグという人間を一言でこう表現した。 「勇敢」 コルデイロはサイボーグについて次のように語っている 「彼女は常に勇敢な心の持ち主だった。誰と対決するにも、彼女のメンタル面が一番の武器だったと思う。ジムでは男子に交じって練習をしていて、恐れを知らないクリスを相手にする時は油断できないとみんな分かっていた。男子相手でも引き下がらず、前進するんだ」 どれだけの成功を収めようとも、サイボーグは常にゴアーテ夫人の娘として活躍してきた。愛する母親のベルシマ・“ゴアーテ”・モラエスは、クリチバで裁縫師をしている。
UFC 198に先だって配信された特別番組では母親のいる地元を訪れ、女家長が手作りした綺麗なドレスを着る姿などが見られた。 そんな彼女の母親に対する敬意が彼女の意気込みとなっていた。チャレンジの前には常に母親のことを考えているとサイボーグは明かした。 「8歳の時から働いている母親から、良いことをたくさん受け継いだ。母親は、起きたらまず泳ぎに行って、運動して、それから自分のやるべきことに取り掛かるの。1日中動いている、止まることを知らない。でもそれが私の原動力になっている」