日本時間7月10日(日)に開催されるUFC 200で再びライトヘビー級統一王者に輝くチャンスが与えられるジョン・ジョーンズにとって、がまんならない言葉がある。“F”から始まるあのワードだ。 ジョーンズが言うFから始まる言葉は“Former(以前の/元の)”を意味する。 「UFCでは長い間チャンピオンとして戦ってきた。だから王者であることに慣れている。みんなから“チャンプ(王者)”と呼ばれていたし、みんながオレを王者として知っているはずなんだ。それもあって“元ライトヘビー級王者”って言われるのが好きじゃない。早く“元”を消し去りたいんだ」とジョーンズは語った。 28歳になるジョーンズにとって“元王者”という言葉は弱みとなっていた。ジョーンズは試合に敗れてベルトを失ったのではなく、自身の拠点地であるニューメキシコ州アルバカーキで起きたひき逃げ事件に関与していたとして、2015年にベルト剥奪されているのだ。それ以来、ジョーンズは人生を見つめ直すことや人間関係の再建に励みながら、再び世界最強のライトヘビー級ファイターに輝くだけでなく、過去最強の総合格闘家を目標にしている。 史上最強を目指すジョーンズは今年4月にオヴィンス・サン・プルーを下し、暫定ライトヘビー級タイトルを手にしている。それでも、ジョーンズは決して満足はしていない。 暫定王者のベルトはクローゼットに押し込んであるのかと聞かれたジョーンズは「本物のベルトの横に暫定王者ベルトを飾った。ただオレにとっては何の意味もないベルトだけどね」と笑う。 ジョーンズにとって暫定チャンピオンベルトは王者ダニエル・コーミエと対戦するまでの代替物に過ぎない。ジョーンズ不在時にコーミエ以外のファイターが王者になっていたとしても、ジョーンズのタイトル奪還に対する気持ちは変わっていないだろう。2015年1月に行われたUFC 182で一度コーミエを倒しているジョーンズだが、コーミエに対する敵意は健在だ。まもなく2人は再び拳を合わせる。その瞬間、ここ数年に渡り続いた抗争にようやく終止符が打たれることになるかもしれない。
「オレたちのライバル関係が面白い理由は、お互いが心からお互いのことを嫌っているのはもちろんだけど、2人とも勝利者であることもあると思う。お互い背負っているものも大きいし、プライドも高い。オレたちにとって勝つことがどれだけ重要なのかをファンも感じてくれていると思う。勝つことが人生だし、DCもオレも勝ってこそ自分の存在価値がある。DCは王者の価値があるファイターだ、それがヤツのあるべき姿なんだ。オレたちを倒せるのはお互いしかいないことをファンも分かっているはず」とジョーンズはコメントした。 前回の対決はジョーンズが勝利しているものの、今回ベルトを保持しているのはコーミエということもあり、UFC最大の大会のメインイベントを飾るのにはふさわしい一戦になっている。2009年に行われたUFC 100のプレリム枠でジェイク・オブライエンと対決した経験を持つ“ボーンズ”ことジョーンズは今大会の重要性を十分に理解しているようだ。 「自分にとって良いマイルストーンになる。決して軽く考えていないし、重要な大会だってことも分かっている。こういう大会のメインイベントに出場できることを嬉しく思うし、全力でトレーニングするモチベーションになる。運命を感じる。タイミングもオレの味方をしている。UFC 197ではDCがケガをしたからオヴィンス・サン・プルーと戦うことになって、自分でも気づかなかった能力の低下を脱却できた。あとは過去最大の舞台でベルトを取り戻すだけだ」 しかし、ジョーンズの目的はベルトを奪還することだけではなく“元”を払拭することなのだ。 「ダメになってしまったファイターみたいな気分になるんだ。負けてもいないのに負けた気になる。“元”っていう言葉を見たくない。オレが30歳になって、若手に負けたとかだったらまだ分かる。オレは今までで一番調子が良いし、過去最強のファイターになろうとしている。だからどうしても“元”って言葉が気に食わないんだ」 良くも悪くもメディアに対しては今までも率直な意見を述べてきたジョーンズだが、ここまで正直なジョーンズは見たことがない。過去にはあまりにストレートすぎる発言から怒りを買うこともあったが、最近はどうやら他人の意見は気にしていないようだ。もちろん人から嫌われることは好まない。しかし、自分らしさを失ってまで人に好かれることは決してしない。ジョーンズはジョーンズなのだ。彼のファンであることに越したことはない。ファンでなくても彼は決してそれを変えようとはしない。周りの意見を気にしない。それが去年経験した混乱から得た最大の点かもしれない。 「自分らしく、プロとして自由にやろうと思っている。ファンに対して隠すことなんて何もない。インタビューで何を言おうと、自分に欠けているところもすべて見てもらって、自分らしくいたい。やっとすべてを忘れて戦うことに集中できる」