勝敗記録を見ただけでは試合内容や選手の特性を理解することは難しい。
例えば、アレクサンダー・グスタフソンはここ最近の4試合を1勝3敗で終えているが、この戦績だけでは彼が優秀なライトヘビー級ファイターであることは分かりにくいだろう。負けた相手は同階級の上位3選手であり、2回の判定負けを喫したとはいえ、いずれも接戦の試合を繰り広げ、ライトヘビー級史上最高の戦いだったと言っても過言ではない。
UFC通算1勝2敗のチャールズ・ローザもまた、勝敗記録だけを見れば決して印象的な選手ではないが、アメリカン・トップ・チーム(ジム)出身のローザは目下、フェザー級で注目を集めているファイターのひとりであり、その裏には戦績だけでは伝わらない彼の能力の存在があった。
「負けるのは嫌いだ」と語るローザはUFCでの2敗について「ただ、2回ともすごく惜しい試合をして負けているし、ファイト・オブ・ザ・ナイトも貰っている。だから、そこまで自分を責めてないかな」と振り返った。「敗北感みたいなのはない。両試合とも良い試合展開ができていたし、ノックアウトとかタップで負けた訳じゃないからそこまで気にしてない」
ボストン出身のローザがオクタゴンデビューを果たしたのはデニス・シヴァー戦だった。試合まで5日という短い準備期間にもかかわらず、トレーニングで訪れていたオランダからスウェーデンへ乗り込んだのだ。そして、ケージの中に入ればベテランであるシヴァーを追い込む戦いを見せ、ファイト・オブ・ザ・ナイトに選ばれて賞金5万ドル(約590万円)も獲得している。
その後、昨年1月に地元ボストンでショーン・ソリアーノに勝利したものの、メキシコシティで行われた大会でヤイール・ロドリゲスに判定負けした。ロドリゲスは多くのファンから注目されている23歳の若手で、南米版ジ・アルティメット・ファイター優勝者だ。
「ヤイールとの試合はもっと厳しく特訓するきっかけになった。すごく勉強にもなったと思う。自分には何ができて、逆に何ができないのかが分かったいい機会だったよ。1勝2敗は響きが悪いから早くまた試合に出て自分の強さを証明したい」と笑いながら語ったローザは「UFCに参戦する前はフィニッシュで9連勝していたからそのころの調子を取り戻したいね」と続けた。
「負けは引きずらないタイプだけど、毎回必ず何かを試合から学ぼうとしている。ヤイールのうまかったところを真似て自分なりにアレンジしたり、自分が不得意だと思ったところはジムで直したりしている。何事も勉強だよ」
「どんなことも理由があってそうなるんだと思っているし、それがオレの人生だからね」
試合経験の他にも、ローザには所属ジムが有する数々のリソースを活用できる。現役のトップファイターをはじめ、選手からコーチに転身したマイク・ブラウン、ディン・トーマスなど、ローザが今後必要とする知識を持った多くのサポート要素に恵まれているのだ。
「マイク・ブラウン、ダスティン・ポワリエといったグラップリングやストライキングを得意とする選手とトレーニングをすれば怖い物はないと思っている。自分がオクタゴンの中でどれだけのことができるのかも分かっているつもり」
「ロビー・ローラーみたいなファイターを目標にしている。一度UFCをクビになりながらも、今は復帰を果たしてウェルター級のチャンピオンになっているだろ。彼みたいなファイターを見ているとモチベーションが上がって、現実的なゴール設定ができるようになる」
しかしながら、地元ボストンでの凱旋試合に臨もうとした矢先、若干のプラン変更を余儀なくされた。
当初、対戦予定だったペンシルベニア出身のジミー・ヘッテスが膝のケガにより欠場を強いられ、新たにアウグスト・メンデスと戦うことになったのだ。アリゾナ州グレンデールのジムでトレーニング中のメンデスは“タキーニョ”の異名を持ち、ブラジリアン柔術世界王者に何度も輝いたファイターだ。キャリア5連勝の完ぺきな結果がオクタゴンデビューへとつながった。
とはいえ、新たな対戦相手の功績も直前の対戦相手変更もローズには関係ない。彼にとっては地元の家族や友達の前で試合することが何より重要なのだ。
今回の対戦相手の変更について「相手が1週間前に変わろうと、何日前に変わろうと関係ない。今までも対戦相手の変更には応じてきたし、実際、誰と戦おうと関係ないよ」と語ったローザ。「誰とでも戦える準備はできていたし、どんなことがあっても今週末に戦わないなんてことは絶対なかった」
「ジミー・ヘッテスと戦えないのは残念だね。彼を想定してコーチと一緒に準備してきたし、サウスポーと戦う準備もできていた。ただ柔術もたくさん練習したから、グラップリングにも対応できるはずだし調子もいいよ」
メンデスの柔術においての功績や実力は認めているものの、ローズは決して自身が劣っているとは感じていないようだ。
「彼のことをあまく見ているなんてことは絶対にない。(メンデスが)5試合を全部フィニッシュで勝利しているのにはしっかりした理由があると思うし、簡単に倒せる相手ではないのも分かっている。強いからUFCで戦うんだし、ボストンでは接戦になると思っている。ただ誰が相手になろうと実際は関係ない、5カ月間しっかりトレーニングしてきたし、今までで一番準備ができていると思う」
「いつも通りにやるだけだよ。そしたら結果はいつも通りついてくる」