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中村、またしても伝家の宝刀で逆転一本勝ち!

日本時間7月14日(木)、アメリカ・サウスダコタ州スーフォールズにあるダニー・スタンフォード・プレミア・センターで行われたUFC ファイトナイト・スーフォールズのメインカード(セミメインイベントまで)の試合レポート。

ライト級 5分3ラウンド 
トニー・ファーガソンvs. ランドン・バンナータ




UFC 13の覇者、ファーガソンは現在7連勝中。前回はエジソン・バルボーザを得意のダースチョークで葬り、現在ランキング3位につけている。

対するバンターナはこれまで8戦全勝の戦績を持ち、これがUFCデビュー。当初ファーガソンと対戦予定だったマイケル・キエーザの負傷欠場が決まったため、今回急遽大抜擢を受けることとなった。

1ラウンド、両者オーソドックス。柔らかい左のリードで距離を測るファーガソンに対し、バンナータはガードを下げた構えから、フックやバックスピン等のトリッキーなカウンターを見せる。やがてファーガソンのジャブが当たり、バンナータがフラッシュダウン。その後バンナータが関節蹴りからスピニングバックフィストをクリーンヒット! 一瞬ぐらついたファーガソンだが、すぐ回復したか左右のパンチを放つ。

その後ファーガソンの左に合わせて、バンナータの右ストレートがヒット! またしてもぐらついたファーガソンだが、お返しのバックフィストをカウンターでヒット。やがて、ガードを下げた構えのバンナータに、ファーガソンの左が当たる場面が増えてくる。 さらにファーガソンはワンツーを当てるが、ここで再びバンナータがバックフィスト。 さらにファーガソンの蹴り足を取ったバンナータの右ハイが当たってファーガソンが膝から落ちる!

ファーガソンは立ち上がろうとするが、そのたびにバンナータのパンチを貰って崩れ落ちる。バンナータがパウンドで追い打ちに入ったところで、ファーガソンは下からスピンして膝十字へ。さらに内ヒールに入るがバンナータはポイントをずらして上に。するとファーガソンは下から腕十字! 腕を伸ばしかけるが、バンナータはディフェンス。圧倒的不利と見られていたバンナータの大健闘に場内が震撼するなか、1ラウンドが終了した。

2ラウンド。距離を掴んだか、左ジャブを連打で当てるファーガソン。何発も被弾するうちに、バンナータから軽快なフットワークが消え、大振りのカウンターが空を切る場面が増えてゆく。やがてファーガソンは左ミドルを交えて攻撃。

さらに強烈なスーパーマンパンチを当てたファーガソンは、左右の連打。これをバンナータが緩慢なボディワークでかわそうとしたところで、首を捕らえてギロチンに。バンナータが手で防ごうとすると、スタンディングのまま必殺のダースチョークに移行! そのままバンナータを引きずり下ろして角度を付けて締め上げると、2分22秒でバンナータはついにタップした。

予想をはるかに上回る大健闘を見せたバンナータに対して、ファーガソンはその腕を上げて称えた。

大苦戦を強いられたものの、最後は必殺技で仕留めてみせた8連勝を飾ったファーガソンは「ランドンにリスペクトだ。盛り上がってくれたファンもありがとう。相手が変わって大変だったけど、皆の前で戦えた嬉しかったよ。殴られるのは全然問題なかったよ。もっと殴られてえなと思ってたくらいだな。(新王者の)エディ・アルバレスが俺と戦いたくないのは分かっている。まあ楽な相手と戦いたいのなら、コナー・マクレガーとやればいいさ。でも俺はお前の玄関の前で待っているぜ!」と語った。


ミドル級 5分3ラウンド 
ティム・ボーシュ vs. ジョッシュ・サマン




タフネスを誇るボーシュは現在3連敗中。対するサマンも前回はタンデム・マックロイに敗れており、白星街道に戻りたい両者による対戦となった。

1ラウンド。いいタイミングで中に入ってボディロックに入ったサマンだが、腰の重いボーシュは崩れず。やがてボーシュは逆にサマンを投げて上を奪取。サマンを金網に押し付けてパウンドを入れるが、サマンは金網を背に立ち上がる。

やがて再び組み付いたサマンはボーシュの背に付くが、ボーシュは正対。その後金網際でのクリンチの攻防が続き、立ち技でも両者有効だが出ないままラウンドが終了した。

2ラウンド。サマンの蹴り足を取ったボーシュがテイクダウンに成功。サマンのガードの上からパウンドを当ててゆき、さらに立とうとしたサマンに圧力をかけてハーフの上に。そこからキムラグリップを作ってサマンの左腕を取ろうとするがサマンはディフェンス。

しかし、やがて細かいパンチを放ってマウントを奪い、重い腰でサマンの動きを封じたボーシュはパウンドのラッシュ! 横向きになったサマンにヒジとパウンドを放ち、やがて背中を見せたサマンにパウンドの追い打ち。打たれるがままになったサマンを見て、3分49秒、レフェリーが試合をストップした。

連敗を3で止めたボーシュは「ケージに相手を詰めてフィニッシュするポジションはよく練習してきたんだ。来てくれたみんなありがとう。あと2試合いい試合があるから楽しんでくれよ。(向こうがテイクダウンを狙って来たことは)驚いたけど、ありがたかったよ。力と力で戦いたかったからね。それでグラウンド持ち込んでうまくいった。パウンドを打つとき、ちょっと興奮しすぎたのが分かったから冷静に戦ったんだ。僕はいまから全盛期だ、これからまだまだ戦うよ!」と語った。


ヘビー級 5分3ラウンド 
アレクセイ・オレイニク vs. ダニエル・オミランチェク




ロシア出身39才のオレイニクは、14年にUFCに登場して2連勝。約1年半ぶりのオクタゴンとなる。対するポーランドの33才オミランチェクも最近連勝中。連勝を伸ばすのはどちらのヘビー級戦士か?

1ラウンド。いきなりパンチで前に出たオレイニクは、金網に詰めてのシングルレッグでオミランチェクに尻餅を付かせると、足の上に座って頭でプレッシャーをかけてオミランチェクの背中を付かせることに成功。そのままマウントを奪う。さらにハーフから袖車締めを狙うが、オミランチェクもディフェンス。やがてオミランチェクは立ち上がることに成功するが、オレイニクに再び倒されてバックを奪われてしまった。

2ラウンド。前に出たオレイニクにオミランチェクのカウンターの左がヒット! さらに左ミドルをもらったオレイニクは力なくテイクダウンに行くが、オミランチェクは難なく切って上に。ハーフの上から重いパウンドとヒジを落としてゆくが、ここでオレイニクは下からスピンして膝十字へ! さらにヒールに変化したオレイニクは、そのまま上を取ってサイドの奪取に成功! 強烈な袈裟固めで締め上げるが、オミランチェクは体を起こして上を奪い返す。

再びハーフ上から肘を落としてゆくオミランチェク。しかしオレイニクは脇を差して上になり、やがて両者は立ち上がる。スタンドで強烈な左ヒジを当てたオミランチェク。しかしオレイニクは、顔面を血に染めながらも前に出てテイクダウンに入り、ケージ際で倒してマウント奪取。オミランチェクが返そうとしたところで腕十字に移行したオレイニクは、下になるとさらに三角締めに。しかし完全に足をロックすることができず、オミランチェクのパウンドをもらってしまった。

3ラウンド。すぐに低いテイクダウンに入ったオレイニクは金網に押し込んで倒そうとするが、オミランチェクに切られて上を取られてしまう。オレイニクのガードで両者は膠着し、やがてレフェリーのブレイクが入る。

スタンドで再開後、またしても金網までオミランチェクを押して行ったオレイニクは、足を引っこ抜いてのテイクダウンに成功。そのままバックに回る。そのままマウントに移行しながらの肩固めを狙うオレイニクだが、オミランチェクが体を返して正対して上に。ここでレフェリーが再びブレイクした。

残り時間僅かの時点で、前に出るオレイニクに対してオミランチェクがカウンターのテイクダウンに成功。上のポジションを取ったまま試合を終えた。

ヘビー級の両者による一進一退の激戦の判定は、2-1(28-28, 29-28, 29-28)でオミランチェクに。テイクダウンを奪われ、サブミッションを狙われてもエスケープしてポジションを奪い返し、立ち技で有効打を当てたのが決め手となったようだ。


ウェルター級 5分3ラウンド 
カイル・ノーク vs. 中村K太郎




オーストラリア出身で36歳のノークは、UFCで6勝4敗のキャリアを持つベテラン。昨年は2連勝と好調だったが、今年1月はアレックス・モロノに判定1-2で惜敗している。

対する「裸締め10 段」こと中村は、昨年の日本大会でリー・ジンリャンに伝家の宝刀チョークで大逆転勝ちを収めるも、昨年2月のトム・ブリーズ戦では、再三テイクダウンを奪いながらも足関節の仕掛けからポジションを返され、判定3-0で敗戦。得意の寝技で上回れなかった経験を今回、どう活かしてくるか注目だ。

1ラウンド、サウスポーの中村とオーソドックスのノーク。両者が接近したところで、最初に出したノークの左ジャブが強烈にヒット! ぐらついた中村にノークはラッシュをかけるが、中村も右で反撃して両者は距離を取る。

中村は右のリードでプレッシャーをかけるが、ノークは強烈なミドル、ロー、前蹴りを放って距離を取っては、左のジャブを当ててゆく。ワンツーで前に出る中村のプレッシャーをサークリングしてかわすノークは、やがて組み付いてボディロックでテイクダウンを奪うが、中村はすぐに立ち上がる。その後もパンチで圧力をかける中村と、回ってカウンターを打つノークという展開が続いた。

2ラウンド。前に出た中村はテイクダウンに入るが、ノークは切る。その後も、たまにジャブを被弾しながらも前に出続ける中村は、3分過ぎに左ストレートをヒット! さらに右フックを当ててラッシュをかけるが、ノークは回って逃げる。さらに前に出た中村に対して、ノークはカウンターのテイクダウンを決めると、立ち上がった中村の背後について近距離からパンチを当てて離れる。

ラウンド終盤、前に出た中村の左ミドルがヒット! さらに中村が左右のパンチのラッシュをかけてノークを金網に詰め、首相撲から膝を顔面に入れるとノークがダウン! 襲いかかった中村はパウンドからあっという間にマウントを奪取すると、嫌がって背を向けたノークの背後に付き、すぐさま伝家の宝刀チョークへ! 締めながらノークの体を完全に伸ばしてみせ、ノークがタップした瞬間に終了のブザーが。4分59秒、カウンターを被弾しながらも前に出続けた中村が、必殺技の切れ味を見せつけて会心の一本勝ちを収めた。

セコンドの植松直哉をテイクダウンして喜びを表わした中村は「もう、うれしくてしょうがないです。押忍。(フィニッシュシーンを振り返って)ちょっとね、視界が殴られて悪いんで、でもいつも通り僕のサブミッションは素晴らしい」と語った。


フライ級 5分3ラウンド 
ルイス・スモルカ vs. ベン・グエン




ハワイ出身の24才スモルカは、現在UFC3連勝中。昨年10月にダブリンで行われたファイトナイトではメインに大抜擢され、地元のパトリック・ホロハンと会場大興奮の一進一退のグラップリング合戦を展開、最後はチョークで一本勝ちを収めている。現在ランキング12位だ。

対する地元スーフォールズ出身の27才のグエンも、昨年のUFCデビュー以来2試合連続で1ラウンドフィニッシュを決めている。勢いに乗る両者の対決だ。

1ラウンド。パンチで突進したグエンはスモルカの投げを潰して上を取るが、スモルカはすぐに立ち上がってタックルして逆に上を取る。しかしグエンはスモルカの脇を抜けてバックを奪取! さらにマウントを奪うがスモルカは体を捻って正対して上に。するとグエンがオモプラッタで上を再び取り返すが、スモルカは下から足狙いから三たび上に。両者による凄まじいペースのポジションの入れ替え合いに、場内からは大歓声が沸き上がる。

さらにスモルカは、立とうとしたグエンにダースチョークを仕掛け、極まらないと見るや強烈なパウンドを放ち、さらにマウントを奪うと強烈なヒジを打ち下ろしてゆく。何発も被弾して多大なダメージを負ったグエンだが、抵抗を続けてガードに戻してラウンドを乗り切った。

2ラウンド。前に出たスモルカがタックル。グエンはまたしても脇をくぐってバックを取りかけるが、スモルカはすかさず前転して上をキープする。その後スモルカは、相手をケージに詰めてパウンドからギロチン、さらに上を取ってパウンドとヒジ、アキレス腱固め、ギロチン、三角締め、バックからのチョークと怒涛の波状攻撃を繰り出すが、グエンはことごとくエスケープ。

しかしスモルカは逃げられるたびに上をキープして、パウンドやヒジで削っては別のサブミッションを繰り出してゆく。 ラウンド終盤、チョークを逃げられた後にまたしてもマウントを奪ったスモルカが、消耗しきったグエンの顔面に強烈なヒジを連続で打ち下ろすと、4分41秒でレフェリーが試合をストップした。

前回に続いて激しいスクランブルの攻防を制した勝者は、「(フライ級王者の)デミトリアス・ジョンソンが負傷したから、僕がウィルソン・ヘイスと暫定王者をかけて戦いたいね。最初にいいのをもらってしまったけど、その後は冷静にスクランブルで攻め続けることができた。相手がハーフからディープハーフに移行する時にはヒジを打ち込むチャンスだから、何発も打ち込んだよ。ハワイ、戻るのを待ち切れないよ」と語った。