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仲間の死、悲痛の中で戦うローゾン

 

UFCきってのアクションヒーローとして知られるジョー・ローゾンは、恐怖心というものを持たないファイターだ。オクタゴンに足を踏み入れればこの世のことなど気にならぬかのように振る舞うが、それはローゾンが目の前の試合だけに集中しているがゆえだ。

息子ジョーイのガンの脅威に直面した際のことをローゾンはこう振り返った。

「ジョーイと一緒に経験したことを考えると、格闘技が簡単に思えるんだ。トレーニングは決して簡単じゃないし、つらくなる時もあるけど、それでもまだ簡単な方だ。格闘技は自分の自由が利くし、自分の思い通りにことが進む」

日本時間8月28日(日)にバンクーバーでジム・ミラー戦に挑むローゾンはガンを克服して現在2歳半になったジョーイと過ごす時間を楽しんでいる。しかし、ベテランのライト級ファイターであるローザンは現在までの道のりを忘れたわけではない。来月25日に行われる恒例のジミーファンドウオーク(ガン患者のためのチャリティーイベント)のために、チーム・ジョーイの準備に追われているようだ。



「ジミーファンドがなかったら、ジョーイは助かっていなかったと思う。オレたちにとって本当に助けになったし、ジョーイが助かったから他の人はどうでもいいなんてことはしない。あの経験は絶対に忘れない。他の子たちの助けになれるように、この活動を続けていくことが重要なんだ。ジミーファンドには良くしてもらったし、恩返しのつもり。やっていて気分が良い」

先月のUFC 200でディエゴ・サンチェスを第1ラウンドで下し、自身のUFCキャリア最大の白星を挙げたローゾンの人生はこれ以上ない充実を見せていた。

しかし、8月6日、ローゾンMMAのメンバーであるデヴィン・キャリアーが交通事故により命を落としたのだ。キャリアーはまだ21歳だった。

「デヴィンはオレが毎日一緒にトレーニングをしていた仲間の1人だった。弟みたいに思っていたし、すべてのトレーニングを正しくこなした数少ない人間だった。トレーニングには常に全力で取り組んでいたし、格闘技に対する素晴らしい頭脳を持っていた。厳しいトレーニングからも逃げずに、苦手を克服するために勉強熱心な男だった。タフで、ジムの外でもしっかりダイエットに取り組み、筋トレにも励んでいた。とにかくすべてを完璧にこなしていたんだ。土曜日の朝、一緒にトレーニングした後、デヴィンとデヴィンの兄貴がジムから家に帰っている途中に事故に遭ったんだ。とにかく残念よ。最高の仲間だっただけに悲しい」

「ジムに行くたびに“クソ。デヴィンはもういないんだ”って思う。デヴィンが乗っていたのと似たような車を見ると、デヴィンが来たと思ったりする。残念でしょうがない。いろんな意味でつらい」

さすがのローゾンも気を落としてしまう出来事だったが、彼にはいつもジム、そしてオクタゴンになすべきことが待っている。ノックダウン、あるいはサブミッションで勝利を狙ってくるであろうミラーについてローゾンはまったく心配していないと語った。



「ジム・ミラーに負けるのは嫌だ。もちろん勝ちたい。でも、そこまで重要な話じゃない。今は他に重要なことがたくさんある。それが現実なんだ」

ミラー対ローゾン2は、2012年に行われた2人の対決――当時はミラーが勝利している――を見れば分かる通り、わざわざ取り立てて語る必要ないほど好試合が期待できる。舌戦を繰り広げることもなく、敵意もない2人の試合は、ファイト・オブ・ザ・イヤーを獲得する可能性を十分に秘めている。そんな両者の評判と実力は証明ずみだ。

「常にファンが見たいような試合をするように心掛けているし、ファンもオレの試合を見るのを楽しみにしてくれていると思う、それは成功している証だと思う。重要なことだ。試合を無駄に宣伝しなくてもいい。ディエゴと戦う前に友達には“ディエゴとは今までも仲良くしてきたし、良い関係にいるけど、試合は殺し合いになる”って言っていたんだ。ジム・ミラーとの試合も同じだ。良い試合になるのはみんな知っていると思う。お互い流血しながら傷だらけで戦うことを恐れない。とにかく全力で倒しにいくだけだ。良い試合になるはず」

この試合が15分の戦いになろうと、それ以下であろうと、ジョー・ローゾンにふさわしい居場所は他にない。