UFC 218見どころ:豪華カード満載! ホロウェイとアルドの再戦に超新星フランシス・ガヌー登場

UFC PPV 見どころ
UFC 212:ジョゼ・アルド vs. マックス・ホロウェイ【ブラジル・リオデジャネイロ/2017年6月3日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFC 212:ジョゼ・アルド vs. マックス・ホロウェイ【ブラジル・リオデジャネイロ/2017年6月3日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
日本時間12月3日(日)に開催されるUFC 218のメインイベントではフェザー級王者マックス・ホロウェイがジョゼ・アルドを挑戦者に迎えて王座決定戦に臨む。

「自分には新しいビジョンがある」とアルド

もともと、ホロウェイの初防衛戦の相手にはフランキー・エドガーが予定されていた。しかし、試合3週間前になってエドガーが無念の負傷欠場となり、代打として登場してきたのが、リオデジャネイロを舞台に行われたUFC 212(2017年6月)で、地元ブラジルファンの前でホロウェイにノックアウト負けを喫し、統一王者を逃したアルドである。

タイトル防衛回数10回、8年間無敗の猛者アルドが、人目もはばからず泣きながら退場していく姿は時代の流れを残酷に感じさせるシーンだった。

体調万全にこだわるあまり、急な欠場でメインイベントに穴を開けて不興を買ったこともあったアルド。いつも試合間隔が長く、対戦相手の変更を嫌ったアルドが、今回は急な代替出場を自ら買って出たのである。アルドは「自分には新しいビジョン、新しいマインドセットがある」と語っている。その具体的な内容は明らかではないが、気持ちに何らかの変化があったに違いない。

アルドは今回初めて、挑戦者としてオクタゴンに上がる。「今回は前回とは違う結果になる。モチベーションが高まっているからだ」と語るアルド。今回はアルドの再生を目撃することになるのだろうか。誇り高きブラジリアンのブルースは聴きたくない。

「チャンピオンは対戦相手を選ばない。相手の方が乞うんだ」

迎え撃つチャンピオンのホロウェイは余裕の構えでアルドの再生物語を一刀両断にする。

「アルドはモチベーションが高まっているといっているけど、さっぱり意味が分からない。前回はヤツの地元でヤツの防衛戦だったというのに、その時にはモチベーションが低かったのか? そんなにモチベーションを上げるのが難しいなら、そもそもの職業選択を間違っているんじゃないのか」

まだ25歳、現在11連勝中、いまだ強さの底を見せていないホロウェイは急な挑戦者の変更も意に介さず、再びのレジェンド撃破を狙う。

「相手は誰でも構わない。オレはマッチメーカーじゃない。ファイターなんだ。オレの仕事は目の前にやってきた相手をノックアウトするだけ。10回連続アルド戦でも別にかまわない。チャンピオンは対戦相手を選ばない。相手の方が対戦を乞うものなんだ」

ガヌー、試金石となる大一番へ

UFC 208のセミメインイベントにはMMAを始めてまだ4年、UFC入りして破竹の5連勝をすべてフィニッシュで飾り、見るたびに進化を遂げた姿で衝撃を与えてきたフランシス・ガヌーが登場する。UFC会長のデイナ・ホワイトが「ガヌーはヘビー級チャンピオンになる可能性を秘めている。しかも、非常に長期間にわたって、タイトルを保持する可能性もあると思う」と太鼓判を押すこの近未来モンスターは、前回は下がりながら拳を前に出しただけで、アンドレイ・アルロフスキーを木の葉のように吹き飛ばしてしまう規格外のノックアウト劇を披露。今年5月にラスベガスに生活と練習の拠点を移したガヌーはUFCパフォーマンス・インスティチュートでのトレーニングを中心に、ビニー・マガリャエスの柔術道場に通うなどしてフィジカルとスキルの向上に努めている。

UFCパフォーマンス・インスティチュートでパンチ力を計測したところ、これまでキックボクサーのタイロン・スポーンが持っていた世界記録をあっさり更新。ファミリーカー並みの92.84馬力という数値をたたき出したというから、「交通事故のようなパンチ力」という表現が比喩でも何でもない。

記者会見でフィジカルとスキルのどちらで戦うタイプかと聞かれたガヌーは、「どちらでもない。自分はモチベーションで戦うタイプだ」と語っている。生まれ故郷のカメルーンで過ごした日々を「皆さんには想像も付かないだろうけれど、毎朝目が覚めると、その日の唯一の目標、唯一の夢が、食事をすることだったんだ」と振り返るガヌー。家族や子どもに明日なき貧困を繰り返させたくないというハングリー精神が、ガヌーのモチベーションをかき立てる。

「俺はただのストライカーでもないし、レスラーでもグラップラーでもない。ファイターなんだ。チャンスを見つけてフィニッシュするだけ。だからオーフレイム対策も特にしていない。第1ラウンドでノックアウトしてやる」と静かな闘志を燃やすガヌーだが、対戦相手のアリスター・オーフレイム(オランダ)はガヌーにとって、過去最強の難関だ。現在のガヌー人気が単なるバブルなのか、それとも本物なのか、今回が本当の試金石となる。

世界有数のベルトコレクターでありながら、UFCのベルトにだけはまだ手が届いていないオーフレイム。現王者スティペ・ミオシッチに挑戦して敗れ(UFC 203/2016年9月)、タイトル戦線からいったん脱落するも、2017年にはマーク・ハント、ファブリシオ・ヴェウドゥムという難儀な顔ぶれを下してランキング1位の座をがっちり維持。今回、新鋭ガヌーを退ければタイトル再挑戦の芽も出てくるところまで仕切り直してきた。

「ガヌーに一線を越えさせるつもりはない」と語るオーフレイムが、はやるガヌーの足下をすくう。

メインカードは全員がトップ10ファイター

この他、事実上のフライ級次期挑戦者決定戦と言われる注目マッチも組まれた。打撃にますます磨きがかかる五輪金メダリストレスラー、ヘンリー・セフードと、アンソニー・ペティスを兄に持つ4連勝中で波に乗る24歳のセルジオ・ペティスが対戦する。

さらに、ジ・アルティメット・ファイター(TUF)シーズン26のコーチを務めた元王者エディ・アルバレスと戦績18勝0敗を誇るジャスティン・ゲイジーの一戦はどうかしている殴り合いになること確実のマニア垂ぜんのバトルが予想されている。また、ママでアイドル“カラテ・ホッティー”ことミシェル・ウォーターソンがテシア・トーレスと激突するなど、UFC 218のメインカードは出場10選手全員がトップ10ファイターという豪華版だ。

せわしない師走のひととき、好カードしかない充実のラインアップ、過剰にあふれ出すスターパワーを浮世を忘れて堪能すれば、明日への英気を養えることは請け負いだ。

【文 高橋テツヤ】
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