UFCファイトナイト・アイダホ見どころ:元王者復権か、未知の強豪が嵐を呼ぶか

UFCファイトナイト 見どころ
UFC 211:公式計量に臨んだスティペ・ミオシッチとジュニオール・ドス・サントス【テキサス州ダラス/2017年5月13日(Photo by Cooper Neill/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFC 211:公式計量に臨んだスティペ・ミオシッチとジュニオール・ドス・サントス【テキサス州ダラス/2017年5月13日(Photo by Cooper Neill/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
日本時間7月15日(日)に開催されるUFCファイトナイト・アイダホでは元ヘビー級チャンピオンのジュニオール・ドス・サントス(ブラジル)が、ブラゴイ・イワノフ(ブルガリア)を迎え撃つ。

元王者ドス・サントス、1年2カ月ぶりの復帰戦



ドス・サントスはUFC 211(2017年5月)で当時スティペ・ミオシッチが保持していたヘビー級タイトルに挑戦するもTKO負けを喫して以来、1年2カ月ぶりの試合となる。

試合間隔があいたのは、昨年8月に実施された薬物検査で、ドス・サントスの検体から禁止薬物である利尿剤の一種で陽性反応が検出されたためである。最大で1年間の出場停止処分が下される可能性があったが、UFCの公式薬物検査機関であるUSADAは今年4月、その後の調査の結果、ドス・サントスが意図的に禁止薬物を摂取したのではなく、原因は汚染サプリメントにあったことが明らかにした。

ドス・サントスは長年、食事とサプリメントについては専門医の指導監督を受けており、医師が処方したサプリメントだけを、信頼できるブラジルの調剤薬局から入手していた。しかし、今回はこの調剤サプリメントに違反物質が混入していたのだ。

「違反はしない。今回の件では一貫して、自分はUSADAに協力し、あらゆる指示に従って、意図的な違反薬物摂取はなかったことを証明してきた。本当に時間がかかった。やっと悪夢が終わって、違反薬物の出所が特定された以上、一刻も早く、オクタゴンに戻りたい」と語ったドス・サントス。

2011年にUFCイベントが初めてアメリカの地上波テレビで生中継された際、メインイベントでケイン・ヴェラスケスをノックアウトし、ベルトを腰に巻いたのがドス・サントスだった。この試合は北米MMA史上最大の880万人が視聴したとされる。「地球最強の男と呼ばれる感覚が懐かしいよ」と語るドス・サントス。汚名をすすいだ実力者が、アイダホのケージでたまりにたまったフラストレーションを爆発させて、再びの戴冠へと歩み始める。

まだ見ぬ強豪、イワノフ見参

対するイワノフは他団体(ワールド・シリーズ・オブ・ファイティング)で2015年にヘビー級タイトルを獲得し、4度の防衛に成功したという、UFCファンにとってはまだ見ぬ強豪だ。

バックグラウンドはサンボと柔道。2008年にロシアで行われた世界サンボ世界選手権では、準決勝で全盛期のエミリャーエンコ・ヒョードルを破る大金星を挙げて優勝を飾っている。柔道も黒帯で、欧州の国際大会で実績を買われて2012年五輪でブルガリアの柔道ナショナルチーム入りも打診されたが、これを蹴ってMMAキャリアをスタートさせている。

2012年には酒場でのもめ事で脇の下を刺され、一時は危篤状態に陥る大ケガを負った。凶刃は心臓や肺に達し、医師も「生き残る可能性は100万分の1」と宣告した重傷から、イワノフは4カ月間の入院生活をへて見事に復活。まだ歩くこともできず、呼吸をするのがやっと、113kgあった体重が72kgにまで痩せ細った姿で、病院で記者会見を開き、1年以内のMMA復帰を闘魂を込めて明言したのだった。

戦績16勝1敗1分、判定決着はわずか4試合、6つのノックアウト勝ち、6つの一本勝ちというオールラウンドなフィニッシャーであるイワノフ。これまでに、ショーン・ジョーダン、ラバー・ジョンソン、リコ・ロドリゲスといった元UFCファイターを下している。ちなみにノーコンテストの試合とは、2008年5月にブルガリアで行われた現UFCライトヘビー級ファイター、イリール・ラティフィとの試合で、両者がロープ際でもつれ合うド迫力の攻防の際に、ロープが外れてリングが壊れ、試合続行が不可能となったため。まさに規格外だ。

UFCデビュー戦にしていきなりのメインイベント、しかもドス・サントスを食うことになれば、イワノフは早速にも、変動著しいUFCヘビー級戦線の台風の目になる。要注目の一戦だ。

狙われるアイドル、ノースカット

UFCファイトナイト・アイダホのメインカードには人気者セージ・ノースカット(アメリカ)も登場する。空手黒帯の父親の薫陶を受け、4歳からMMAの練習を始めたというノースカットは、空手で77勝、キックボクシングでも15勝0敗の戦績を誇るストライカーだ。

2013年に17歳にしてMMAファイターとしてプロデビュー。選手発掘番組『Dana White: Lookin’ for a Fight(ルッキングフォー・ア・ファイト/デイナ・ホワイトが行く、戦士を探せ)』の第1回配信でスカウトされたのがUFC参戦のきっかけだ。UFCデビューは19歳の時、2015年10月に行われたUFC 192で、57秒でノックアウト勝ちを収めている。当時テキサスA&M大学の1年生(専攻は石油化学だ)だったノースカットは試験や宿題に追われながらの参戦だった。

ノースカットは昨年、MMAに専念すべく大学を休学し、生まれて初めてテキサス州の実家を離れ、カリフォルニア州サクラメントのチーム・アルファ・メールに参加、弱点だったレスリングの強化に励んでいる。

「背中を押してくれる人、一緒に練習をしてくれる人がいるのは本当に大切なことですね。今の僕にはユライア・フェイバーさんがいるんです。そう、ホール・オブ・フェイマーで、才能にあふれるあのフェイバーさんが、ほとんど毎日、練習を付けてくれて、テクニックを教えてくれています。そしてジムのみんなが、僕が強くなることに毎日協力してくれているのです」

ノースカットの丁寧すぎる物腰、弾(はじ)けるような笑顔、アクションフィギュアのようなルックスと肉体美は、多くのファンを魅了する一方で、人気先行で実力が伴っていないのに重用されすぎなのではないかと、批判的に見るファンがいることも現実だ。今回の対戦相手、ザック・オットー(アメリカ)も、「このキッドのことはよく知らないが、どうもウソっぽくて、最初から感心できない男だと思っていた。こういう人気者の顔を殴ることに迷いはない」と制裁マッチを予告している。

現在までにライト級で5勝0敗、ウェルター級で0勝2敗のUFC戦績を残しているノースカット。ライト級での減量苦に悩み、今回は鬼門のウェルター級での一戦となる。ノースカットがプロの洗礼を浴びてしまうのか、それとも批判派を黙らせて凱歌(がいか)を挙げるのか。苦難のスター街道がまだまだ続く。

【文 高橋テツヤ】
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