UFCファイトナイト・カルガリー見どころ:アルバレス対ポワリエ、激闘必至の因縁のリマッチ!

UFCファイトナイト 見どころ
UFC 211:エディ・アルバレス vs. ダスティン・ポワリエ【アメリカ・テキサス州ダラス/2017年5月13日(Photo by Ronald Martinez/Getty Images)】
UFC 211:エディ・アルバレス vs. ダスティン・ポワリエ【アメリカ・テキサス州ダラス/2017年5月13日(Photo by Ronald Martinez/Getty Images)】
日本時間7月29日(日)に開催されるUFCファイトナイト・カルガリーのメインイベントでは、エディ・アルバレス(アメリカ)対ダスティン・ポワリエ(アメリカ)の因縁のリマッチが行われる。

前回は無念の不透明決着

両選手は2017年5月のUFC 211で、火花飛び散る大熱戦を演じて見せた。この試合は第1ラウンドにすさまじい緊張感の中、ポワリエが距離を制してアルバレスの強打を受け流す展開となり、第2ラウンドに入った直後、今度はアルバレスの強烈な右がヒットするも、追撃に結びつかず。やがてポワリエが左を当ててアルバレスを揺らすと、アルバレスがそこから怒りの反撃に転じ試合は大乱戦に。いつどちらが倒れてもおかしくない激しい殴り合いが繰り広げられ、マットに手をついていたポワリエの顔面に、アルバレスの反則のヒザ蹴りが直撃してしまう。これでポワリエの左目から流血が見られたため、レフェリーのハーブ・ディーンがドクターチェックを要請し、結局、アクシデントによる反則攻撃により試合結果は第2ラウンド4分12秒、ノーコンテストの裁定が下されたのであった。

現在ライト級ランキング3位のアルバレスはその後、UFC公式サイトが2017年の最優秀試合ベスト10で第2位に選出したジャスティン・ゲイジー戦(UFC 218、2017年12月)でノックアウト勝ちを収めた一方、ランキング4位のポワリエは同じく年間最優秀試合第4位に選ばれているアンソニー・ペティス戦(2017年11月)、ジャスティン・ゲイジー戦(2018年4月)で連続テクニカルノックアウト勝利を挙げている。ますます脂が乗ったパフォーマンスでそれぞれに激闘を制し、タイトルにより近づいた2人による因縁の再戦は意地がぶつかりあう、まさに負けられない戦いだ。

対照的な生きざま、負けられない理由

タイトル獲得への強い思いは共通している両選手ではあるが、戦う理由は対照的だ。“ダイヤモンド”ことポワリエはタイトルを目指す理由を次のように明かしている。

「世界王者になったらベルトを腰に巻いたままベッドに入り、妻に“とうとうやったぞ”と言いたいんだ。10年前、車も持っていなかった俺を、妻は計量会場まで運転して送ってくれた。それから、ボロボロのモーテルで眠って翌日に試合に出かけたものだ。いつも2人きりだった。だから俺は妻に言いたいだけなんだよ。ついにやったぞ、ってね」

一方の“ジ・アンダーグラウンド・キング”ことアルバレスは次のように語っている。

「オレはこれまでに、多くの団体でベルトを取ってきた。ベルトがあろうがなかろうが、オレはすでにチャンピオンなんだ。オレにとって大事なことは暴力的であること。それが見る人を魅了し、興奮させるからだ。どちらの技術が優れているかとか、レスリングがどうだ、柔術がどうだといった戦術的なことではなくて、みんなが共感したり感動できたりするスピリチュアルな戦いをしていきたい。そんなプロセスを自分が楽しめれば、結果は付いてくると思っている。今回はオレが持っている“MMA業界で最も暴力的な男”というタイトルの防衛戦なんだよ」

名勝負製造機の2人による戦いはトップコンテンダー同士のつぶし合いでもあり、男の生きざまの激突でもある。ファンはどちらの生きざまを支持するだろうか。いずれにしても間違いないのは、とんでもない大激戦は必至だということだ。

引退を乗り越えて、アルド復活

UFCファイトナイト・カルガリーのセミメインイベントではフェザー級トップファイター対決が実現、ランキング2位のジョセ・アルド(ブラジル)と4位のジェレミー・スティーブンス(アメリカ)が激突する。

WECとUFCのフェザー級トップの座に君臨し、都合9度のタイトル防衛に成功したレジェンドのアルドも、昨年は現王者マックス・ホロウェイに2度にわたってノックアウト負けを喫し、一時は真剣に引退も考えたという。

「試合後は2週間ばかり家族だけと過ごし、自分の処し方を考えた。それからジムに行き、引退すべきかどうか、コーチや仲間とじっくり話し合った。結果、現役を続行することに決めた。その翌日から練習を再開したんだ」

実に9年ぶりのノンタイトル戦出場に、「長年タイトルマッチばかりを戦ってきたから、少し寂しい気持ちはある」と語るアルドの目標はあくまでも王座奪還だ。

「自分にはまだ十分、タイトルに挑戦する力があると思っている。技術も意欲もあるんだ。そのために毎日練習をしている」

“アルドの魂を抜いてやる”とスティーブンス

一方のスティーブンスはギルバート・メレンデス、チェ・ドゥホ、ジョシュ・エメットら難敵を相手に現在3連勝中、しかも3試合ともパフォーマンスボーナスを獲得し、円熟の激闘マシンぶりに磨きをかけている。

UFC戦績は11年間で28戦15勝13敗、試合数でUFC史上第2位、負け数でUFC最多記録を持っているのがスティーブンスだ。ノックダウン数(19)もアンデウソン・シウバと並んで史上第1位というから、勝ち負けよりもむしろ、身体を張ったエキサイティングな試合が人気のファイターだったのだが、ここにきて確実性も急上昇してきている。

UFC 226(2018年7月)では急きょ欠場となったホロウェイの代役として、ブライアン・オルテガと暫定王者決定戦を戦うのではないかとの報道も流れるほど、タイトルショットに肉薄しているスティーブンスだが、もちろん今は、目の前にいる過去最強の敵、アルドに全神経を集中させている。

「アルドはもう、ずっと変化がない男だ。コナー・マクレガーに身体を壊され、ホロウェイに心を折られている。今回はオレがヤツの魂を抜いてやる。あの顔を見てみろ。もう疲れ切っている。オレはヤツの今の姿を満天下にさらしてやるつもりだ。これは口先だけの話じゃないんだぞ。ヤツをさらし者にしてやる。オレが言っている意味は、試合後によくわかるだろう」

この他にも、王座奪還に闘魂を燃やす女子ストロー級の元絶対女王、ヨアンナ・イェンドジェイチェク(ポーランド)が、“タイニー・トルネード”ことテシア・トーレス(アメリカ)を迎え撃つ復帰戦も行われる好カードのつるべ打ち、UFCファイトナイト・カルガリーをどうぞお楽しみに。

【文 高橋テツヤ】

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