日本時間11月18日(日)に開催されるUFCファイトナイト・アルゼンチンには、日本から佐々木憂流迦(フライ級ランキング13位)が、ブラジルのアレクサンドル・パントーハ(同9位)を迎え撃ってのフライ級マッチに出場する。試合を前にした佐々木選手に、お話を伺った。
UFC 230生観戦を堪能、闘魂点火
Q: 佐々木選手や井上直樹選手の活動を紹介するYouTubeチャンネル『ニューヨーク・サムライキャンプ』でも配信されていましたが、UFC 230を会場のマディソン・スクエア・ガーデン(MSG)で生観戦されたようですね。
佐々木憂流迦: ニューヨークに拠点を移してから、MSGには何度か観戦に訪れているのですが、やはり特別な場所ですよね。会場の雰囲気、観客の盛り上がりがちょっと特殊なくらい素晴らしいですし、いつ行っても外れなしでいい体験を味わうことができます。
Q: いやぁ、うらやましいです。UFC 230にはクリス・ワイドマンが出場していましたが、佐々木選手にとっては同門ということになりますよね(注:佐々木選手の練習拠点の1つがロンゴ・アンド・ワイドマンMMA)。
佐々木: 身体の大きさが自分とは相当に違うので、一緒に練習をするということはないのですが、練習の時間帯が重なることが多いので、姿はよく見かけています。見ているとやっぱり強いですよ。
Q: そのワイドマン、試合の方は残念ながらジャカレ・ソウザにノックアウト負けを喫してしてしまいました。
佐々木: ジャブがよく当たっていて、前半は優勢に進めていたと思うんですけど、ちょっときれいに戦いすぎだった印象もありますね。普段のジムでのスパーリングはもっともっと荒々しいので・・・それにしても、あれだけ寝技が強いジャカレが、あれだけガンガン前に出てきたら、イヤですよねえ。
憂流迦(天狗)は「僕にとって自由の象徴」
Q: 佐々木選手はもともとはプロレスファンだったとか。
佐々木: はい、兄の影響で小学生の頃からプロレスは好きでした。新日本プロレスの武藤敬司さんのファンでしたね。その後、興味がまずK-1に移り、そこからPRIDEに移行して、五味隆典さんに憧れて総合をやるようになりました。わかりやすくて強いのが魅力でしたね。
Q: 五味さんと現在の佐々木選手とでは、かなりイメージが違いますね。
佐々木: 全く違います(笑)。実は高校時代に、MMAに必要だと思って、レスリングをやっていたんです。そうしたら、グラップリングが強くなって、そのまま定着してしまったという感じです。もし高校時代にボクシングをやっていたら、今頃はかなり違う姿になっていたんだろうなあと思います。
Q: UFC創立25周年記念イベントが終わりましたが、佐々木選手は現在、29歳ですよね。
佐々木: はい・・・29歳になってしまいました。早いですよねえ・・・。
Q: ということは佐々木選手が4歳の頃からUFCがあることになりますが、佐々木選手がUFCのことを意識し始めたのはいつ頃からですか。
佐々木: 実はUFCのことはそんなに昔から知っていたわけではなく、自分がプロになり、UFCがPRIDEを買収したりして、日本でもUFCが広く知られるようになった頃に、ようやく自分も知ったという感じでしたね。
Q: 佐々木憂流迦の憂流迦は天狗(てんぐ)という意味なのだそうですが、なぜこうしたリングネームをおつけになったのですか。
佐々木: 僕にとって、人の形をしながら空を飛んだり、妖術を使ったりする天狗というのは、型にはまらない、自由な存在の象徴なんです。自分も感じたままを自由に表現したいと思っているので、この名前をつけました。ただ、佐々木天狗というのはいかがなものかと思い、いろいろ調べた結果、古代語のサンスクリット語で天狗のことを憂流迦ということがわかったので、これを取ったのです。
試合準備は万端、パントーハには穴がある!
Q: 天狗にはそういう意味があったんですね! さて、今回の試合なんですが、試合の日が迫っている中、佐々木選手の出場が急に発表になった印象がありました。これは何か事情があったのですか。
佐々木: 確かに試合が正式に決まったのは4週間前だったのですが、対戦相手が決まらなかっただけで、次の試合はこの時期にあるというお話自体は頂いていたので、準備に問題はありません。
Q: アルゼンチンは今回が初めての訪問になりますか。
佐々木: はい、そうです。ちょっと想像がつかないですね・・・肉とワイン、タンゴ。タンゴはちょっと聞いてみたいですけど。
Q: 対戦相手のパントーハはブラジル人ですので、アウェーでの戦いということになりますね。
佐々木: まあそうでしょうけど、すでにブラジルでブラジル人相手に試合をしたことがありますから、大丈夫です(注:2014年12月、UFCファイトナイト・サンパウロ)。あの時は、相手への声援が本当にすごかったんですけど、言葉がわからないので、何を騒いでいるのかわからず、あんまり気にはなりませんでした。
Q: パントーハのことはどんな選手だと分析されていますか。
佐々木: ランカーだけあって、打撃も寝技もレスリング力も高いですね。ただ、どこを取っても何かしらの穴もあると見ています。上位に上がっていくためにも、寝技だけとか、打撃だけということではなく、全体的に勝負をして勝ちたいです。
Q: 前回の試合のパントーハは(2018年5月、ブランドン・モレノに判定勝ち)、前半は確かに強さを見せていたものの、後半は守りに徹しているように見えました。
佐々木: 確かにムエタイベースの待ちの打撃ですよね。
Q: それでいて、表情や言葉で相手を挑発していました。佐々木選手がそんなことをされたらどうなさいますか。
佐々木: いやもう、そうなったらガンガン前に出ますよ(笑)。ビビって後退するより、積極的に出て行った方がリスクは少ないと思っていますから。
Q: ガンガンな佐々木選手、期待しております! では最後に、試合への意気込み、ファンへのメッセージをお聞かせください。
佐々木: 自分はUFCに来てから、勝ちも負けも経験しつつ、サバイバルして成長してきました。そろそろランキング上位に入っていける力がついたと自分でも信じています。今回の試合、一本かノックアウトでフィニッシュして勝ち、成長をお見せしますので、どうか応援よろしくお願いします。
【文 高橋テツヤ】
UFCファイトナイト・アルゼンチン見どころ:実りの秋の佐々木憂流迦、蓄えた実力を発揮の時
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