UFCファイトナイト北京見どころ:近藤朱里参戦、ヘビー級恐竜対決実現

UFCファイトナイト 見どころ
UFCファイトナイト・ジャパン:近藤朱里【さいたまスーパーアリーナ/日本(Photo by Mike Roach/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFCファイトナイト・ジャパン:近藤朱里【さいたまスーパーアリーナ/日本(Photo by Mike Roach/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFCは2017年11月に、初の中国本土イベントとなるUFCファイトナイト上海を開催し、MMAイベントとしては中国史上最大の1万5,128人を動員する盛況を博した。このイベントについて中国国内ソーシャルメディアで言及された回数は、あの“メイウェザー対マクレガー”戦よりも多かったというから、どれほど大きな注目を集めたかがうかがえる。そして今年は、舞台を首都北京に移しての2年連続の開催を迎え、UFCファイトナイト北京が11月24日(土)に開催される。



「勝って笑顔で帰国したいと思っています」

UFCファイトナイト北京には、日本から近藤朱里が参戦、ヤン・シャオナン(中国)と対戦する。

2017年9月のUFファイトナイト・ジャパンで、日本人女子ファイターとしてUFC初勝利を記録し、華々しくUFCデビューした近藤。しかし、前回のUFCファイトナイト・チリ(2018年5月)のポリアナ・ボテーリョ戦では、強烈なボディキックを受け、自身にとってMMA初黒星を喫してしまった。

試合を振り返って近藤は、「MMAでは初の海外での試合、時差や長いフライト時間など初めてのことをたくさん経験し、ものすごく勉強になりました。試合は負けてしまいましたが、この経験を次にいかして、頑張りたいです!」と語っている。雪辱を期すUFC3戦目の対戦相手は、今年6月のUFCファイトナイト・シンガポールでビビアン・ペレイラに勝利、現在7連勝中と勢いづくシャオナンだ。MMA戦績9勝1敗、うち5勝がKOもしくはTKO勝ちというストライカーを相手に、近藤はまたしてもアウェーの戦いを強いられる。

「シャオナン選手は散打の横蹴りを得意としているので、そこに注意しつつ、スキがうまれたらガンガン攻撃したいです! 勝利して笑顔で日本に帰ってきたいと思っています。応援よろしくお願いします!」と試合への意気込みを語る近藤も、かつてはKG(カラテガール)としてならし、後にキックボクシングでもチャンピオンになるなど立ち技の実績は十分だ。実力者同士の見応えある試合に期待が高まる。

復活を期すガヌー、勢いのブレイズ

メインイベントには、中国人ファンも口あんぐりの、怪獣戦争のようなヘビー級戦が組まれた。2016年の再戦となるフランシス・ガヌー(カメルーン)対カーティス・ブレイズ(アメリカ)のリマッチだ。

前回の試合は2016年4月に行われた。当時、ガヌーはUFC2戦目、そして欠場選手の代打で急きょ出場したブレイズはUFCデビュー戦だった。試合は荒削りの乱打戦の末、ガヌーの重いジャブがブレイズの右目を腫らし、2ラウンド終了時点でドクターストップ、ガヌーに軍配が上がっている。その後、ガヌーはアリスター・オーフレイム、アンドレイ・アルロフスキーといったベテランを文字通り蹴散らし、UFCで猛威を振るい始めたアフリカンパワー(カマル・ウスマン、イズラエル・アデサンヤ、アブドゥル・ラザク・アルハサンらがそうだ)の先頭を切って出世街道をばく進した。

そんなガヌーもUFC 220(2018年1月)でのタイトル初挑戦のチャンスを、王者スティペ・ミオシッチに格の違いを見せつけられて退けられると、次いでUFC 226(2018年7月)のデリック・ルイス戦では、人が変わってしまったかのような消極的なファイトで判定負けを喫し、ファンの期待を裏切ってしまった。ガヌー自身も、ルイス戦ではミオシッチ戦での敗戦を引きずっていたことを認めている。

「だけど自信は戻ってきている。自信を取り戻して、批判的な人たちの口を封じてやる」とガヌーは汚名返上を期している。「仮に負けたとしても、全力を尽くして戦いたい。今回の試合は決して簡単なものではないが、勝つのは自分だ。一本勝ちが6割、ノックアウトが3割、判定が1割の確率で自分が勝つ」

他方のブレイズはガヌー戦での敗戦以来、コロラド州のエレベーション・ファイトチームに加入して鍛練を積んだ結果、マーク・ハント、オーフレイムといった強豪相手に4連勝、今回、ガヌーへのリベンジを果たせばいよいよタイトル戦戦に名前を連ねることとなりそうだ。

「ガヌーは今、かなりの苦境に立たされている。あれほどもてはやされた後に連敗を喫したのだから、深い深い穴に落ちているような気分だろう。でも試合にはベストの状態で出てきてほしい。後で言い訳をされたくないんだ。絶好調のガヌーであっても、俺なら10回戦って10回とも勝つ」と自信を見せるブレイズ。

「ルイス戦のガヌーは、戦いにためらいがあるというか、自分の力を信じていないように見えた。自信がない人は、自分から攻撃を仕掛けていくことができない。自分から攻撃をしてこないなら、俺はすさまじくアグレッシブになれる。もちろんヤツのパワーには要注意だが、自分で自分のパワーを信じていないなら、こちらには好都合だ」

「テイクダウンして、スタミナを奪ってやる。俺の方がコンディションはいいからね。そして弱気になったところにつけこんでやる」

万里の長城に穴が開くような大砲の打ち合いが期待される両者が共に、意外にもグラウンドでの戦いを予告しているこの試合、ガヌーが本来の破壊力を解き放つことができるかどうかが勝敗の分かれ目になりそうだ。ブロック・レスナーやジョン・ジョーンズ参戦もウワサされる混とんのヘビー級タイトル戦線に浮上するのは果たしてどちらなのか、注目だ。

テーマは“中国 vs. 世界”

UFCファイトナイト北京には、地元北京出身、中国人UFCファイターのエース格であるリー・ジンリャン(中国 15勝4敗)を筆頭に、ウー・ヤナン(中国 9勝2敗)、ソン・ケナン(中国 13勝3敗)、ジャン・ウェイリー(中国 17勝1敗)ら、気鋭のチャイニーズファイターがこぞって出場するなど、“中国 vs. 世界”のマッチアップが多数組まれている。来年には上海に、中国を始めアジア太平洋地域のMMAファイターの育成拠点となるUFCパフォーマンス・インスティチュート上海が開設されることも発表された。日本のファンにとっても、いつもより見やすい時間にお届けするUFCファイトナイト北京で、これからいっそうの台頭が期待されるチャイニーズMMAシーンの現状と将来性をじっくりとチェックしてみよう。

【文 高橋テツヤ】
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