UFCファイトナイト・アデレード見どころ:今年最後のがんばれニッポン! 中村、廣田、岡見の激闘を見届けよ!

UFCファイトナイト 見どころ
UFCファイトナイト・アリゾナ:ディエゴ・リマ vs. 岡見勇信【アメリカ・アリゾナ州グレンデール/2018年4月14日(Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFCファイトナイト・アリゾナ:ディエゴ・リマ vs. 岡見勇信【アメリカ・アリゾナ州グレンデール/2018年4月14日(Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
日本時間12月2日(日)に開催されるUFCファイトナイト・アデレードは、中村K太郎、廣田瑞人、岡見勇信がそろって出場を果たす、日本のファンにとって見逃せないイベントだ。

中村「強い気持ちで圧倒したい」

中村は2018年4月にアトランティックシティでトニー・マーティンに判定負けして以来、8カ月ぶりの試合となる。2015年のUFC復帰以降の戦績は6戦3勝3敗の五分だ。

前回の試合を振り返り、中村は「このまま判定になれば負けることになるのだろうなあと思いつつも、試合中にペースを変えることができませんでした。気持ちで押された面があったのかもしれません。今後、試合で同じような展開になっても、最後には自分が勝つ、という強い気持ちをもって臨みたいと思います」と語っている。

対戦相手のサリム・トゥアリ(ポーランド)はMMA戦績10勝2敗、うち6回がノックアウト勝ちというストライカーだ。ただしUFCではまだ2戦目、前回はワーレイ・アウヴェスに判定負けを喫している。トゥアリについて中村は、「同じペースで淡々とプレッシャーをかけ続けてくる選手。それに負けずにプレッシャーをかけ返して戦いたい」と抱負を語る。

「前戦は情けない試合をしてしまいました。今回は決して諦めることなく、アグレッシブに相手を圧倒して勝ちたいと思っています」と決意も新たな“裸締め十段”の鮮やかなサブミッションと勝利のKポーズに酔いしれよう。

廣田「打撃が自分のこだわり」

前回、2018年2月にパースで行われたUFC 221で、ベテランのロス・ピアソンと対戦するも判定負けを喫し、2連敗となった廣田が、今回再びオーストラリアの地で、今度はクリストス・ジアゴス(アメリカ)と対戦する。

前回の敗戦について、「打撃にこだわりすぎて、総合の試合ではありませんでした」と振り返る廣田だが、とはいえ「打撃が自分のこだわりなんで、仕方ないです」と今後も廣田流の戦いに迷いはない。

ギリシャ系ファイターらしい“ザ・スパルタン”のニックネームをもつ今回の対戦相手ジアゴスはMMA戦績15勝7敗、うちノックアウト勝ち7回、サブミッション勝ち3回のオールラウンダーだ。UFC戦績は2勝2敗、前回は2018年9月にチャールズ・オリベイラに一本負けを喫している。ジアゴスについて廣田は、「身体が大きい点は要注意ですが、組み技はそれほど強くないのかなと思っています。タックルと打撃を混ぜて攻略したい」と試合展望を明かしている。

実際、体格は身長で8センチ、リーチで11センチ、ジアゴスが上回っているが、打撃数、テイクダウン数、それらのディフェンス率など、戦闘能力を示すほとんどの指標では廣田が上回っており、統計上はスカッとしたフィニッシュが十分に期待できるマッチアップだ。

「毎試合、最後のつもりで追い込んで練習しています。勝って次につなげたいと思います。応援よろしくお願いします」と語る“破拳(パグ)王子”の勝利の雄たけびを目に焼き付けよう。

岡見「今回の試合は通過点にすぎない」

前回、アリゾナ(2018年4月)でディエゴ・リマを完封し、実に61カ月ぶりにUFCで勝利の美酒を味わった岡見は、試合後に次のような意欲的なコメントを残していた。

「今日は圧倒できましたし、気持ちをぶつけられました。もう若くはないのでオクタゴンで過ごせる時間はそんなに多くありません。目標はランカーと戦ってタイトル争いに絡んでいくことです。ドナルド・セラーニやダレン・ティルとやれたら、すごくいいマッチアップじゃないですかね」

今回の対戦相手はアレクセイ・クンチェンコ(ロシア)。MMA戦績19勝0敗、うち13回がノックアウト勝ちの好戦績を誇るストライカーだ。UFCデビュー戦となった前回の試合(2018年9月)では、ベテランのチアゴ・アウベスに判定勝ちを収めており、決して気の抜ける相手ではない。とはいえ、トップランカーに照準を合わせている岡見にとって、ノンランカーのクンチェンコではまったくの役不足のようだ。

「前回の試合が終わってからの半年間、さらに強くなること、次の対戦相手を容赦なくフィニッシュすること、より獰猛(どうもう)になることを意識して、日々ハードトレーニングをしてきました。クンチェンコはこれまでの戦績はまだ無敗の選手なので、UFCにて21戦目を迎える私にとって、対戦相手として申し分ない選手だと思っています。とはいえ、クンチェンコに敗北の味を初体験させて、私はアジア人初のUFCチャンピオンになるため、さっさと次のステップへと参ります。彼との対戦はただの通過点にすぎず、私のゴールはその先なのです」

2013年にいったんUFCをリリースされ、2017年9月のUFCファイトナイト・ジャパンで36歳にして復帰を果たした岡見。UFC戦績14勝は日本人ファイターとしては最多、タイトル挑戦歴もあり、その実力と実績は万人が認めるところで、もはやこれ以上証明しなければならないことなどないように思えた。しかし、最近の岡見のメッセージはますます一貫して明快だ。本気で今から、チャンピオンになることを目指しているのだ。しかも、“邪魔をする雑魚は容赦なくフィニッシュする”と言わんばかりの勢いなのである。かつての岡見は、こんな物騒なことを口にする人ではなかった。それだけに、決意の固さが伝わってくる。

ここからは1勝ごとに、まさかの夢が現実へと近づいていく。しかし、MMAは若い人のスポーツであることも確かだ。その旅路には暴力と死の匂いが濃厚に立ちこめる。まさにラストサムライのような岡見の生き様は、見る側も固定観念を覆さないと追いつけないほどの冒険だ。

インスタント麺のCMに出演したり、バラエティ番組の調査で“ブラジルで最も有名な日本人”の1人に選ばれたりと、メディアでの露出も増加中の岡見。ソーシャルメディアではUFC25周年記念に寄せて、自らのUFCキャリアを振り返り、思い出話を順次披露してくれている。これでこれまでの岡見の歩みを頭に入れておけば、一層楽しく試合を観戦できるはずだ。

日本でもおなじみ、元PRIDEファイターのマーク・ハント、マウリシオ・“ショーグン”・フアも出場で見どころ満載のUFCファイトナイト・アデレードをお見逃しなく。

【文 高橋テツヤ】

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