【見どころ】UFC 212:フェザー級は戦国時代を経て、ついに天下統一へ

UFC PPV 見どころ
UFC 212:記者会見のフェイスオフに臨んだジョゼ・アルドとマックス・ホロウェイ【ブラジル・リオデジャネイロ/2017年4月11日(Photo by Buda Mendes/Getty Images)】
UFC 212:記者会見のフェイスオフに臨んだジョゼ・アルドとマックス・ホロウェイ【ブラジル・リオデジャネイロ/2017年4月11日(Photo by Buda Mendes/Getty Images)】
アルド対ホロウェイ、UFCフェザー級統一王者決定戦実現!

日本時間6月4日(日)にブラジルのリオデジャネイロで開催されるUFC 212では2人のチャンピオンがオクタゴンで雌雄を決する。

青コーナーからは2016年12月のUFC 206でアンソニー・ペティスを下し、UFCフェザー級暫定チャンピオンとなったマックス・ホロウェイ。

赤コーナーからはUFCフェザー級正王者でブラジルのスポーツレジェンド、ジョセ・アルド。アルドはUFC 194(2015年12月)でコナー・マクレガーに負けるまで10年間無敗、8年間にわたってベルトを防衛し続けた。マクレガーとの再戦希望が叶(かな)わなかったアルドは、UFC 200(2016年7月)でフランキー・エドガーを下してフェザー級暫定王座を獲得。その後、マクレガーのベルト返上を受けて正王者に認定された。

円熟のアルドか、勢いのホロウェイか

大会前記者会見での両者の態度は実に対照的だった。アルドは、まるでホロウェイなど眼中にないかのように、自身の謎めいた将来計画について次のように語っている。

「またブラジルの地で戦えることをとてもうれしく思う。オレに言わせれば、自分がずっとチャンピオンだった。マクレガー戦のつまずきはフロックで、再戦すれば勝つのは自分の方だということは分かっている。フェザー級で負けることなど考えられない。だから今回、ベルトを統一するチャンスが来たことをうれしく思っている」

「ホロウェイはこれまでにしっかり勝利を積み重ねてタイトル挑戦に至ったのだとは思うが、そんなことは俺には関係がない。俺には自分の目標があり、やるべきことがある。さしあたってはこのタイトルマッチで勝たないといけないが、その後、自分がチャレンジすべきことはまだたくさん残っているんだ」

一方でB.J.ペン以来のハワイ出身チャンピオンとなり、現在10連勝中のホロウェイは、まっすぐに銃口を突きつけるような強い言葉でアルドを挑発している。

「アルドとはオレが17歳の頃から戦ってみたいと思っていた。オレのゲームプランはシンプルだ。打撃戦をやりたい。アルドは史上最高のストライカーだとされてきた。でも時代は変わっている。今のベストストライカーはオレだ。敵地に乗り込み、全てを奪い取ってやる。アルドがもし、自分こそが最強だと言うのであれば、そのことをオレに証明してみろ」

「オレには手相も分からないし、星座も読めない。だからオレには未来のことは分からない。オレにできることは、しっかりトレーニングをして、試合に備えることだけ。そしてアルドを倒す準備はできている。後は彼が最高の状態で出てきてくれることを望むだけだ。アルドにまだ戦う気持ちが残っているのかどうかが問われる試合になるだろう。その答えは試合で明らかになる。ぜひ試合を見てほしい」

女子ストロー級でもトップファイター対決

今大会ではまた、女子ストロー級のトップファイター対決も実現する。拳を合わせるのはランキング1位のクラウディア・ガデーリャと2位のカロリーナ・コバルケビッチだ。両者は共に2016年にヨアンナ・イェンドジェイチェクの持つベルトに挑戦し、それぞれにチャンピオンを追い込む場面を作りながら、牙城を崩すには至らなかった。

2014年にUFCデビューを飾ったガデーリャはデビューから12連勝でトップコンテンダーとして台頭。2016年のジ・アルティメット・ファイター(TUC)シーズン23ではコーチ役も務めた。通算戦績13勝2敗の2敗はいずれもイェンドジェイチェクに喫したものである。「同じ相手に2度負けた以上、これまでと同じ練習を続けるわけにはいかない」と語るガデーリャは昨年、アルドも所属するブラジルの名門ノヴァウニオンを離れて米国ニューメキシコ州アルバカーキーに移住、複数のコーチを雇ってチーム・ガデーリャを結成し、徹底したパーソナルトレーニングを行ってきた。スパーリングは人材豊富なジャクソン・ウィンクルジョン・アカデミーで行っている。

今回の試合についてガデーリャは「誰も彼もが私との試合を断ってくる中、カロリーナだけがこの試合を受諾してくれた。私はこの試合が次期挑戦者決定戦だと思っている。(次期挑戦者に最も近いと目されている)ローズ・ナマユナスは私を倒していないので、トップコンテンダーには値しない」とコメントした。

他方、手を後ろに組んでケージにもたれ、上目遣いににっこり笑うというガーリーなポーズでおなじみのコバルケビッチも、デビュー以来10連勝でこの階級のランキングを駆け上がってきた負けず嫌いのエリートファイターだ。しかし、昨年11月、ニューヨークを舞台に開催されたUFC 205で、王者イェンドジェイチェクにキャリア初の黒星を付けられた。

16歳の時に護身術としてクラブマガを習い始めたことが格闘家になるきっかけだったというコバルケビッチ。地元ウッチの所属ジムで男子選手に混じってトレーニング重ねる彼女は今回の試合について、「クラウディアは今、世界最強の1人だと思う。私はこれまでずっと、世界最強の相手と戦いたいと言ってきた。この試合で勝って、もう一度タイトルに挑戦したい」と、この試合の先にポーランド人同士による再戦を見据える。

誰がイェンドジェイチェクを討つのか、リベンジに燃える両選手にとって絶対に落とすことのできない一戦となる。

ビトー・ベウフォートの最後の勇姿を見届けよ

さらにUFC 212ではベテランのビトー・ベウフォートのUFCラストマッチも行われる。4月に40歳になったベウフォートは前回の試合でケルビン・ガステラムにテクニカルノックアウト負け(ガステラムの薬物検査失格により、公式結果は後にノーコンテストに変更)を喫した後の記者会見で、「プロファイターとしてのキャリアを終える時が来た。練習が身体に堪えるようになってきているし、あちこち痛い。手術も14回している。自分はすでに、オクタゴンで全てを出し切った」と事実上の引退宣言をした。桜庭和志や秋山成勲とも対戦歴があり、日本人ファンにもおなじみの名選手である。同じく大ベテランのネイサン・マーコートを迎え撃っての、ホームタウンでの最後の勇姿をしっかりと目に焼き付けておきたい。

【文 高橋テツヤ】
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