UFCファイトナイト・フロリダ見どころ:平成最後のサムライファイター、佐藤天が満を持してUFCデビュー

UFCファイトナイト
佐藤天【UFC】
佐藤天【UFC】
日本時間4月28日(日)に開催されるUFCファイトナイト・フロリダでは、久しぶりに新たな日本人ファイターがUFCデビューを飾る。これまで主にパンクラスで活躍していた佐藤天(MMA戦績14勝2敗、うち9勝がT/KO勝ち)だ。平成最後のサムライファイターとしてメジャーの舞台に殴り込みをかける佐藤選手に話をうかがった。

高校部活が梁山泊(りょうざんぱく)、ファイター佐藤誕生

Q: 今日は、UFCデビューを迎える佐藤選手のことを、いろいろ教えていただきに来ました! まず、佐藤選手はもともと、どんなきっかけで格闘家を目指そうと思われたのですか。

佐藤天: 自分が小学生の頃、ちょうどK-1が人気で、親が好きでよく見ていたので、自分も親と一緒に格闘技を見るようになりました。そして父が柔道の指導員をしていた関係で、10歳の頃から自分でも柔道の練習を始めました。中学3年生の頃にPRIDE人気が高まると、自分はPRIDE武士道で五味(隆典)選手ら日本人ファイターの活躍を見るのが好きになりました。

高校では柔道部に入ったのですが、そこは同級生に矢地祐介選手、宮川峻選手、6期上の先輩に中村K太郎選手がいるという環境でした。周囲に格闘技好きが多く、世間も格闘技ブームの中、みんなで盛り上がっていたわけです。その頃、同級生同士でK太郞先輩の試合を見に行った時、「応援しているだけでもこんなに楽しいのに、実際に戦って勝てれば、もっと何倍も楽しいだろうな、自分でも体験したいな」と思うようになりました。そして高校3年生の頃には、プロのMMAファイターの道を歩むことを決心していたんです。

Q: 高校の部活がそこまで濃密に充実していたんですね! 今、MMAファイターとして当時に描いていた楽しさは実感できていますか。

佐藤: はい、自分の好きなことをやって、応援してもらったり歓声をもらったりということは、普通はないと思いますし、勝った瞬間はムチャクチャ気持ちいいですね。

こだわったUFC行き、亡き友への誓い

Q: 次に、今回佐藤選手の試合を始めて見るというファンのために、ファイトスタイルをご自身の言葉で教えていただけませんか。

佐藤: 大学までは柔道をやっていましたので、自分のバックグラウンドは柔道で、組めばもちろん柔道を使います。ただ、MMAファイターになるに当たって、打撃をもっと磨きたい、ちゃんと指導を受けたいと思って、ボクシングの練習に比重を置いてやってきました。だから今は打撃が楽しいんです。スタンドではボクシングを軸に試合を組み立てています。

Q: パンクラスでの最近の2、3試合を拝見する限り、体格面でも外国人ファイターに引けを取っていません。

佐藤: 実は柔道をしていた頃は結構細い方だったのですが、かつて(佐藤選手所属先の)Tribe Tokyo M.M.A.にいたトレーナーの方に、海外で試合をするなら身体作りもしっかりやりなさいと言われて、数年かけてようやくここまで大きくしてきました。減量もスムーズにできるように、身体を作り込んできています。

Q: 今は日本人MMAファイターの進路にも選択肢が増えてきましたが、そんな中で佐藤選手がUFC入りにこだわった理由は何ですか。

佐藤: 大学を卒業して、プロとしてのキャリアを踏み出す時点から、自分はUFCで戦いたいという覚悟を持っていました。そしてそのためには、人よりも少しでも多く練習し、真摯に格闘技に向き合っていかないといけないと考えて過ごしてきました。UFCが厳しい舞台であることは分かっていますが、自分はUFCに出るだけではなく、勝てる選手になりたいと思っています。

また、UFCで勝つことは、天国にいるチームメイトの秋葉尉頼(あきばいより)との約束でもあります。秋葉は有望なストライカーだったのですが、2016年8月に不慮のバイク事故で亡くなりました。2012年のUFC日本大会の時、彼が所属していた空手道場をジョルジュ・サンピエールが訪問したことがあって、それをきっかけに彼もUFCに強い興味を持ち、出場することを希望するようになりました。自分と同じ目標を持って一緒に頑張っていた仲間です。彼の分まで夢をかなえられるのは自分しかいないと思っています。

Q: 佐藤選手にとって、海外での試合は初めてですよね。

佐藤: 初めてです。ただ、今回の試合会場は、かつて出稽古で滞在したジム、HARD KNOCKS365のすぐ近くだと聞いているので、安心感はあります。

Q: 対戦相手のベン・サンダース(MMA戦績22勝11敗2分、UFC戦績9勝8敗)については、どんな選手だと見ておられますか。

佐藤: 自分より背が高くてリーチがあり、とてもアグレッシブな選手です。ですから、後手に回らないよう、自分が主導権を握って試合を作っていければと思っています。また、柔術が強い選手なので、ガードポジションに入ると下からいろいろやってくると思うので、注意します。

ノックアウトアーティトの趣味は絵画

Q: ニックネームはありますか。

佐藤: 自分の名前は天(たかし)なんですけど、大学時代までは周りからはテンと呼ばれていました。今回、(Tribe Tokyo M.M.A.代表の)長南(亮)さんがUFCに、ニックネーム”テン”で届け出てくれたので、オクタゴンではテンとコールされることになると思います。外国の方にも覚えやすいのではないかと思っています。

Q: 佐藤選手の入場曲は何ですか。

佐藤: ずっとFire Ballの『Bad Japanese』という曲を使っていましたが、最近、カラーボトルの『情熱の歌』に替えました。ただ、今回の試合でどうするかは、今考え中です。音楽は好きで、いろいろ聞きますね。

Q: 佐藤選手の趣味を教えてください。

佐藤: 最近は御無沙汰なんですけど、3歳から中学生まで、絵画教室に通っていました。絵を描くのは好きで、描き出すと時間を忘れてしまうほどです。授業中の落書きは得意でした。

Q: 音楽、絵画と、佐藤選手は芸術家肌なんですね。では最後に、ファンへのメッセージをよろしくお願いします。

佐藤: ずっと目標にしていたUFCについに出場することになりました。ここからが本当の勝負です。応援してくれる方に楽しんでもらえるような、いい試合をして、勝ちをつかみ取りたいと思います!

【文 高橋テツヤ】
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