2022年上半期ノックアウトトップ5

UFC
UFC 274:マイケル・チャンドラー vs. トニー・ファーガソン【アメリカ・アリゾナ州フェニックス/2022年5月7日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC)】
UFC 274:マイケル・チャンドラー vs. トニー・ファーガソン【アメリカ・アリゾナ州フェニックス/2022年5月7日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC)】
2022年も見事なノックアウトがオクタゴンを沸かせている。非公式な2022年上半期のノックアウトトップ5をこちらにご紹介しよう。

第5位 タイ・トゥイバサ vs. デリック・ルイス



2022年上半期の番狂わせトップ5でも紹介した試合だが、ここでも取り上げないわけにはいかないだろう。

タイ・トゥイバサとデリック・ルイスはセミメインイベントに組まれるだけの期待に応える試合を見せた。ヘビー級のノックアウトアーティスト同士が激突したこの試合の第2ラウンドで、トゥイバサがヒューストンを拠点とするルイスをテクニカルノックアウトで仕留めている。

戦いの序盤はフェンス沿いでのクリンチに費やされ、アクションが止まったところでレフェリーのダン・ミラリオッタが2人を引き離す。短いやり取りの後、再びクリンチの形になったものの、ルイスがテイクダウンによってこれを破っている。ルイスは何発かのハードショットを入れるが、トゥイバサが反撃して2人は立ち上がり、またクリンチへ。残り1分でルイスがテイクダウンしたものの、2人はすぐに体勢を立て直し、ホーンが鳴るまでクリンチの状態が続いた。

第2ラウンドが始まってすぐに、ルイスのアッパーカットがトゥイバサを揺るがす。短いクリンチの後、2人は強烈な打撃の応酬に。トゥイバサのエルボーでルイスが崩れ落ち、ダン・ミラリオッタが公式なタイムとしては第2ラウンド1分40秒で試合を止めた。

この勝利によって、ランキング11位のトゥイバサは戦績を15勝3敗とした。ランキング3位のルイスは26勝9敗ノーコンテスト1回となっている。

第4位 イリア・トプリア vs. ジャイ・ハーバート



イリア・トプリアのライト級デビューは厳しいスタートを切った。ジャイ・ハーバートを相手に第1ラウンドで苦戦を強いられるも、第2ラウンドには流れを変えて見事なやり方でハーバートをノックアウトしている。

試合開始45秒、左足からの頭部へのキックでトプリアは大きく体勢を崩し、立て直すチャンスをつかむためにライバルの足にしがみつく。残り3分を少し過ぎたところで今度はトプリアがテイクダウンするものの、ハーバートは残り1分30秒で立ち上がり、相手を追い詰めていった。ハーバートはラウンド終了までに、さらに数発の重い打撃をトプリアに浴びせている。

しかし、第2ラウンドになってトプリアが一瞬で流れを変えた。鮮烈な右の一撃が、ハーバートを撃沈したのだ。公式タイム第2ラウンド1分07秒で、レフェリーのマーク・ゴダードが試合を終わらせている。

トプリアはこの勝利によって12勝0敗になり、ハーバートは黒星を一つ増やして11勝4敗になっている。

第3位 モリー・マッキャン vs. ルアナ・カロリーナ



ロンドンのO2アリーナに集まった観衆の人気を集めたのは、やはりイギリス・リバプール出身のモリー・マッキャンの方だった。そのマッキャンは第3ラウンドにエルボーでルアナ・カロリーナをノックアウトし、十分以上にファンの期待に応えている。

現在12勝4敗のマッキャンは自分より背の高いカロリーナ(8勝3敗)を序盤から苦しめ、両腕からの奔放かつ強烈な連打を叩き込んでいく。クリンチを経て落ち着きを取り戻したカロリーナは、お返しとばかりに嵐のような攻撃を加えた。いったん距離を取った後はマッキャンがプレッシャーをかけ続ける。残り1分と少しで電撃のような打撃をボディやヘッドに食らわせるマッキャンの姿に、観客席からは大きな咆哮が上がっている。

第2ラウンド開始2分で戦いはマットに移ったものの、コントロールを握っていたのはなおもマッキャン。終盤になってついにカロリーナがマッキャンを跳ねのけたが、ラウンド終了間際にマッキャンが見事なテイクダウンを披露して再び観衆からの大歓声を浴びている。

第3ラウンドではカロリーナが積極的に攻め、マッキャンには疲労が見えていた。しかし、それは一瞬の出来事だった。完ぺきに決まったスピニングバックエルボーで、すべてが決している。レフェリーのダン・モバヘディが終了を宣言した試合の公式タイムは第3ラウンド1分52秒だった。

第2位 マイケル・チャンドラー vs. トニー・ファーガソン



マイケル・チャンドラーはここ数年の格闘技界で最も記憶に残る類のノックアウトを披露した。チャンドラーは元ライト級暫定王者のトニー・ファーガソンを相手に、第2ラウンドでフロントキックを炸裂させている。

第1ラウンドの最初の1分で早くもノックダウンされたチャンドラーだったが、すぐに立て直して強力なパンチを繰り出していく。そのいくつかを食らったファーガソンも反撃を開始。しかし、そこでチャンドラーがテイクダウンに成功した。ファーガソンはチャンドラーの背中にエルボーを浴びせるも、チャンドラーはトップポジションからのショットを絶やさず、“エル・ククイ”ことファーガソンにダメージを与えていく。

突然の終わりがやってきたのは第2ラウンドでのことだった。右からのフロントキックがファーガソンの顎にヒットし、そのままノックアウトとなった。レフェリーのジェイソン・ハーゾグは公式タイム第2ラウンド17秒で試合をストップしている。

この勝利によってランキング5位のチャンドラーは23勝7敗をマークし、ランキング7位のファーガソンが26勝7敗となった。

第1位 ジャン・ウェイリー vs. ヨアンナ・イェンドジェイチェク2



元女子ストロー級チャンピオンである2人、ジャン・ウェイリーとヨアンナ・イェンドジェイチェクのリマッチは、最初のバトルほど見事なものではなかったかもしれない。しかし、同じくらい人々の記憶に残る試合だったのは確かだ。狂乱の第1ラウンドを経て、ジャンが第2ラウンドでイェンドジェイチェクをノックアウトすると、イェンドジェイチェクはそのままオクタゴン上で引退を表明した。

イェンドジェイチェクは最初から積極的に動き、成功を収めるも、開始から2分でジャンにテイクダウンの機会を与えてしまった。マット上でジャンのパウンドを浴びながらもそこを逃れて立ち上がったジェンドジェイチェクは、その後2度にわたって同じ流れを繰り返す。その度にジャンのグラウンドでのストライキングはより速く、苛烈になっていった。残り2分でジャンがマウントポジションを取り、さらに攻撃を続けていく。イェンドジェイチェクはただ耐えるばかりだ。ようやく光明を見出したイェンドジェイチェクは再び両足で立ち、テイクダウンされる前の勢いを取り戻しており、ラウンドが終了した際には観客から大きな歓声が上がっている。

第2ラウンドはジャンのハードなボディキックによって幕を開けた。しばらくの間イェンドジェイチェクは追い詰められていたものの、自らの攻撃を当てるべく前に出る。ジャンのテイクダウンをうまくかわしたイェンドジェイチェクだが、前に進み出たときにジャンのスピニングバックフィストがきまり、顔からカンバスに崩れ落ちた。レフェリーのマーク・ゴダードは公式タイム第2ラウンド2分28秒でこの戦いを終わらせている。

ランキング2位のジャンの戦績は22勝3敗に。女子ストロー級でタイトルを獲得した2人目のファイターであり、5度のタイトル防衛に成功した34歳のイェンドジェイチェクは、16勝5敗という記録をもってオクタゴンを去った。ジャンは2020年3月にイェンドジェイチェクをスプリット判定で下している。

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