UFCファイトナイト・ロシア見どころ:中村K太郎インタビュー、UFCファイターの矜恃を胸に

UFCファイトナイト 見どころ
UFCファイトナイト・アデレード:中村K太郎 vs. サリム・トゥアリ【オーストラリア・アデレード/2018年12月2日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFCファイトナイト・アデレード:中村K太郎 vs. サリム・トゥアリ【オーストラリア・アデレード/2018年12月2日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
日本時間4月20日(土)に開催されるUFCファイトナイト・ロシアには、日本人UFCファイターのエース、”裸締め十段”こと中村K太郎が出場し、スルタン・アリエフ(ロシア)と対戦する。

試合前の中村選手に試合への意気込みをうかがった。

「アウェーでの戦いは意外に楽しみです」

Q: ロシアのイベントで、ロシア人と対戦されます。

中村K太郎: ロシアに行くのは初めてです。アウェーでの戦いを強いられますが、実は意外に楽しみにしています。

Q: ソーシャルメディア上では、同じイベントに出場するロクサン・モダフェリ選手とエールの交換をなさっておられましたね。

中村: ロクサンは日本にいた頃には和術慧舟會に所属していたので、一緒に練習していた時期もあったんです。

Q: さて、今回の対戦相手、スルタン・アリエフについては、どんな選手だとみておられますか。

中村: フィジカルが強い選手ですね。四つに組んで密着して投げるという、柔道っぽいスタイルが強みだとみています。打撃も強いとは思いますが、UFCでKO負けも喫しているので、そこは余り気にしないで戦えるのかな。しっかり四つに組まれないようにして、こちらから組む時は、四つではなくて、タックルで足元を狙ってやると嫌がるんだろうなと思っています。

Q: アリエフのバックグラウンドはコンバットサンボとなっています。これはどんな競技なのでしょうか。

中村: 詳しくはないのですが、本来のサンボに加えて、パンチもパウンドもあるので、基本的にはMMAと似た競技だと聞いています。違いはヒジ打ちがないくらいなのかな。何でもロシアではコンバットサンボは活況で、選手はそれだけで十分に食べていけるらしく、MMAに転向してくる人は余りいないようですね。強い人はたくさんいそうなのですが。

UFCで勝ち残るために必要なこと

Q: さて、中村選手は今回がUFCでの11戦目となります。いまやベテランのUFC日本人ファイターですが、日本人選手がUFCで勝つために必要なことには、どんなことがあると思われますか。

中村: ルールやジャッジの傾向、判定基準など分析した上で、自分の戦うスタイルを作っている人が少ないのでは、という意見を聞いたことがあるのですが、それはその通りだと思います。自分の持っている武器だけで戦おうとするのではなく、ケージに上がる前の段階で、戦い方を考えながら準備することが必要なのではないでしょうか。自分の場合、そこはうまくできていると思っています。

Q: 新しいファンが中村選手について知りたい場合には、どの試合を見ると良いか、お勧めいただけませんか。

中村: 2015年のリー・ジンリャン戦はどうですか。かなり殴られた後の、逆転の一本勝ちでしたから、楽しんでもらえると思いますよ。

Q: リー戦、カイル・ノーク戦と、見事なフィニッシュを堪能させていただきましたが、最近は判定決着が多くなっています。

中村: 実は、ある負けた試合で、早いラウンドでスタミナを大きく消耗してしまったことがあったんです。そこを反省して、スタミナ配分を重視して戦っているので、フィニッシュにつながらないような試合が増えています。昔はもっと、怖い物知らずに戦えたのですが、経験を重ねると、カウンターを打たれると思うから手が出ないとか、スタミナが切れると思うから自分から行けないなど、いろいろ考えてしまうようになりますね。

「今回は負けを恐れず、フィニッシュを狙います」

Q: 先日、現役引退を発表したジョルジュ・サン・ピエール選手は引退理由の1つに、燃え上がるような闘争心やガッツが薄れてきてしまったと語っています。中村選手はどんな風にモチベーションを維持しているのですか。

中村: いや、余り維持できていないかもです。さまざまな面で「まあいいや」と思うことが増えている(笑)。例えば、僕は映画が好きで、昔はよく映画館に足を運んでいたのですが、いまはもう面倒くさいというか・・・スマホで情報を消費していれば時間が潰せてしまうじゃないですか。ただ格闘技については、知人の試合などを見ることがいい刺激になって、奮い立たせてもらっています。もっとも、実はそれほど積極的には格闘技も見ていないんですけどね・・・。

Q: えっ、そうなんですか! プロの方はそういうものなのでしょうか・・・。

中村: 昔は、自分の試合が大好きで、ずっと見ていましたが(笑)、そういうこともだんだんなくなってきました・・・。総合格闘技より、キックやムエタイ、柔術など、分野別に見ることが多いですね。ずっと同じ業界にいるので、ちょっと目を離したい時もあるというか・・・逆に、他の選手はどこまで見てるんでしょうね。だってUFC全試合を見るというのは無理ですよね。

Q: 中村選手の場合、奥様もMMAファイターですが(杉山しずか選手)、そのこともモチベーションアップにつながりませんか。協力しあったり、奥様にアドバイスをなさったりといったことはないのですか。

中村: 奥さんは別のジムに所属しているので、僕は指導はしていないです。ずっとつきっきりで見れればアドバイスもしますけど、本人が好きで選んだ環境ですし、アドバイスを頼まれたわけでもないので・・・。あるレベルまで行けば、結局は自分でどれほどやれるかが大事なのであって、誰に教わるかというのは、究極的には関係ないと思っています。奥さんがファイターであることで、僕がやりやすいとか、やりにくいということは特にないですね。

Q: 昨今は日本人ファイターに活躍の場の選択肢が増えてきていますが、中村選手がUFCという舞台で戦い続ける矜恃(きょうじ)にはどんなことがあるのでしょうか。

中村: やはりUFCは一番稼げる舞台だと思いますし、世界最強を決める舞台でもあると思います。簡単に契約できるわけでもないし、契約し続けることも難しい。そういう舞台で競い合えることは、他の舞台とは明白な差があることだと思っています。

Q: では最後に、ファンに向けてのメッセージをお願いします!

中村: 先ほども言った通り、最近はスタミナ配分を気にして積極的に行けなかった面もあったのですが、前回勝っていて連敗はない状況なので、今回は負けを恐れすぎることなく、アグレッシブになれると思います。フィニッシュで勝ちたいと思っていますので、楽しみに見ていてください。

【文 高橋テツヤ】
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