UFC月間レポート:2023年1月

UFC
UFC 283:デイブソン・フィゲイレード vs. ブランドン・モレノ【ブラジル・リオデジャネイロ /2023年1月21日(Photo by Buda Mendes/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFC 283:デイブソン・フィゲイレード vs. ブランドン・モレノ【ブラジル・リオデジャネイロ /2023年1月21日(Photo by Buda Mendes/Zuffa LLC via Getty Images)】
2023年の最初の2つのイベントが終了し、今年最初のオクタゴン内部でのアクションが終わった今、話題にすべきことはすでに山積みになっている。

これまでに26試合が行われ、うち16試合が終了時間を待たずに終わっている。男子の全階級の試合が行われ、各階級で少なくとも1回のフィニッシュがあり、1番多かったフライ級では2つのテクニカルノックアウトと1回のサブミッション勝利が決まっている。UFC 283ではブランドン・モレノが第3ラウンドで試合を終わらせた。

2023年1月にオクタゴンの中で起こったアクションから、いくつかの見事なパフォーマンスをご紹介

ブレイクアウト・パフォーマンス:ボンフィム兄弟



デビューしたファイターや比較的新人に近い選手たちがすでにいくつかの卓越したパフォーマンスを見せているものの、1月のブレイクアウト・パフォーマンスといえばこれしかない。この、2つしか。

ブラジル出身の兄弟であるイスマエル・ボンフィムとガブリエル・ボンフィムは昨秋に同じデイナ・ホワイトのコンテンダーシリーズで契約を獲得。リオデジャネイロで実施されたUFC 283で、兄弟はそれぞれ印象的なデビュー戦を見せた。

UFC 283試合結果

最初に登場したのは兄のイスマエル・ボンフィムで、テランス・マッキニーを第2ラウンドでノックアウト。27歳のライト級ファイターであるイスマエルは第1ラウンドで相手のアクションを引き出し、それを読むことにラウンドを費やした後、スペースに戻って攻撃を開始し、美しいスイッチニーでマッキニーのあごを捉えると、そのままカンバスに叩きつけた。

その数試合後に弟のガブリエルがオクタゴンに登場し、こちらも印象的なフィニッシュを決めている。

ムニール・ラズィーズと対戦した25歳で無敗のガブリエルは、試合開始から兄より激しくバトルを展開。兄の対戦相手よりも経験のあるチュニジア出身のファイターと序盤から打ち合いになり、何度かクリーンショットを当てられた。とは言え、ガブリエルの方も2度ほど攻撃を当ててラズィーズの注意を引いており、ウェルター級のベテランがテイクダウンを狙って突進した際、ボンフィムは素早く首に腕を回し、背中に回る勢いを活用してマウントを取り、タップを引き出している。

ボンフィム兄弟にとって、傑出した夜だった。この2人が今年これから何を見せてくれるか、楽しみだ。

サブミッション・オブ・ザ・マンス:ニール・マグニーをサブミットしたギルバート・バーンズ(UFC 283)



ラズィーズを相手に決めたボンフィムのフィニッシュは見事だった。アラン・ナシメントがイベントのトップバッターを務めた試合でカルロス・ヘルナンデスを下したサブミッションも、一流だった。そして、UFC 283で、ティアゴ・モイゼスが第2ラウンドでメルキザエル・コスタを仕留めたサブミッションも。

だが、1月最高のサブミッションといえば、ギルバート・バーンズが第1ラウンドでニール・マグニーに決めた、アームトライアングルチョークだ。

ブラジリアン柔術のワールドチャンピオンに複数回なったことのあるバーンズは、グラップリングのルーツに立ち返り、その経験とスキルをもってマグニーを素早く、比較的容易にカンバスに倒している。そのまま流れるようにポジションを変えたバーンズは、マグニーをカンバスに押し付けたまま隙を探し、マウントに持ち込んだ。

ケージ際だったものの、バーンズはアームトライアングルチョークを決め、失望した様子のマグニーからタップを引き出している。圧倒的なパフォーマンスを見せた“ドゥリーニョ“ことバーンズが、ウェルター級のトップコンテンダーの一人という立場を確かなものにした。

ノックアウト・オブ・ザ・マンス:ラオーニ・バルセロスを倒したウマル・ヌルマゴメドフ(UFCファイトナイト・ラスベガス67



今年最初のイベントで、無敗のバンタム級選手がプロキャリア最大の勝利を手にした。第1ラウンド終盤に、バルセロスを沈めたのだ。

試練になると思われていたこの試合で、27歳のヌルマゴメドフは素早く自身の力を示し、さまざまなキックやストライキングの能力と、グラップリングの才覚の片りんを見せていた。ラウンドの終盤に、バルセロスが距離を詰めようと前に出る。これを受けて、ヌルマゴメドフも膝を上げて突進した。

この膝は届かなかったものの、本能的に短い左フックを繰り出し、それがバルセロスの頭部付近にあたって相手をカンバスに崩す。それは大きなトルクや、意図的な力がこもっていたものではなかったが、その場の勢いを乗せて発せられたものであり、バルセロスを戦闘不能状態に追いやった。

ヌルマゴメドフはUFCで4勝0敗、キャリア通算16勝0敗をマークしており、ランキングは11位となっている。UFCでも最も有能なファイターの一人であり、1年が経たないうちにバンタム級のトップまで上り詰めるだろう。

ファイト・オブ・ザ・マンス:ブランドン・モレノ vs. デイブソン・フィゲイレード(UFC 283)



空位となっていたライトヘビー級タイトルをめぐるジャマール・ヒルとグローバーテイシェイラのバトルほど長く続いたわけではないものの、モレノとフィゲイレードによるフライ級の一戦は、緊張感と激しい競り合いという意味では、それを上回っていたかもしれない。

激しいライバル関係にある2人は、常に信じられないほどの接戦を繰り広げており、それはこの試合の序盤でもやはりそうだった。両者が強いショットを繰り出し、試合をコントロール下におこうとしている。モレノが素晴らしい働きで状況を動かし、グランプリングの応酬に移行させて、これまでの3回の対戦になかったほどフィゲイレードにプレッシャーをかけ始めた。

3ラウンドのすべてにわたって、ブラジル出身のタイトルホルダーが押していたものの、フィゲイレードに一撃でダイナミクスを変えてしまうパワーがあることは誰もが承知していた。しかし、まさにそういった一撃を繰り出したのはモレノの方で、フィゲイレードの目元に左手を叩き込む。フィゲイレードはよろけ、目が腫れたために試合を続行することができなかった。

ややあっけない終わりだったかもしれない。しかし、この試合によってフライ級のスリリングな1年が始まった。モレノが王座に収まった今も、数多の潜在的な挑戦者たちが2度の王者の陥落を狙っている。
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