UFC 189のローラー対マクドナルド2が2023年のUFC殿堂に

UFC
UFC 189:ロビー・ローラー vs. ローリー・マクドナルド【アメリカ・ネバダ州ラスベガス /2015年7月11日(Photo by Christian Petersen/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFC 189:ロビー・ローラー vs. ローリー・マクドナルド【アメリカ・ネバダ州ラスベガス /2015年7月11日(Photo by Christian Petersen/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
2015年に行われたロビー・ローラーとローリー・マクドナルドのウェルター級マッチが2023年度UFC殿堂の“ファイトウイング”に迎えられる。『Toyo Tires(トーヨータイヤ)』提供2023年UFC殿堂インダクションセレモニーは現地時間7月6日(木)にアメリカ・ネバダ州ラスベガスのT-Mobileアリーナで行われる。このイベントは『UFC FIGHT PASS(UFCファイトパス)』が独占配信する予定だ。

UFC会長のデイナ・ホワイトは「UFC 189でのロビー・ローラーとローリー・マクドナルドの試合は、UFCの歴史上で最もエキサイティングなものの一つだった。絶対的な闘争であり、両者の勇気、気概、決意、そして勝利への意思を示す完ぺきな試合だった。この5ラウンドの傑作は最高の一戦としてずっと思い出され続けるだろうし、この試合を夏にUFCの殿堂に迎えるのが待ちきれない」と述べている。

この試合はUFC 189:メンデス vs. マクレガーのセミメインイベントとして2015年7月11日にラスベガスのMGMグランド・ガーデン・アリーナで実施されており、ローラーとマクドナルドの双方が3連勝をマークした状態で対戦に臨んでいた。

ローラーはUFCウェルター級チャンピオンとしてオクタゴンに上っており、25勝10敗(ノーコンテスト1回)を記録する中でUFC殿堂のメンバーであるフランク・トリッグ、元UFCウェルター級王者ジョニー・ヘンドリクス、元ライト級王者スコット・スミスを破り、2013年にはマクドナルドにも勝利を収めている状態。

対するマクドナルドはローラーとのリマッチにウェルター級のコンテンダーで最高ランクにつけた状態で臨み、18勝2敗を記録してUFC殿堂のメンバーであるB.J.ペンや元UFCウェルター級王者のタイロン・ウッドリー、元ストライクフォースウェルター級王者のタレック・サフィジーヌ、元WECおよびStrikeforceウェルター級王者ニック・ディアス、デミアン・マイアらを相手に白星を挙げていた。

いずれのアスリートも開始からすぐにオクタゴンの中央に歩み出て、自らのポジションを確立させようとする、はじめにマクドナルドがジャブの集中砲火からストライキングを開始した。いつもはスタートダッシュをかけるローラーは、忍耐強くマクドナルドの出方を見る。慎重にレッグキックを繰り出しつつ、マクダオナルドのジャブや右ストレートに応じた。マクドナルドは第1ラウンドの間に1回のテイクダウンを試みたが、ローラーがそれを防ぎ、右ひざでカウンター攻撃へ。両ファイターがパンチを応酬する中で、第1ラウンドは終了している。

第2ラウンド序盤はローラーがコントロールを握り、両者がオクタゴンの中央に出る中、ローラーが先に打撃を繰り出しつつマクドナルドのレッグキックを抑えている。マクドナルドはより重いショットを打ち、そのリーチとレッグキックを活用してローラーのレンジの外にとどまった。ラウンド中盤から2人は複数のコンビネーションを使い始め、それぞれのやりとりを通して前へプッシュする。残り1分でローラーの攻撃がマクドナルドの鼻を砕き、血がその胸へと流れ落ちた。ローラーの最後のコンビネーションによってこのラウンドは幕を閉じ、お互いが1ラウンドずつ取っている形となる。

いつになくここまで耐えしのぶバトルを続けていたローラーは、第3ラウンドになってもマクドナルドに対して戦略的なアプローチを続行。計算された打撃を繰り出しながらマクドナルドのカウンターをブロックし、隙を見てレッグキックを打っていく。マクドナルドの2回目のテイクダウンの試みを防いだローラーは3パンチのコンビネーションでこれに応じ、マクドナルドの顔面にはさらに2つの切り傷ができた。第3ラウンド残り35秒でマクドナルドは右ヘッドキックを決め、ローラーをぐらつかせてそのままフェンス際まで攻めたてる。残り10秒を切る中、マクドナルドはこの試合を終わらせようとパンチの連打からヘッドキック、フライングニーと攻めていった。ローラーは何とかしのぎきったものの、流れがマクドナルドに傾いていたのは明らかだった。

第4ラウンド開始までにローラーが完全回復することはなく、マクドナルド優勢で新たなラウンドが幕を開ける。開始15秒でマクドナルドは右ヘッドキックから左ストレートのコンビネーションを入れ、ローラーはフェンスまで後退を強いられた。マクドナルドはさらにパンチとフライングニーで攻撃し、ローラーはダメージを最少に抑えようとガードを上げる。マクドナルドが連打やヘッドキック、スタンディングエルボーでプッシュする間も、ローラーは繰り返しレフェリーのジョン・マッカーシーに自分は大丈夫だとアピールしていた。意識がもうろうとし、ダメージが抜けていないローラーは、それでも押してくるマクドナルドにカウンターで応じ続ける。いずれも激しく流血している2人のファイターは、それにもかかわらず決して引こうとはせず、ラウンド終了の合図までコンビネーションを出し続けた。オクタゴンの真ん中で両者にらみ合う形で、このラウンドは終了している。

最終決戦の第5ラウンド。並び立つ両者に満員の観客からスタンディングオベーションが送られた。ベルが鳴ると同時に試合を支配したのはローラーで、開始56秒時点で左フックから右ジャブをマクドナルドの鼻先にたたき込み、相手をカンバスに倒している。これを機にローラーがさらに2発のパンチを入れたのを見て、マッカーシーが残り1分で試合を止めた。

乱打戦で2人のアスリートは血まみれになり、ローラーのくちびるが割れているのは見た目にはっきりとわかった。マクドナルドの顔面も、めった打ちの状態だった。

この試合には敢闘試合賞が送られ、『Fighters Only World MMA Awards(ファイターズ・オンリー・ワールドMMAアワード)』や『Sherdog.com』、『MMA Fighting(MMAファイティング)』、『Bleacher Report(ブリーチャー・レポート)』、『Wrestling Observer(レスリング・オブザーバー)』の“2015年ファイト・オブ・ザ・イヤー”に選ばれた。

ローラーはこの試合から3戦で2勝を飾っている。2016年7月に実施されたUFC 201のメインイベントでウッドリーとのタイトル戦に敗れたものの、ウェルター級とミドル級のトップコンテンダーと戦い続け、2021年にはUFC 266でニック・ディアスを下した。

マクドナルドは次戦にあたる2016年7月の試合で“ワンダーボーイ”ことスティーブン・トンプソンに敗れ、その後ほどなくしてUFCを去っている。Bellator(ベラトール)とPFL(Professional Fighters League/プロフェッショナル・ファイターズ・リーグ)で戦った後、2022年に引退した。
Facebook X LINE

オクタゴンガール
オフィシャルショップ
FANTASY