UFCの階級を知る――規定体重と許容範囲

UFC
UFCファイトナイト・シンガポール:公式計量に臨んだマックス・ホロウェイ【シンガポール・カラン/2023年8月25日(Photo by Mike Roach/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFCファイトナイト・シンガポール:公式計量に臨んだマックス・ホロウェイ【シンガポール・カラン/2023年8月25日(Photo by Mike Roach/Zuffa LLC via Getty Images)】
総合格闘技(MMA)の世界では、アスリートたちは体重別の階級で戦う。試合日の前日に行われるUFCの公式計量で、アスリートたちは体重を特定の重量、もしくはその周辺に収めなければならない。

現在、UFCには12の階級があり、そのすべてでファイターたちには制限以下に体重を収めることが求められる。一般的に、ファイターたちは要求される重量をクリアしつつ減量を最小限にすべく、正確なリミット通りの体重を目指す。

規定の体重に収められなかった場合、アスリートは一定の割合のファイトマネーを対戦相手に渡すか、相手との合意に基づいて特定の階級にあてはまらない試合として戦うか(キャッチウェイト)、試合そのものがキャンセルになるかだ。

UFC公式計量は試合日の前日に実施され、各アスリートには現地時間9時から11時の間に計量を行うことが義務づけられる。その州のアスレチックコミッションの規定、ならびに求められる重量のいずれか、もしくは双方によって、計量に失敗した選手には超過した分の重量を減らし、再度の計量に臨むための時間が追加で与えられる。

非タイトル戦については、アスリートたちは各階級のリミットより1パウンド(約450グラム)まで超過可能。一方、タイトル戦では特定の重量ぴったり、もしくはそれを下回るように調整することが義務づけられる。

厄介と思うだろうか――そう、実際にややこしい。UFCの階級を理解する上で重要なポイントを説明する。

ストロー級:115パウンド(約52.2kg)

ストロー級は現在のUFCで最も軽量な階級であり、女子4階級の1つでもある。2014年に元女子ストロー級王者であるカーラ・エスパルザがローズ・ナマユナスを下し、初代チャンピオンになった。それ以降、この階級ではヨアンナ・イェンドジェイチェクやローズ・ナマユナスなど、多くのUFCレジェンドたちが活躍している。

非タイトル戦において1パウンドの超過が許されるため、ストロー級のアスリートたちは最大で116パウンド(約52.6kg)に収めればよい。タイトル戦の場合、アスリートたちには115パウンド以内に収めることが義務づけられる。

フライ級:125パウンド(約56.7kg)

男子と女子の両方にある3つの階級の最初の1つがフライ級だ。男子フライ級と女子フライ級には2023年に新チャンピオンが誕生し、アレクサ・グラッソが3月に実施されたUFC 285で女子のベルトを、アレクサンドル・パントーハが7月実施のUFC 290で男子のベルトを手にした。パントーハはUFC 296でコンテンダーのブランドン・ロイバルを退け、タイトル防衛に成功している。

非タイトル戦においてフライ級のアスリートたちは最大で126パウンド(約57.2kg)に収めればよい。タイトル戦の場合、アスリートたちには125パウンド以内に収めることが義務づけられる。

2020年には元王者のデイブソン・フィゲイレードがジョセフ・ベナビデスとのフライ級タイトルマッチに臨む予定だった。しかしながら、フィゲイレードは計量で127.5パウンド(約57.8kg)と、タイトルマッチ制限を2.5パウンド(約1.1kg)超過してしまった。この試合には勝利したフィゲイレードだったが、計量ミスにより王座に就くことはならず、5カ月後にリマッチの機会を与えられている。

バンタム級:135パウンド(約61.3kg)

男子と女子の両方に置かれたもう1つの階級がバンタム級。この階級には世代を代表する数名のアイコニックなアスリートが存在し、壮大な試合が行われてきた。女子MMAのパイオニアの1人であるロンダ・ラウジーは、そのレガシーを女子バンタム級で築いている。タイトル防衛6回を数えるのみならず、ラウジーは女子バンタム級の初代王者だった。

男子ではUFC 299で元王者アルジャメイン・スターリングを第2ラウンドでテクニカルノックアウトした“シュガー”ことショーン・オマリーがタイトルを保持。オマリーはUFC 299で“チト”ことマルロン・ヴェラを相手に初の防衛戦に臨む。

非タイトル戦においてバンタム級のアスリートたちは最大で136パウンド(約61.7kg)に収めればよい。タイトル戦の場合、アスリートたちには135パウンド以内に収めることが義務づけられる。

フェザー級:145パウンド(約65.77kg)

男子と女子の両方に存在する最後の階級がフェザー級だ。その起源は2010年にWECの145パウンド級を吸収したことにある。UFCフェザー級はファンからの期待がきわめて高い試合が行われてきた階級であり、その中には初代フェザー級王者のジョゼ・アルドと、アイルランドのスーパースターであるコナー・マクレガーによるタイトル戦などがある。現在はアレキサンダー・ボルカノフスキーが男子のタイトルを保持しており、直近で女子フェザー級チャンピオンだったのは引退したアマンダ・ヌネスだ。

非タイトル戦において、フェザー級のアスリートたちは最大で146パウンド(約66.22kg)に収めればよい。タイトル戦の場合、アスリートたちには145パウンド以内に収めることが義務づけられる。

ライト級:155パウンド(約70.30kg)

UFCライト級は才能ある選手の層が最も厚い階級の1つとして知られている。近年はUFC殿堂の一員であり、元チャンピオンのハビブ・ヌルマゴメドフが引退したことで、広く注目を集めてきた。

現ライト級王者のイスラム・マカチェフはUFC 280でチャールズ・オリベイラを倒し、王座に就いている。その以前、ライト級チャンピオンは空位となっていた。これは、オリベイラがUFC 274に組まれたジャスティン・ゲイジーとのタイトルマッチの計量で規定を0.5パウンド超過(155.5パウンド)して試合に臨み、ゲイジーが勝利していればゲイジーが王座奪取を決めていたが、結果的にオリベイラが勝利したことで空位のままとなった。

マカチェフは以来、UFC 284とUFC 294に組まれたアレキサンダー・ボルカノフスキー戦で2度のタイトル防衛に成功し、トップの座を守っている。

非タイトル戦においてライト級のアスリートたちは最大で156パウンド(約70.76kg)に収めればよい。タイトル戦の場合、アスリートたちには155パウンド以内に収めることが義務づけられる。

ウェルター級:170パウンド(約77.1kg)

階級の間が15パウンド飛ぶのは、ライト級からウェルター級の間が最初だ。最近はこの階級にコンテンダーたちが台頭しつつある。2022年に実施されたUFC 278のメインイベントでは、レオン・エドワーズが元ウェルター級王者で元パウンド・フォー・パウンド王者のカマル・ウスマンを第5ラウンドでノックアウトして格闘技界を驚かせた。ハムザト・チマエフとベラル・ムハマッドもこの秋の勝利によって、それぞれトップ5の地位を確固たるものにしている。

UFC 296ではエドワーズがコルビー・コビントンとの5ラウンドにわたる激闘を制し、2度目のタイトル防衛を成功裏に終えた。

ひとつ下の階級とは大きく間が開くものの、非タイトル戦においてウェルター級のアスリートたちに許されるのは、やはり最大で171パウンド(約77.6kg)。タイトル戦の場合、アスリートたちには170パウンド以内に収めることが義務づけられる。

ミドル級:185パウンド(約83.9kg)

シドニーで行われたUFC 293のメインイベントで、ショーン・ストリックランドがイズラエル・アデサニヤとの5ラウンドにおよぶ死闘を制し、UFCミドル級チャンピオンとなった。

ストリックランドはUFC 297でドリカス・デュ・プレシを相手に初めてのタイトル防衛に臨むことになっている。

非タイトル戦においてミドル級のアスリートたちは最大で186パウンド(約84.4g)に収めればよい。タイトル戦の場合、アスリートたちには185パウンド以内に収めることが義務づけられる。

ライトヘビー級:205パウンド(約93kg)

ミドル級より20パウンド(約9.1kg)増えるライトヘビー級では、UFC史上、最も偉大な才能の1人であるジョン・ジョーンズの活躍が顕著だろう。“ボーンズ”ことジョーンズは2011年から2015年と、2018年から2020年にかけて、チャンピオンベルトをその身に巻いていた。この間、タイトル防衛成功は11回を数える。UFC 295でイリー・プロハースカに第2ラウンドノックアウト勝ちを収めたアレックス・ペレイラが、現在のベルト保有者だ。

非タイトル戦においてライトヘビー級のアスリートたちは最大で206パウンド(約93.4g)に収めればよい。タイトル戦の場合、アスリートたちには205パウンド以内に収めることが義務づけられる。

ヘビー級:265パウンド(約120.2kg)

これぞ醍醐味。ヘビー級はUFCにおいて最も自由な階級であり、アスリートたちはときに規定の体重を数パウンド下回ることもある。

たとえば、2022年に行われたUFCファイトナイト・パリでは、シリル・ガーンがタイ・トゥイバサとのヘビー級マッチ(非タイトル戦)の計量を247パウンド(約112kg)でパスしたが、対するトゥイバサは266パウンド(約120.7kg)だった。ヘビー級ファイターの中では、各々のスキルセットやファイトスタイルによって、スピードの増加やストレングス上のアドバンテージを活用すべく、こういった開きをあえて選択することがある。

ジョン・ジョーンズの復帰が待たれる中、UFC 295でトム・アスピナルがセルゲイ・パブロビッチを相手に第1ラウンドでテクニカルノックアウト勝ちを収め、暫定王座に就いている。

非タイトル戦においてヘビー級のアスリートたちは最大で266パウンド(約120.7kg)に収めればよい。タイトル戦の場合、アスリートたちには265パウンド以内に収めることが義務づけられる。

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