宇野薫に聞く! UFCファイトナイト・ジャパンの見どころ徹底解説【後編】

UFCファイトナイト 見どころ
五味隆典【2015年7月15日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
五味隆典【2015年7月15日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
第9試合:五味隆典 vs. キム・ドンヒョン

Q: 五味選手は現在4連敗中と戦績が奮わず、ファンとしては心配なのですが、宇野さんは五味選手の最近の試合ぶりをどのようにご覧になっていますか。

宇野薫: そうですよね、早いラウンドで負けてしまっているので、五味選手のスタイルが出せない試合が続いていて、残念というか、悔しいというか、寂しさがあります。

Q: MMAの技術進化は、今も一昔前と変わらない速度で進んでいると思いますか? それともある程度成熟してきているでしょうか。

宇野: UFCは今でも急速に技術が進化していると思います。少し前まで有効だった技術が、すぐに使えなくなったりしていますし、スタイル面でも流れが常に変わり、オールラウンドの選手も増えてきています。ちょっとしたミスが命取りになるような時代です。

Q: 五味選手は、今回がUFCラストマッチになると明かしています。どんな試合を期待したいですか。エールを送るとしたら、どんな言葉を贈りますか。

宇野: UFCという厳しい環境でこんなに長く戦い続けている五味選手は本当にすごいと思います。最後まで五味隆典を貫き通して、悔いのないように思いきり戦ってほしいです。

第11試合:オヴィンス・サン・プルー vs. 岡見勇信

Q: そして堂々のメインイベント登場は4年ぶりのUFC復帰、宇野さんにとっては和術慧舟會の盟友、岡見勇信選手です。負傷欠場のマウリシオ・フアの代打で、試合の1週間前に電撃参戦を決断、大会を背負ってオヴィンス・サン・プルー(米国)と対戦することになりました。

宇野: 僕も本当に驚きましたし、同時に良かった、うれしいという気持ちになりました。岡見選手はUFCをリリースされた後も、復帰を目指して他団体で着実な実績を積んできていました。そのことが評価され、実を結んだのだと思います。

Q: ロンダ・ラウジーやコナー・マクレガーでUFCを知るようになった最近のファンは、もしかすると岡見選手のことを知らないかもしれません。どんなファイターだといますか。

宇野: 岡見選手は、テイクダウンをしてグラウンドでトップをキープし、相手をコントロールすることで、しっかり勝ち切ることができる選手です。ただ、UFC時代にはミドル級で、最近ではウェルター級で活躍していたところ、今回はウェルター級からは2階級上のライトヘビー級戦ということですから、体格的なハンディはどうしても否めないでしょう。それでも、岡見選手は日々しっかりトレーニングをして、良いコンディションをキープしていたからこそ、こうして巡ってきたチャンスをつかみ取ることができるのだと思います。たくさんのファンの声援を力に、大一番をものにしてほしいと思います。

現役総合格闘家として最後にもう一度、オクタゴンに上がってみたい気持ちは、まだ持っています(宇野)

Q: ここまで、UFCファイトナイト・ジャパンの各試合について、見どころを教えていただきました。ところで宇野さんは、UFCライト級のパイオニアの1人として、化け物的に強かったあの頃のB.J.ペンと王者決定戦で互角に戦い、負けなかったというとんでもない実績をお持ちです(2003年2月、UFC 41)。しかも、最近まで3度目のUFC復帰も目指しておられたとの報道も目にしています。宇野さんがこだわり続けたUFCとは、どのような場所なのでしょうか。




宇野: トップアスリート同士が完全実力主義でしのぎを削り、高いパフォーマンスでお客様を楽しませる、プロフェッショナルな場所がUFCだと思います。選ばれた選手しか上がれないメジャーリーグであり、厳しいながらも、挑戦しがい、やりがいがある。そんな気持ちにさせてくれるのがUFCです。僕が当時から国内ではなく海外のUFCを目指していたのは、1つには軽量級で世界に打って出ることができると思ったからなのです。それと、イチロー選手(当時シアトル・マリナーズ所属)に刺激を受けたということも、少しはあったんですよ。

BJとの試合は僕にとってもいい思い出です。ちなみに、これまでの試合経験で、殴られて1番痛かったのは、間違いなくBJでしたね。

Q: UFCで確かな実績を上げられた宇野さんから見て、日本人UFCファイターがこれからもっと勝利を得ていくためには、どうしたらいいと思われますか。

宇野: 僕が参戦していた頃とは違い、MMAの技術はどんどん進化しています。ですから、選手個人の取り組みだけではなく、試合前・試合中も、チームとしてしっかりとした作戦を立て、練習に取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。海外のメガジムでは、複数の専門家が選手をサポートする体制がしっかりとできあがっており、セコンドも適宜適切なアドバイスを送っています。

今は最終的にはミスをしない選手、正確な判断やチョイスができる選手が勝利しているように思います。そんな日本人ファイターが増えていってくれればと思います。

Q: よく分かりました。宇野さん、長時間の解説をどうもありがとうございました! ちなみに宇野さんは次の試合のご予定は決まっていますか。

宇野: いえ、今のところは特に決まっていません。ただ、先ほど「3度目のUFC復帰も目指していた」と過去形でおっしゃいましたが、まだ諦めたわけではないんですよ。年齢も年齢ですし、目標というより夢というべきなのでしょうが、現役総合格闘家として最後にもう一度、怖いんですけど、オクタゴンに上がってみたい気持ちは、今でもまだ持っています! 実は、UFCでのこれまでの試合で、なぜか自分の本来の力を発揮しきれなかったという思いが残っているんです。それが何だったのかを確かめてみたいという気持ちがあります。

Q: こ、これは失礼しました! では宇野さんのUFC復帰も祈念しつつ、今回のUFCファイトナイト・ジャパンを楽しみたいと思います!

【文 高橋テツヤ】


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