UFC 245見どころ:年忘れ豪華3大タイトルマッチ! ヌネス、ホロウェイ、ウスマンそろい踏み

UFC PPV 見どころ
UFC 235:タイロン・ウッドリー vs. カマル・ウスマン【アメリカ・ネバダ州ラスベガス/2019年3月2日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC)】
UFC 235:タイロン・ウッドリー vs. カマル・ウスマン【アメリカ・ネバダ州ラスベガス/2019年3月2日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC)】
日本時間12月15日(日)に開催される2019年最後のナンバーシリーズ、UFC 245は掉尾(とうび)を飾るにふさわしい超豪華3大タイトルマッチが配された。

絶対女王ヌネスに死角なし

3大タイトル戦の第1弾はUFC女子バンタム級と女子フェザー級の2冠王者に輝いたアマンダ・ヌネス(ブラジル)が、バンタム級タイトルをかけた5度目の防衛戦でトップコンテンダーのジャーメイン・デ・ランダミー(オランダ)を迎え撃つ一戦だ。

UFC史上初の女子2冠王となったヌネスは現在9連勝(UFC女子部門の連勝レコード)中。この9連勝中にはロンダ・ラウジー、ミーシャ・テイト、ワレンチナ・シェブチェンコらを下し、ベルトを2本獲得、バンタム級ベルトを4度防衛して5度のポストファイトボーナスを手に入れている。前々回はクリスチャン・サイボーグ、前回はホリー・ホルムをそれぞれ第1ラウンドでフィニッシュしており、もはや向かうところ敵なし状態だ。

両者は2013年11月にも対戦しており、その時にはヌネスがグラウンドのエルボーでデ・ランダミーをフィニッシュしている。それでも、デ・ランダミーはこの敗戦以来、無傷の5連勝を遂げ、2017年にはホルムを退けて初代女子フェザー級王座を獲得(手の負傷による長期欠場により剝奪)。前回は7月にアスペン・ラッドを試合時間わずか16秒、ワンパンチでノックアウトした。

「前回の試合では、私をテイクダウンするのは簡単だったと思う。でも今の私は違う。だから前回とは全然違う試合になると思う。アマンダが最強ファイターの1人であることは認める。でも、負けない人などいない。私が勝つ」と雪辱に燃えるデ・ランダミー。リベンジを果たせば、デ・ランダミーも2階級目のベルト獲得という偉業を達成することになる。

盤石のホロウェイに挑むは17連勝男ボルカノフスキー

3大タイトル戦の第2弾はUFCフェザー級王者マックス・ホロウェイ(アメリカ)に挑戦者アレックス・ボルカノフスキー(オーストラリア)が挑む一戦だ。

ホロウェイは現在、フェザー級戦では14連勝中だ。今年4月にライト級暫定王者決定戦でダスティン・ポワリエに苦杯をなめたが、フェザー級に戻った前回7月の防衛戦ではフランキー・エドガーを一蹴している。

ホロウェイがUFCでの21試合でこれまでに繰り出した有効打撃数1,937発は現役選手中最多である。圧倒的な手数とプレッシャーでフェザー級を一掃しつつあるホロウェイは、ボルカノフスキー戦を前に「レベルの違いを見せてやるよ」と余裕を見せており、この試合で勝てば、今後は他の階級のベルト獲得に乗りだし、さらなるレガシーを打ち立てていきたいとも語っている。

ボルカノフスキーはMMA戦績20勝1敗、現在17連勝中、UFC入りして以来7連勝と猛威を振るっており、昨年12月にチャド・メンデスにノックアウト勝ち、今年5月にはジョセ・アルドを完封し、タイトル挑戦権を手中に収めた。

「タイトルが欲しい。そのことしか考えられない。このためにこれまでずっと、ハードな練習を積んできた。犠牲にしてきたこともたくさんある」と語るボルカノフスキー。7月にカナダで行われたホロウェイ対エドガーのタイトルマッチの際には、誰から頼まれたわけでもないのに、勝手にトレーニングをして、勝手に減量をして、どちらかの選手が急に欠場になったら代打出場できるよう現地でスタンバイしていたというから、タイトルへの執念はすさまじい。

かつてラグビーの選手だったというボルカノフスキーの持ち味は、大男とぶつかり合う中で磨いたパワーとスタミナだ。ボルカノフスキーは挑発する。「ホロウェイはいつも、ノンストップのプレッシャーで相手を削ってくる。ただ、自分は削られるということを知らない。20ラウンドでも戦ってやる。だから小細工はやめて、真っ向勝負して来いや!」

ウスマン初防衛戦、悪党コビントンを迎え撃つ

UFC 245のメインイベントに組まれたのは王者カマル・ウスマン(ナイジェリア)に挑戦者コルビー・コビントン(アメリカ)が挑むUFCウェルター級タイトルマッチ。

UFC 235(2019年3月)には元王者タイロン・ウッドリーに何もさせずに完勝、一気にチャンピオンに駆け上ったウスマン。UFC戦績10勝0敗というパーフェクトレコードを誇る初のアフリカ出身のUFC王者でもある。

一方のコビントンはUFC戦績11勝1敗、現在7連勝中。今年8月にロビー・ローラーを相手に、UFCレコードとなる541発の打撃と18回のテイクダウンで攻め続け、25分間ローラーに息を付くヒマすら与えず完勝した。

すばらしいコンディショニング、KOパワーを秘めた打撃、芸術的なテイクダウン、強烈なトップコントロールから繰り出すグラップリングと、両選手のファイトスタイルはどこか似ている。ベルト獲得はウスマンが一歩先んじたとはいえ、先に暫定王座を獲得したのはコビントンで、出世街道も合わせ鏡のようだ。

ただし、大きく違っているのはコビントンがますますUFC随一の悪党として“悪役人気”を高めている点だ。

前回から人気悪役プロレスラー、カート・アングルの入場曲『The Medal』を使用しているコビントン。観客は曲のリズムに乗せて「You Suck!(サイテー)」とコビントンに罵声を浴びせる。水着姿の女性を複数はべらせて自家用ジェットで移動する風景は、コビントン憧れのプロレスラー、リック・フレア流だ。

そんなコビントンにウスマンは、「ヤツは道を間違っている。ヤツの家族はよく許しているものだ。だから俺がしつけをしてやる」と完全決着を宣言すれば、コビントンも「オレのことを嫌いなヤツらはたくさんいる。でもそんなヤツらも試合を見る。オレが負けるところを見たいからだ。そして、結局はオレのファンになる。なぜならオレが勝ち続けるからだ」と豪語する。

意識し合うライバルによる壮絶な決戦は、ウェルター級屈指の名勝負数え歌の始まりを予感させている。

【文 高橋テツヤ】
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