ノックアウト | 2023年UFC.COMアワード

UFC
UFC 296:ジョシュ・エメット vs. ブライス・ミッチェル【アメリカ・ネバダ州ラスベガス /2023年12月16日(Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFC 296:ジョシュ・エメット vs. ブライス・ミッチェル【アメリカ・ネバダ州ラスベガス /2023年12月16日(Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)】
2023年に特に観客を沸かせたノックアウトと言えば? 『UFC.com』が選ぶ、2023年のベストノックアウトの非公式なリストがこちら。

1. ジョシュ・エメット vs. ブライス・ミッチェル

勝負は1発で決まった。

ジョシュ・エメットの右腕がブライス・ミッチェルを直撃し、試合は終わった。2人は試合開始から相手の隙をうかがい、円運動を続けていた。ミッチェルが右腕を繰り出したときに、エメットも右腕を振り上げ、ミッチェルを撃沈している。

何と見事なノックアウト。ペイ・パー・ビューイベントの、衝撃の幕開けだった。そしてまた、2連敗を喫していたエメットが何という年の瀬を迎えたことか。

何ともはや。

2. イズラエル・アデサニヤ vs. アレックス・ペレイラ

アレックス・ペレイラを第2ラウンドでノックアウトしたイズラエル・アデサニヤが、再びUFCミドル級チャンピオンになった。

苦々しいライバル関係にある2人は、最初の2ラウンドでは1対1という状況だった。ペレイラがアデサニヤの足を攻撃していたのに対し、チャレンジャーは前回の対戦時より前に向かってプレッシャーをかけ、切迫した攻めを見せている。ペレイラが前に出て、同じようにアデサニヤにダメージを与えようとした際、“ザ・ラスト・スタイルベンダー”ことアデサニヤが解き放った右腕が王者を揺るがし、続く右の打撃によってチャンピオンはカンバスに崩れ落ちた。

ナイジェリア生まれでオークランドを拠点とする傑出したファイターが、実に興味深いフィニッシュによって、ミドル級タイトルを手にしている。

3. ジャスティン・ゲイジー vs. ダスティン・ポワリエ

再びソルトレイクシティを舞台とするペイ・パー・ビューイベントで、新たなヘッドキックによるフィニッシュが生まれた。

第2ラウンド序盤、ジャスティン・ゲイジーが右のハイキックによってダスティン・ポワリエをノックアウトし、BMF(バデスト・マザー・ファッカー)のタイトルを勝ち取っている。第1ラウンドは五分五分で、ゲイジーが当てる回数が多いものの、それぞれのショットはポワリエの方が大きい状況。しかし、ゲイジーが完璧な位置取りのキックをたたき込み、ポワリエのガードを突破して、このファイターをカンバスに沈めた。

ゲイジーの、真の輝きを放ったフィニッシュだった。ユタ州で行われたペイ・パー・ビューイベントでゲイジーがポワリエを破るのは、これで2戦連続のことだった。

4. イスラム・マカチェフ vs. アレキサンダー・ボルカノフスキー

もう疑問はない。

2人の最初の対戦でアレキサンダー・ボルカノフスキーが勝利したこと、そして、2度目にイスラム・マカチェフが勝ったとき以上の称賛を受けていたことに、マカチェフは煩わされていた。しかし、アブダビの土曜日に、マカチェフは自分の方が優れていることを証明してみせた。第1ラウンドでボルカノフスキーをノックアウトするという形で。

序盤にフェンス際でグラップリングのバトルを繰り広げた後、2人はいったん距離を置き、マカチェフが左のハイキックを放った。このキックがこめかみを直撃し、フェザー級王者を揺らす。素早い拳の追撃によって、戦いは幕を閉じた。

この勝利によって自らの存在をアピールしたマカチェフは、ボルカノフスキーを相手に連続タイトル防衛に成功し、オクタゴン13連勝を記録している。

5. チャールズ・オリベイラ vs. ベニール・ダリウシュ

UFC 289のセミメインイベントに登場したチャールズ・オリベイラが第1ラウンドでベニー・ダリウシュを退け、チャンピオンシップ争いの最前線に戻ってきた。

問題のラウンドの大部分で優勢だったのはダリウシュだったが、オリベイラはラウンドの後半に巻き返す。攻勢に転じたオリベイラはダリウシュを痛めつけ、マットに引きずり倒した。そこからは、元王者がパウンドを浴びせてフィニッシュまで持ち込み、ダリウシュの連勝記録を止めている。そうすることによって、オリベイラは1週間を通じて宣言し続けていた通り、今でも完全にデンジャラスな存在であることを示したのだ。

オクタゴンでのフィニッシュ記録を持つ“ドゥ・ブロンクス”ことオリベイラが、その記録をさらに伸ばしている。オクタゴン帰還で自らの力を示すことを必要とされていたオリベイラが、それをしっかり実行して見せた。

6. トム・アスピナル vs. セルゲイ・パブロビッチ

UFCヘビー級暫定王者、トム・アスピナル!

バトルが始まってすぐにセルゲイ・パブロビッチからのショットを食らったアスピナルは、いったん仕切り直すと、素早い右腕の連打をロシアの猛獣のこめかみに当てる。最初の打撃がパブロビッチをゆるがせ、2撃目によってその巨体はカンバスに崩れた。

UFCで7勝1敗を記録しているアスピナル。唯一の敗北は負傷に起因するものであり、勝利した試合はいずれも終了時間を待たずして終わっている。常に未来のコンテンダーとして注目されてきたアスピナルが、ついにその身にベルトを巻いた。

イングランドよ、新たな王者の誕生を祝おう。

7. ロビー・ローラー vs. ニコ・プライス

これぞキャリアの終わりにふさわしいパフォーマンス!

ニコ・プライスとの殴り合いを制したロビー・ローラーが、殿堂入りしたキャリアの終わりをノックアウトで飾った。これ以上の筋書きはあり得ない。その場にいたすべての人間が――いつもは感情を見せないローラー本人でさえ――、感動に心震わせていた。

ローラーとローリー・マクドナルドのUFC 189での一戦は殿堂に加えられており、近い将来、ローラー本人もその試合とならんで殿堂に迎えられることだろう。

これぞ大団円だ。

8. エドソン・バルボーザ vs. ビリー・クアランティーロ

エドソン・バルボーザがセミメインイベントでまた見事な戦いを見せた。

第1ラウンド序盤の数分間にわたってビリー・クアランティーロと攻撃の応酬を繰り広げた後、ブラジルのベテランであるバルボーザはレベルを変えようとした“ビリーQ”ことクアランティーロのあごに、恐ろしい膝をたたき込んだ。

2敗を喫してこの試合に臨んだバルボーザは、2年前にシェーン・ブルゴスを素早く仕留めたとき以来の白星を挙げている。キャリア通算23勝11敗を数える37歳のバルボーザは、まだまだフェザー級に大きな影響を及ぼすことができることを、カンザスシティで証明した。

9. イスマエル・ボンフィム vs. テランス・マッキニー

2023年を通して見ても、これ以上のデビュー戦は見つからないだろう。イスマエル・ボンフィムは第2ラウンドでテランス・マッキニーのあごにサイドからフライングスイッチニーを決め、マッキニーは顔からカンバスに倒れている。

このライト級マッチの最初の5分は、かなり拮抗した状態だった。ボンフィムが良い打撃を当てていたものの、マッキニーはそれをうまくさばいている。ブラジルから来たニューカマーであるボンフィムの方がうまく戦いを組み立て、自信を持っているように見えており、第2ラウンドではそのボンフィムから仕掛けていく。フェンス際に追いやられたマッキニーがクリーンなヒットを受け、マウスピースを落とした後、ボンフィムはやや下がってからの跳躍で鮮やかな一撃を決めている。

ボンフィム兄弟の兄にとって、信じられないほど最高のデビューパフォーマンスだった。マッキニーをスリリングなやり方で退けたボンフィムは、すぐさまライト級の注目選手になっている。

10. ディエゴ・フェレイラ vs. マイケル・ジョンソン

ワオ!

メインカードの第1試合に登場したディエゴ・フェレイラは、2023年で最もどう猛なノックアウトを決めた。マイケル・ジョンソンのあごを直撃したオーバーハンドで、ジョンソンはカンバスに沈んでいる。第1ラウンドで大きな成功を収めていたのはジョンソンであり、テイクダウンを狙ってきたフェレイラを振り払ったところ、Fortis MMAを代表する選手であるフェレイラが素早く反応して速球をたたき込み、試合を一瞬で終わらせた。

1年以上オクタゴンから遠ざかり、しかもその前には3連敗を喫しているという状況で、フェレイラは高らかに復帰を宣言した。かつてトップ15入りを果たしていたフェレイラ。今回のようなフィニッシュがこれからも決まれば、きっとそこに戻ることができるだろう。
Facebook X LINE

オクタゴンガール
オフィシャルショップ
FANTASY