宇野薫に聞く! UFCファイトナイト・ジャパンの見どころ徹底解説【前編】

UFCファイトナイト 見どころ
UFCファイトナイト・シンガポール:ジャスティン・スコギンズ vs. 佐々木憂流迦【シンガポール・カラン/2017年6月17日(Photo by Brandon Magnus/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFCファイトナイト・シンガポール:ジャスティン・スコギンズ vs. 佐々木憂流迦【シンガポール・カラン/2017年6月17日(Photo by Brandon Magnus/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
いよいよ今週末、2017年9月23日(土)に迫ったUFCファイトナイト・ジャパン。総勢9名の日本人選手が世界を迎え撃つ、内容てんこ盛り、見逃し厳禁のこの大会は、開催1週間前になって、メインイベントに出場予定だったマウリシオ・“ショーグン”・フアの負傷欠場、元UFCミドル級トップコンテンダーの岡見“サンダー”勇信(MMA戦績34勝10敗、UFC戦績13勝5敗)の電撃代打出場が発表され、一層の盛り上がりを見せている。そこでこの大会の見どころやポイントを、フジテレビ“UFC TIME”やDAZNのUFC中継の解説でおなじみ、元UFCファイターの宇野薫さんにうかがった。これでしっかり予習をして、大会を10倍楽しもう!



第1試合:阿部大治 vs. イム・ヒョンギュ

Q: 宇野さん! UFCファイトナイト・ジャパンの見どころを教えていただきにやってきました。今日はよろしくお願いします。まずは、今回がUFCデビュー戦となる阿部選手のお話から聞かせてください。ノックアウト勝ちが多い選手なので楽しみです!

宇野薫氏(以下、宇野): 分かりました! 阿部選手はMMAわずか5戦目でパンクラスのチャンピオンになりました。若さとポテンシャルの高さを感じます。もともとキックボクシングのチャンピオンということもあって、打撃が魅力なのはもちろんなのですが、実はその奥にある、柔道をベースにした強いフィジカルが特徴の選手だと思います。学生時代に柔道で優秀な実績を収めているのだそうです。

さらに、現在『ハワイ・マーシャルアーツ・センター』で、著名コーチであるハル・シマニシ氏からMMAのコーチングをしっかりと受けて、UFC対策を積んでいることも強みになると思います。

Q: ただ、対戦相手のイム・ヒョンギュ(韓国)はかなりの強敵ですね。

宇野: ヒョンギュ選手が長身なので、どれだけ阿部選手がインファイトに持ち込んで、得意の強い右を当てられるかどうかにかかっていると思います。それから、この大舞台で阿部選手がどれだけ臆することなく実力を発揮できるのかもポイントになるでしょうね。本人は強い気持ちでUFCを志していたようですから、チャンスを生かしてほしい。楽しみにしています。

第2試合:安西信昌 vs. ルーク・ジュモー

Q: 安西選手はケガなどにより、今回が2年ぶりの試合となります。よく“試合勘”という言葉を聞きますが、宇野さんはそういう現象は実際にあると思われますか。

宇野: 僕の場合、試合間隔は空(あ)いても1年が最長だったので、2年ぶりの試合というのがどういう感じなのかは分からないのですが、いわゆる“試合勘が戻らない”という現象は確かにあって、具体的には打撃の時に相手との距離感がうまく設定できなかったり、スタミナ面で思った以上に消耗してしまうといったことを指すものと理解しています。

Q: 対戦相手のジュモー(ニュージーランド)は、安西選手より体格がかなり大きいようです(身長で10 cm、リーチで5 cm上回る)が、どんなふうに戦うと良いでしょうか。

宇野: 安西選手はレスリングが強みですから、しっかりテイクダウンをして、ポジションをキープして、パウンドで殴るという、自分のスタイルとペースを貫きたいところです。特に今回、久しぶりの試合で、スタミナを消耗させないためにも、試合を通じて優位を保っていることが鍵になってくると思います。

第3試合:近藤朱里 vs. ジョン・チャンミ

Q: 近藤選手も今回がUFCデビューです。どんな特徴がある選手だと見ておられますか。

宇野: 近藤選手は何といっても、プロレス、キックボクシング経験で鍛えた身体の強さが特徴だと思います。また、戦績にも現れている通り、負けない力を持っています(近藤選手のキック戦績は13勝1敗、うち12の判定勝ち。MMA戦績は5勝0敗、うち4の判定勝ち)。

このことはUFCの中ではとても大切なことなんです。というのもUFCでは、フィジカルの強い選手同士がしのぎを削っています。そこで力負けしないで、判定でもいいからしっかりと勝っていくことで、初めてステップアップが可能になるからです。

ただ、僕はUFCの外国人女子選手とスパーリングをしたこともあるのですが、やはり日本人の女子選手より概して身体は強いですから、そこは留意してもらいたいですね。

Q: MMAファイターにとってプロレス経験というのは、何らかのプラスになりますか?

宇野: 大きな舞台でも臆することなく、入場から退場までいいパフォーマンスを発揮できるという点で、アドバンテージになると思います。最近は、入場から満面の笑顔で、肩の力を抜いて楽しんでいる選手もいますよね。僕なんか、いつも緊張して力んでいましたから、うらやましいですよ。

第4試合:ジュシー・フォルミーガ vs. 佐々木憂流迦

Q: そして第4試合ですが、これは注目の一戦ですよね。

宇野: そうですね、僕もこの試合が一押しです! どうしてこの試合順なのかなと不思議に思うほどです。試合順に関して、本人に悔しい思いがあるのであれば、ぜひそれを試合で晴らしてほしいですね。

Q: 今回はとにかく勝ち星がほしいです。

宇野: その通りです。前回、良い形で逆転勝ちを収め(6月のUFCファイトナイト・シンガポール、対ジャスティン・スコギンス戦)、今回はランカーとの対決というチャンスを得ました(佐々木はランク外、ブラジル出身のフォルミーガは現在フライ級ランキング5位)。この試合で勝てばランキング入りも確実で、タイトル挑戦の可能性も見えてきます。特にフライ級では、チャンピオンのデメトリアス・ジョンソンがすでにほとんどの上位選手に勝っていて、挑戦者不足の状況ですから、佐々木選手が新たに上昇してくれば、思ったより早くタイトルマッチにたどり着くかもしれません。

日本人ファイターで現在、ランキング入りしている選手は他にいませんから、今回はぜひ勝利を得たいですね。

Q: フライ級転向後、好調な佐々木選手ですが、どんなところが成長していると見ておられますか。

宇野: 佐々木選手は前回の試合から、練習拠点をニューヨークに移しました。前回は拠点変更後の初試合でしたが、今回はさらに練習環境にも慣れて、しっかり対策も練ってきているでしょうから、その成果がすごく楽しみです。佐々木選手の強みは寝技ですが、アンデウソン・シウバへの指導経験もあるという、ムエタイが得意な打撃コーチに学んでいますから、打撃面での成長も期待したいです。僕も実際、佐々木選手と打撃練習をしたことがあるのですが、スピードがあって打ち分けもうまかったので、そこからさらに進化を遂げているのではないでしょうか。

【文 高橋テツヤ】
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